2012年5月アーカイブ

HERMES GINZA マイケル・ヨハンソン

街を歩いていて素敵なウィンドウディスプレイに出会うと、
幸せな気分になってきます。
新宿伊勢丹の次に注目しているのが、ここエルメスのウィンドウです。
HERMES 銀座店のウィンドウは、まさに様々なアーティストによる
ギャラリー空間。

5月17日からは、マイケル・ヨハンソンによるディスプレイです。
その色彩のパワーに思わず引き込まれてしまいます。

店舗入口を見て、モンドリアンの作品を連想しました。
よく見ると、白い部分も様々なモノから構成されています。

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【タイトル】 色の記憶
【アーティスト名】 マイケル・ヨハンソン
【期間】 2012年5月17日~7月31日


Michael Johansson (マイケル・ヨハンソン)
1975年スウェーデン生まれ。
トロンドハイムのアートアカデミー(ノルウェー)とベルリン・ヴァイセンゼー美術大学(ドイツ)で学んだ後、2005年に マルメ・アートアカデミー(スウェーデン)で修士課程を修了した。その後、いくつかのレジデンスを経験し、マルメ美術館(スウェーデン)、Galerie Filomena Soares(ポルトガル)、モスクワ近代美術館(ロシア)、Meessen de Clercq(ベルギー)、Ystads konstmuseum(スウェーデン)、Nikolaj Kunsthal(デンマーク)をはじめ、スウェーデン内外で数多くの展覧会を開催している。現在、スウェーデンのマルメで創作活動を行っている。

http://www.art-it.asia/u/maisonhermes/B5WaF76Qc8PSJmxrVdXe

MOTコレクション Do-Ho Suh

トーマス・デマンドの作品を鑑賞した後、東京都現代美術館の常設展にも足を運んでみました。

スゥ・ドーホーの『Reflection』という作品がまず目に飛び込んできます。

淡いブルーの薄いナイロン生地で作られた東洋的な門が、
遥か頭上に天井のように張られた布地を境に
上下にミラーのように制作されています。

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Photo: Librado Romero/The New York Times
写真撮影は禁止なので、ニューヨークタイムスの記事から転載させていただきます。
(上)左の作品が<Reflection>。右はDo-Ho Suhさん。
(下)瓦部分のアップ

ため息が出るような美しさです。

空間いっぱいに張られた布地越しに見える部分が、
まるで湖面に映る影のようであり、
鏡に映り込んでいるようでもあり、
幻想的な世界観がひろがっています。

スゥ・ドーホーはNYとソウルを拠点に活動している韓国人アーティスト。
1994年以降、「ファブリック・アーキテクチャー」と称する薄い布を使用した作品を作り続けています。

以下、メゾン・エルメスで2005年に行われた「Reflection」の記事からの転載です。

新作『Reflection/リフレクション』では作家の生家の門が、テーマとして取り上げられています。
家のシリーズと同様、作家にとっては非常に個人的なモチーフではありますが、
ここで「門」はより象徴的な意味を語りかけているようです。
門は家の外構えや通過地点に設けられた出入口であり、またそれは境界線のように
ある場所とある場所を分断しつつ、出入りをコントロールする地点でもあります。
しかし門の向こう側は、常に外側ではなく、反対側から見れば内側となる、表裏一体の現象であるかもしれません。

スゥ・ドーホー Do-Ho Suh

プロフィール
1962年 ソウル生まれ
アメリカ イェール大学卒業

主な作品・展覧会・プロジェクト
2010 瀬戸内国際芸術祭(日本 小豆島)
2009 明るい未来(ロサンゼルス・カウンティー美術館/ヒューストン美術館、アメリカ)
2008 サイコ・ビルディング(ヘイワードギャラリー、ロンドン)
2005 リフレクション(メゾンエルメス、東京)
2002 スゥ・ドーホー(サーペンタインギャラリー、ロンドン)
2001 ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)

参考サイト:Lehman Maupin Gallery

Since opening in October 1996, Lehmann Maupin has identified and cultivated the careers of an international roster of visionary and historically significant artists. We support artists working in new and challenging forms who are likely to impact contemporary art and culture.  With curators and leading intellectuals in the field, we seek to present these artists in context; and, to accelerate their influence and value in the market.

The gallery has given important artists their first one-person exhibitions in New York including Tracey Emin, Anya Gallaccio, Shirazeh Houshiary, Do Ho Suh, Juergen Teller, and Adriana Varejão.  In addition, the gallery has exposed emerging talents, such as Mickalene Thomas, Hernan Bas, Angel Otero and the Japanese artist Mr., through exhibitions at the gallery and participations in select art fairs.  Our program includes important artists such as Lee Bul, Ashley Bickerton, Gilbert & George, Teresita Fernandez, Tony Oursler, Tim Rollins and K.O.S., Nari Ward, and Erwin Wurm. 

Founded by partners Rachel Lehmann and David Maupin, Lehmann Maupin first opened in SoHo, and moved, in September 2002, to its present location in Chelsea.  A second New York gallery space opened in late 2007 at 201 Chrystie Street in Manhattan's new cultural hub, the Bowery area.

Thomas Demand展

トーマス・デマンドの日本で大々的な初の展覧会が東京現代美術館にて5/19(土)より開催されています。
新作も含め約30点を観覧できます。

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Thomas Demand  《浴室》1997年、Cプリント
© Thomas Demand, VG Bild-Kunst, Bonn / APG-JAA, Tokyo Courtesy Taka Ishii Gallery, Sprüth Magers, Esther Schipper, Matthew Marks

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Thomas Demand 《制御室》2011年、Cプリント
© Thomas Demand, VG Bild-Kunst, Bonn / APG-JAA, Tokyo Courtesy Sprüth Magers Berlin London and PKM Gallery, Seoul

トーマス・デマンドは、紙で実物大に再現された風景や事象を撮影するという形の作品を展開している作家です。
今回の個展の告知ではじめてこの方の名前を知ったのですが、フライヤーに大きく印刷された
『浴室』を見た瞬間、私に様々な疑問や謎をはげかけてきて、すっかり魅了されてしまいました。

紙で製作された室内や風景は、実際にはどのくらいのスケールのものなのか?
人物が一切いないのは、なぜか?
そもそも写真が最終形なのはなぜなのか?

といった様々な疑問です。
これらは、今回のキューレーター長谷川祐子氏のギャラリートーク、そして作家ご本人による
トークによって、かなり明らかになりました。

ネタバレになるので、ここで書くのはやめておきます。
でも、おすすめです。

とくに、映像作品『パシフック・サン』には驚くべきエネルギーを感じると思います。
デマンドやハリウッドのアニメーターが全力を傾けて製作された作品であること。
今回それが初公開であることを含め、この展覧会は必見といえるでしょう。
GW後半初日の本日、
「Gerda Steiner & Jorg Lenzlinger
 Power Sources ー力が生まれるところ」を
見てまいりました。
場所は水戸芸術館現代美術ギャラリーで今月6日まで
開催しています。

大雨警報のなか、躊躇する気持ちと闘いながら、
行くなら今日しかないと意を決して出発。
朝8時台の東京駅発の高速バスに飛び乗りました。

東京から約2時間、足を運んだ甲斐がありました。
充実した展覧会。
そして偶然にも、東日本大震災で多大な被害を
受けた同館のパイプオルガンの復活を記念した
無料コンサートに遭遇し、素敵な演奏を聞くこともできたのです。

そんないい日のまずは
ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーの展覧会について
写真をいっぱい撮影してきたので、アップします。

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ギャラリー入口に向かう壁面の作品
Handy God (携帯電話の神様) 2008 彫刻

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ギャラリーを入って最初の部屋
1. Nursery(苗床) 2012 インスタレーション

小学校の机の上に台が置かれ、そこにはさまざまな成長に関係するものが
展示されています。中には、下の写真のような、参加型の作品も。

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発砲スチロールの球のまわりに苔のようなものが...

緑の部分は、尿素の結晶です。
来館者が柄杓でポリタンクに入った尿素液をすくって
上からかけてあげることにより、まるで植物のように成長していきます。
学芸員の方が展示当初の作品状態を写真で見せてくださいました。
その頃に比べ、おばけのように大きくなっています。

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これは、水の中で結晶を作る実験的インスタレーション。
水温調節が難しいらしく、連休に入ってからまだ一度も
結晶化にいたっていないのだとか。
上に吊ってあるのが、作家自らが水中で制作してできた尿素の結晶。
調子が良ければ1時間ぐらいで真ん中あたりのものが
できるそうです。

この他にも、LPレコードの上で踊るきのこ?や、盆栽風の作品、
様々な種子や実が並べられている机など、色々あって面白い。



2. Sweet Little Nothing(いとしいなんでもないもの) 
2012 インスタレーション
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暖簾のかかった小さな個室に入ると、テーブルの上に白い小皿と虫眼鏡と
手書きのメモが置かれています。

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小皿に乗った「いとしいなんでもないもの」は、豚の歯にデコレーションされたもの
だったり、シュレッダーにかけられたスイスの100フラン紙幣の断片だったり、
ピンクの粉(フラミンゴの羽で作られた?)や、 USBのキャップなど様々。
とにかく暗くてよく読めないのだけれど、紙に書かれた物語が興味深く、ついつい
じっくり読んでしまいます。
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個室の奥には棚が並んでいて、一段一段に下の写真のような
「いとしいなんでもないもの」がガラス瓶やプラスチック容器に入れられ
タイトルがつけられ展示されています。
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ミミズの心臓、鳥恐怖症の薬、パチンコの三角関係、ヤンキーのおなら...
ホントか嘘か、笑ってしまうようなアイテムもあります。

3. Lymphatic System (リンパ系)
2012 インスタレーション
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寝っ転がって鑑賞する作品。
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頭上にリンパ系を再現したようなインスタレーションが繰り広げられています。
よく見ると、チューブの中を液体が流れていたり、不思議な球体など、まるで、
体内にいるかのような錯覚を覚えます。昔、ミクロの決死圏という映画が
あったけど、あれを連想します。
寝心地も良くて、ずっと横たわっていたくなります。

4. Tear Reader (涙を読む人)
2012 インスタレーション

今回最も刺激を受けた作品。
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来場者の涙を採集し、涙の結晶を鑑賞するというインスタレーション。

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涙と一口に言っても、嬉しい涙もあれば、悲しみの涙あり、刺激を受けて
生理的に出てきた涙などさまざま。
そんな涙の結晶を顕微鏡で覗いてみたら...
そこには実に多種多様な形や色があるというのです。
まるで、一面花が咲いているような文様のもの。うっすら青い色が入った
珍しいものなど、学芸員さんがプレパラートを顕微鏡にセットして見せて
くださいます。
涙については、まだまだ研究面でも分からないことが沢山あるらしいのですが、
このインスタレーションについていえば、採取して1週間後ぐらいが見頃のピークで、
1ヶ月ぐらい経つと消えてしまうそうです。

5. The 4 Waters (4つの水)
2012 ドロップペインティング(滴による絵画)

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水戸市とその周辺から採取した水に異なる種類の鉄塩を加え、
それを一滴ずつキャンバスにたらして化学反応を起こさせた作品。
左から、袋田の滝、大子町の温泉、偕楽園(吐玉泉)、涸沼

6. Logic of Beauty (美の論理)
2012 ビデオ・インスタレーション(約20分)

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ブランコに座って鑑賞。

7. Lift-up (リフトアップ) 1989-99 写真
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ゲルダ & ヨルクの初期作品。旅先で出会った人々ゲルダが持ち上げ、
その瞬間をヨルクが撮影しています。ゲルダよりはるかに大きな人や
子供から老人...
様々な人との出会いの喜びが伝わってきます。
60点の写真が展示されています。

8. Microcosm (小宇宙) 2011 ビデオ・インスタレーション
真っ暗な部屋の中央にウォーターベットが設置。
プロジェクターで映し出されるミトコンドリアのような微生物の映像を
寝っ転がって鑑賞する体験型インスタレーションです。

9. Energy Fields (エナジー・フィールド)

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ドローイング9作品、コラージュ13作品の展示です。

10. Walking Bushes (歩く茂み) 2012 インスタレーション
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屋外の展示作品で、自由に移動できます。

本展覧会のためにゲルダとヨルクは水戸に1ヶ月以上滞在し、
制作しています。「いとしいなんでもないもの」「4つの水」
「涙を読む人」など、2人の被災地水戸復興への温かい想い
とも感じました。


おまけ++++
東日本大震災は水戸の地に多大な被害を及ぼしました。
偕楽園が今年2月にやっと開園されたニュースも記憶に新しいですが、
この水戸芸術館のパイプオルガンも壊滅的な被害を受け、
今年の4月再び演奏できる状態に復活したそうです。

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オルガニストの高橋博子さんとフルート奏者神田勇哉さんの
祝復活のジョイントコンサートがこの日、13時30分より行われ、
多数の来場者で1階のホールと2階回廊が埋め尽くされました。

無料のコンサートで、たまたま偶然聴かせていただくことができ、
本当にラッキーでした。
特に、スヴェーリンク「緑の菩提樹の下で」や
タファネル「アンダンテ・パストラーレとスケルツェッティーノ」など
あまり聞く機会のない曲が良かったです。
サン=サーンスの動物の謝肉祭の終楽章ちかくで
オルガン中央の☆の飾り?がくるくる回り出したのには驚きました。

神田さんはMCが大変上手で、演奏もトークも一流。
高橋さんともども、若いお2人にはこれからますますの活躍を期待したいと思います。

今日はあいにくのお天気だったけれど、
精神的満足度の非常に高い1日でした。

水戸芸術館 http://arttowermito.or.jp/
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