2010年7月アーカイブ

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小高い山の上に建てられた「地中美術館」。
安藤忠雄設計で、その名のとおり美術館のほとんどは地下に造られています。
直島の自然の景観を壊さないようにとの考えからだそうです。
地中美術館の開館は2004年7月18日とハンドブックにはあって、
期せずして私の誕生日と同じ。ちょっと嬉しいです。

この地中美術館はクロード・モネの睡蓮とジェームズ・タレル、
ウォルター・デ・マリアの3人の作品がそれぞれの部屋に配置されています。

作品と建築が一体となっているのが特徴で、
ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品は、この館の展示のために
制作したサイトスペシフィック・アート。
作品と安藤の建築空間が見事に融合しています。

循環バスの停留所を降りてチケット売り場から美術館までは、
舗装された道をかなり登ります。

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歩道の脇にはちょっとした池や草木が人工的に整えられていて、
すぐモネのジヴェルニの庭を模したものであることがわかります。
これから目にする名画「睡蓮」へのプロムナードになっているのです。

沢蟹が道を横切って池のほとりの茂みに駆け込んでいきました。

時期によってさまざまな睡蓮が花を咲かせるようです。

モネの庭の草木を楽しみながらしばらく歩くとやっと館の入口に
たどりつきました。

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直島の「家プロジェクト」

「家プロジェクト」は、直島の本村(ほんむら)地区を中心に展開されているアートプロジェクトです。
空き家となってしまった民家を、クリエイターが作品化する取り組みです。

今日(2010.07)現在
「角屋」「南寺」「きんざ」「護王神社」「石橋」「碁会所」
「はいしゃ」「本村ラウンジ&アーカイブ」の8箇所が公開されています。
建物内は撮影禁止なので、ベネッセアートサイト直島の公式HPをキャプチャします。

「角屋」 宮島達男 (1998.3完成)
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「南寺」 ジェームズ・タレル (1999.3完成)
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 "Backside of the moon" は、限られた人数のグループで中に入り体験する空間アート。
 建物は安藤忠雄によって新たに建てられました。真っ暗な建物内部に入っていき
 ベンチに腰掛け待つこと数分。なにかが正面からぼおっと現れてくる。

「護王神社」 杉本博司 設計
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 地下の石室から地上の本殿へと光学ガラスの階段が続いています。
 1~2人が懐中電灯をもって狭く暗い坑道を入っていくと
 突然地上から差し込む光とガラスの世界はまるで
 Center of the earthのような体験です。

「石橋」 千住博
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 作品名"ザ・フォールズ"は、部屋の壁2面をつかって滝を表現したダイナミックな作品。
 室内の床は黒漆で磨き上げられ、写りこんだ壁画のしぶきがまるで滝つぼのごとく見えます。

 

「碁会所」 須田悦弘

「はいしゃ」 大竹伸朗
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歯科医院兼住居だった建物を大胆に改造。なんと2階まであろう女神像が
部屋に閉じこめられているのには驚かされる。夜になるとネオンが妖しい光を放つ。
建物正面右の天にむかって延びるパイプは潜望鏡。
こんなタイトルつけたら、オリエンタルランドから文句がくるかな?
比較対象にならないって...
でも、私自身の正直な感想です。

アートってなんか鑑賞するという先入観ありませんか?
絵画にしても彫刻にしても、人間の五感のうち視覚が制してて。
展覧会の作品はたいてい手で触れてはいけないことになっています。
だから、人と作品の間に距離が生まれます。

いい音楽を聞いたときの感動とか、お芝居を見て涙したとか、そういう
ストレートな感情の表出が、絵画や彫刻の場合少ないように思います。

作家の思いや考え、時代背景、時には宗教といった素養があって、
作品を理解でき、感動が生まれてくる...
美術館で出会う偉大な絵画に多かったからでしょうか。
(美大出の私が言うのも可笑しいけれど)アートは小難しい。
中でも、インスタレーションなんて呼ばれるものは、意味不明のものが多くて
大の苦手。

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でもこの直島で、アートが持つ本来の力について考えさせられました。

直島は体験型アートの殿堂。
ディズニーランドのアトラクションにも匹敵する遊び心や不思議があって、
子どもから大人まできっと楽しめると思います。
難しい予備知識も、解釈も必要ありません。
ただ素直に私は楽しめました。

せっかくなので、これから少しずつ作品について書きとどめておきたいと思います。

出足つまずくも まずは直島へ

JR高松駅では「ART SETOUCHI 2010」ののぼりや垂れ幕があちこちに
かけられ、港にはすでに作品が展示してあったりして、
すっかり芸術祭ムードに染まっています。

"あんぱんまんトロッコ2号"に乗れなかったショックもつかの間、
気を取り直してまずは直島に向かいました。

私が直島に行きたいと思ったきっかけは、芸術祭だけではありません。

直島銭湯「I♥湯」の写真を偶然ネット上で見たことが始まりです。

そのあまりに奇抜なお風呂屋さんのデザインに、衝撃が走ったのを今でもよく覚えています。
なに?なに?なに????どこにあるの?
香川県香川郡直島町?それってどこ?

それから数ヶ月、直島について随分勉強しました。

直島には、この銭湯以外に「地中美術館」や「ベネッセハウス」、
家プロジェクト」など沢山のアートスポットがあることが分かり、
なんとしても一度は行って見なくては、と思うようになりました。

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そしてタイミングよく、芸術祭直前の記念すべき誕生日に
Bon voyageは決行されたのです。

7/19海の日から始まる"瀬戸内国際芸術祭2010" を目前に控えた
16日夜から18日までの正味2日間の取材旅行です。

真夏の太陽に照りつけられ、汗だくになりながら
高松、直島、宇野港、豊島、小豆島 
の3島+2都市を廻りました。

島旅は去年仕事で伊豆大島、八丈島、三宅島に行って以来のこと。

DSC00119.JPGやっぱり海の上って気持ちがいい。

港から島へ、島から島へ、何度フェリーに乗ったことでしょう。
海面が細かい波のせいでキラキラ輝いて、
まるでダイヤモンドが散りばめられているみたいに
見えました。
自然こそ偉大なアート。感動の連続です。
そして、どんどん元気をもらっている"私"に気付きました。

でも、順風満帆とはいかず、行きの道中からハプニングが襲います。
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