2011年9月アーカイブ

ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作映画「ベニスに死す」が
日本で初めて上映されたのが1971年。
それから40年を経た今年、ニュープリント版が10月1日より
銀座テアトルシネマで上映されるという記事を新聞で読みました。

今年のベネチア映画祭の前日、ちょうど8月30日に
リド島(ベニスに死すの舞台)を訪れていただけに
なんだか旅の記憶がよみがえってくるニュースに
嬉しくなってしまいました。



http://death-in-venice.net/

子供の頃、テレビで初めてこの映画を見た時、音楽と映像美に衝撃を受け、
その後、(たしか?)池袋にあった名画座に見に行きました。
ビデオで見た回数も含めると、何度見たか覚えていないぐらい...

マーラーの5番のアダージオを聞くと、映画のシーンとリンクしちゃいます。

この映画をきっかけに、その後ヴィスコンティの映画に
ずいぶんはまったのを思い出しました。

ニュープリント版での復活。映画館でぜひ見たいですね。

せっかくなので、旅行の写真をアップします。
以下は友人が撮影してくれたものです。
私のデジカメはバッテリーが死んで、リドでは1枚も写真が撮れず...\(x_x)/

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映画でアッシェンバッハとタジオ一家が宿泊したホテル「Hotel des Bains」
現在改装中です。
どうやら、ホテルではなくレジデンスとしてリニューアルするようです。
http://www.des-bains.com/

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第68回ベネチア国際映画祭の会場
明日開幕にむけ最後の準備に追われる関係者。

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スター達の常宿「Hotel Excelsior Venice」の陸の玄関口。

映画のポスターが大通りに点々と展示されています。

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こちらが映画祭のお客様をお迎えするホテル玄関口。
報道陣が大勢待ち構えていました。

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中央の建物がHotel Excelsior Venice.
右の奥に小さく見えるのは、映画祭の特設パーティー会場。

ためいきができるほど美しい砂浜と海と空の景色。
40年前とさほど変わらない風景ではないでしょうか。
振り向くと、第2のタジオ少年が居るような気がしてきます...

リド島では、貸自転車でのサイクリングがおすすめですよ!
今、N饗アワーを見ながらブログを書いています。
NHK交響楽団と辻井伸行君のピアノによるチャイコフスキーの
ピアノコンチェルトの1番第2楽章が流れています。
大好きなクラシックを聞いていると気持ちが落ち着きます。
この演奏が終わるまでにブログを書き終えられるかな...

今日はクレアさんのライブに始まって、アリソン・ショッツの展覧会と
書いてきましたが、最後は棚田康司展の紹介です。

日本橋高島屋で開催されたジパング展でこの作家の名前を知って
すごく印象に残っていました。
せっかく表参道まで来たついで、といっては何ですが、
Spiralで何か面白いものに出会えるかもなんて予感がして
足をのばしたところ、運良くこの方の展覧会に遭遇。

またしても良いものを見せていただきました。
しかも写真撮影OKとのこと。写真とともにご紹介できるのは嬉しい限りです。

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手前の作品は、身体が横に向き合った作品「ナギとナミ」(2011)。
左奥が「導雷少女」。右奥は「風の少年」。
1本の木から彫られる「一木造り」で造られています。

下の写真は「ナミ」の顔のアップです。
なんとも美しい表情をしているでしょう。
私の知り合いにこの目とすごく似た瞳をしている方が居て、
なんか親しみを感じてしまいました。
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今回の展示で最も惹き付けられた作品。
「導雷少女」 2011 樟材

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「風の少年」 2011 樟材

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「記念日」 2009

棚田康司展 「◯とー(らせんとえんてい)」
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
会期:2011年9月22日(木)〜10月10日(月・祝)
11:00-20:00

棚田康司プロフィール
1968年 兵庫県明石市生まれ。茅ヶ崎市在住
1993年 東京造形大学造形学部美術学科II類(彫刻科)卒業
1995年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
2001年 文化庁芸術家在外研修員として7ヶ月ベルリンに滞在
2005年 「第8回岡本太郎記念現代芸術大賞」特別賞 受賞
2010年 第20回タカシマヤ美術賞 受賞

造形大の彫刻とは...なんとナンシーの後輩だったのですね。

"GEOMETRY OF LIGHT" Alyson Shotz

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今表参道にあるルイヴィトンの展示スペースで公開されているのが
アリソン・ショッツの作品です。
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Geometry of Light, 2011
本展覧会のタイトルでもあり写真の作品のタイトルでもある
"Geometry of Light"。

無数の円盤状のフレンネルレンズをステンレスワイヤーで繋ぎ、
巨大な天蓋ように貼られています。
アリソン・ショッツがこの空間からインスピレーションを受けて制作した
作品で、レンズは一つ一つハンドワークでカットされているそうです。

窓から差し込む太陽の光の加減でまったく違った表情が見られます。
ちょうど私たちが訪れた3時過ぎ、光が差し込んできて、
綺麗な写真のような陰影が現れました。

学芸員の方の話では、夜の照明で見る本作品もまた違った美しさがあるのだとか。

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"Coalescent" (2011)

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Transitional Object (figure #2) 2011

見る角度で紫からピンク、オレンジ、透明まで様々な色彩に変化する作品の
シリーズ。アクリル表面に特殊コーティングされているそうです。

作家紹介:Alyson Shotz  アリソン・ショッツ
ニューヨーク市ブルックリン在住の女性アーティスト。
最近ではNYのグッゲンハイム美術館での展覧会に出展するなど
活躍。

GEOMETRY OF LIGHT
Exhibition by Alyson Shotz
September 10th to December 25th, 2011
入場無料
ナンシーがデザインをお手伝いさせていただいた
CDアルバム 小林クレアさんの Love infini のリリースライブに
ご招待いただきました。

今月2日に発売となったこのアルバムを手にするのは今日が初めてです。

さて、会場は原宿のLa Donna
あの行列で有名なEggs'n Thingsの路地を少しいった先、右にある
地下のお店。
なんと行ってびっくり!!!
じつは昔ここは「周の家」という中華居酒屋レストランで、ナンシーが
お勤め時代その店の内装を担当したことがあったのです。
こんな素敵なライブハウスにいつの間にか変身して再会とは、
まったく縁とは不思議なものです。

ランチライブということで、11時30分開場、12時30分開演。
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演奏が始まるまでゆっくりお食事を楽しみました。
ひよこ豆やレッド豆などをバルサミコ酢でマリネしたサラダと
キノコのトマトソースパスタが本日のランチメニュー。
共通の友人を持つ方がお隣に座ってらして、おしゃべりも楽しかったですう。


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小林クレアさんのライブ前半。
「You've got a fried」、「No more Blues」、「Close to you」といった
スタンダードな曲を織りまぜながらアルバム収録曲「ロハスな日々」と
「恋はロマンティックされど愛はサディスティック」を聞かせてくれました。

このアルバムで小林クレアとしてデビューする以前は、
ジャズシンガーとして都内のライブハウスやクラブで歌っていたという
だけあって、落ち着いた大人のライブを見せていただいた気がします。
歌唱力もある素敵なシンガーさんです。

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多くの楽曲を提供されたミッシェルさんこと浦田学さん(中央)。
左奥はプロデューサーのハピネス樋口さん。自ら演奏とはこりゃ珍しい!?

MCのあとはミッシェルさんのキーボードによる「Moon River」が演奏されました。

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ステージ後半はCDのイメージそのままの衣装で登場。

スピード感のある、ノリノリのボサノバの曲が続きます。
「バージンアイランド(アルバム収録曲)」、「マシュケナダ」、
「イパネマの娘」、「おいしい水」、「ラビリンス(アルバム収録曲)」、
「ブライダルモーニング(アルバム収録曲)」。
ステージと観客とが一つになって盛り上がったライブ後半。
楽しい時間は過ぎるのがあっという間です。

一つ勉強になりました。
じつはあの名曲が「おいしい水」というタイトルだったとは!


12月17日(土) 中目黒楽屋(らくや)でもライブ決定。
詳しくは 小林クレア Official siteからどうぞ。
 http://label-fish.com/claire/



ブロムシュテット指揮のNHK交響楽団(以下N饗)とノルウェーのピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスによる
ラフマニノフ作曲のピアノコンチェルト第3番の演奏会に出かけてきました。

2008年に行われたN饗とアンスネスのラフマニノフのピアノコンチェルト第2番が大変話題になって
いて、機会があれば彼のピアノコンチェルトを聞きたいと楽しみにしていました。

昨年オペラシティで行われたアンスネスのコンサートも素晴らしかっただけに、
今回の演奏会への期待は大きなものでした。

NHKホールはほぼ満席。
チケットを取ってくださった方が、急な用事で来れなかったのが残念です。

第1楽章ピアノの出だし。なんと滑らかな音色。
まるでハイブリッド車の走り出しみたいに、すーっと流れるように醸し出される音にすっかり魅了。
奇をてらったところのない王道の演奏に、夢心地で聞かせていただきました。

アンコールに演奏したグリーグの叙情小品集第5集
「ノルウェーの農民行進曲」Op.54-2も印象的でした。

Youtube にS.Richter の演奏がありました。
グリーグはアンスネスの母国ノルウェーの大作曲家。
愛すべきグリーグを演奏し終わると、客席からは拍手がなりやみませんでした。

円熟味をますます増しているアンスネスの演奏、これからも楽しみです。

休憩後はチャイコフスキーの交響曲第5番の演奏でした。
これもとても素晴らしかったです。
マエストロの選曲では珍しいそうですが、N饗とも息のあった演奏だったと思います。

第4楽章の途中で拍手がわき起こったのにはかなり仰天しました...。
途中楽章の終わりで拍手がというのは聞いたことがありましたが、曲の途中というのは
初めてです。
ブロムシュテットも相当びっくりしたと思いますよ...。
個人的には、チャイコフスキーは(ちょっとねちっこい)独特のエンディングなので
あそこで間違って拍手はして欲しくなかったですね。

後を歩いていた年配の紳士方の会話
「ブラボー!と叫ばなかっただけまだ良かったですよ」

まったく同感です。

NHK交響楽団 定期公演 Cプログラム NHKホール
指揮/ヘルベルト・ブロムシュテット Herbert Blomstedt
ピアノ/レイフ・オヴェ・アンスネス Leif Ove Andsnes
コンサートマスター/堀正文
演奏曲 
・ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ニ短調作品30
・アンコール曲 グリーグの叙情小品集第5集 「ノルウェーの農民行進曲」Op.54-2
==休憩== 
・チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調作品64

Museo Fortuny "TRA -EDGE OF BECOMMING"

町全体が芸術都市のベネチア。
ベネチア・ビエンナーレ会場をはじめ、いくつかの美術館を駆け足でまわった数日間。

展示内容でプラダ財団ーカ・コルネール・デッラ・レジーナが印象に残っていますが、展示方法で面白かったのはMuseo Fortuny(フォルチュニー美術館)です。

邸内は撮影が禁止されているので、言葉での説明のみになってしまうのが残念です。

クラシカルな邸内に現代と古典の作品とが入り混じって展示されていて、美術館というよりむしろ博物館のよう。
壁のあちこちに掛けられた絵、床に置かれた彫刻、ガラス戸の飾り棚に飾られたオブジェ。
企画展示されているというよりも、館の主人の個人的な趣味に彩られた生活空間を覗いているような新鮮さがありました。
重厚なインテリアと現代美術が不思議と融合しています。
それがなんかすごく心地よいて大好きです。こういう感じ。

訪れたらソファーにゆったり腰掛けて、所狭しと展示されている作品を時間をかけて眺める...。
そんな至福の喜びを味わうための場所に思えます。

館はペーザロ家の所有だったそうですが、最終的にマリアノ・フォルチュニー・イ・マンドラノ(1871-1949)の手に渡りました。

フォルチュニー氏は画家、写真家、布地制作、デザイナー、発明家と多才な人物であったようです。
なかでも、絹地に細かいプリーツ加工を施した「デルフォイ・ドレス」(イッセイ・ミヤケのプリーツ・プリーズシリーズを彷彿とする)を発表して人気を博したとか。
マリアノ氏が亡くなった後、夫人の寄贈により市が管理するようになり、現在に至っています。

展覧会のカタログがユニークだと思いました。

ここの展示は、一般的によくある作品名や作家名がかかれたプレートのようなものは一切壁面にありません。
番号すらありません。

筆描きでざっくりとインテリアと作品のアウトラインが描かれたイラストの下に作家名と作品名が書かれた小冊子を入場の際渡されます。
それを頼りに1点1点観賞していきます。

時間があまりなかったので、駆け足で見ましたが、
中世風の小さな小部屋の壁にジェームズ・タレルの光の作品を発見した時のサプライズは
忘れられません。
(友人は、てっきり蛍光色の紙でも壁に貼ってあるんだと勘違いしていました...笑)

TRA http://www.tra-expo.com/
↑Virtual Tourで展示風景の写真が見られます。

Fondazione Musei Civici di Venezia http://www.visitmuve.it/

Museo Fortuny http://www.museiciviciveneziani.it/frame.asp?musid=2&sezione=musei

Museo Fortuny
San Marco 3780 - San Beneto,
Venezia

Fondazione Prada - Ca' Corner della Regina

今回のベネツィアで最も楽しみにしていた展覧会の一つが
プラザ財団のコレクションの展示
"Fondazione Prada - Ca' Corner della Regina"展
です。

グラン・カナルに面したCa' Corner della regina
 (カ・コルネール・デ・レジーナ 写真中央)。
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のちのキプロス王ルジニャンのジャコモ2世と結婚した
カテリーナ・コルネールが1454年にここで生まれたと言われる由緒あるところ。
現在の建物は18世紀にドメニコ・ロッシによって建てられたものです。

イタリアのブランドで有名なプラダ。
その財団が、この歴史的なパラッツォを借りて、ジェフ・クーンズ、ドナルド・ジャッド、
ダミアン・ハースト、チャールス・レイといった現代美術の巨匠の作品を一同に
展示しているというのですから、これは見逃せません。

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CHARLES RAY "Tub with Black Dye" 1986

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DAMIEN HIRST "Loving in a World of Desire" 1996

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Anish Kapoor "Void Field" 1989

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JEFF KOONS "Tulips" 1997-2005

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PINO PASCALI "Confluenze" 1967



それにしても、ベニスの道はまるで迷路です。

ヴァポレット(水上バス)からだと建物はすぐ分かるのに、
陸を歩いて向かうと、え?と思うような細い路地を歩いて行きます。
DSC03050.jpg
路地とも私道ともよくわからない、細い道を進みます。
時々頭上に現れる看板らしきもを頼りにして。

オクサナ・マスの屋外展示のあるサン・スタエ教会前の広場から
運河沿いに2件先がカ・ペーザロ近代美術館。そのまた数軒先に
カ・コルネール・デ・レジーナがあります。
運河沿いの道があればまったく迷わずたどりつけるはずのところなのですが...
移動にとんでもなく時間を費やしてしまいました。

DSC03051.jpg
しかもびっくりするほど地味な入口だったりします。
きっとこの入り口は、かつて使用人とかが出入りするための
勝手口だったのでしょうね。

ちなみに写真がこの展覧会の入り口です。
入ってすぐ右にチケット売り場があります。
大人は10ユーロです。
会期は10月2日までです。


Calle de Ca' Corner
Santa Croce 2215
Venezia

Vaporetto San Stae
10 am - 6 pm Closed on Tuesdays

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