ニュウニュウ(牛牛)ジャパンツアー2012

| コメント(0) | トラックバック(0)
クラシックピアノ界で最も話題になっている神童といえば
中国福建省出身のニュウニュウでしょう。
現在、若干14歳(7月11日が誕生日だそうなので、もうすぐ15歳ですね)。

そのキャリアたるや凄いの一言ですが、
すでに6歳でデビュー・リサイタルを開き、モーツァルトのピアノソナタや
ショパンのエチュードを披露。(そういえば、かのモーツァルトも6歳の時には
御前演奏してましたっけ。シェーンブルン宮殿でマリー・アントワネットに
プロポーズしたという話しはあまりに有名ですよね。)

ニュウニュウはお父様がピアノ教師だったこともあり、幼少期からピアノの初歩を
教え込まれたそうです。5歳の時、集美大学音楽院の葉暁初教授から指導を受け、
8歳の時には上海音楽学院に最年少で入学。
ピアニストChen Hungkuan氏から指導を受けます。

9歳の時には、ロンドンのウィグモアホールでリサイタル。
10歳ですでにEMI CLASSICと契約、翌年モーツァルトを収録したCDをリリース。
12歳の時、大阪ザ・シンフォニーホール、東京のサントリーホールで日本での
初デビューリサイタルを開催。両ホールのソロ・リサイタルの最年少記録だそうです。
また2010年、ショパンのエチュード全曲を収録した『ショパン・エチュード全曲集』を発売。
これも同全集のCDでは世界最年少記録。
2011年10月に、兵庫芸術文化センター管弦楽団と、ショスタコーヴィチの「ピアノコンチェルト1番」と、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」のソリストとして共演。
現在、アメリカニューイングランド音楽院に最年少で入学し在学中。

まさに華麗な音楽キャリアです。

本年6月20日を皮切りに、北海道、東北、東京、大阪、長野、福岡、広島と日本全国をまわる
ジャパンツアーの中日(なかび)、東京公演がサントリーホールで行われました。

実はちょっと失態があり
1曲目(ショパンのピアノソナタ第2番)を聞き逃してしまい m(。≧Д≦。)m
2曲目のベートヴェンのピアノソナタ第14番「月光」からの鑑賞となりました。

第1楽章、少し不安定なところが見受けられたのは、緊張からなのか?
この第1楽章はアダージョでピアニッシモとか非常にナイーブな曲で、
1音1音の指のタッチが案外難しいからではないかと素人分析。

休憩をはさんで後半、
クライスラー/ラフマニノフ『愛の悲しみ』『愛の喜び』、
リスト:ラ・カンパネラ、
ワーグナー『イゾルデの愛の死』、
リスト『愛の夢』、
リストメフィスト・ワルツ第1番
以上6曲。

14歳の少年のピュアな愛の曲が立て続けに演奏されました。
なかでも、ラ・カンパネラの演奏は見事という印象。
やたらテクニックのすごさを感じさせる攻撃的な演奏をする人もいる曲。
実は私にはこの曲にまつわるトラウマがあって、あんまし好きではないのですが、
ニュウニュウはことさら技巧的でもなくさらっと、でも音楽性を大事にした丁寧な演奏で
とても心地よく聞くことができました。
後半で最も良い演奏だったのではないかと思います。

リストの「メフィスト・ワルツ1番」をあれだけ弾けるのは
その実力が並みではない証拠。
後半のこの2曲に私は盛大な拍手を送ります。

正直、14歳の演奏とは思えない、繊細で情緒豊かな表現力。
ピアノの音色がほんとにキラキラ輝いているのには驚きました。
特にそれを感じたのが、アンコールで演奏したショパンの3曲。

アンコールは、ショパンのワルツOp.64-2、華麗なる大円舞曲 Op.18、エチュード「革命」Op.10-12とラフマニノフの前奏曲Op.32-5の4曲でした。

彼にとってショパンは、きっと18番なのでしょうね。
(エチュード全集を出すぐらいですから...。)
とにかくショパンはとってもいい。
音のつながりが流れるようで、ほんとに美しいです。

この3曲を聞き、存分に納得いく演奏会だったと思います。
きっと彼自身も、このアンコール演奏で
やっと納得いく観客の拍手を受け止められたんじゃないでしょうか。

立ち上がってお辞儀をする姿は、ほんとにまだあどけない少年のまま。
でもひとたびピアノに向かいだすと、もう大人の世界感を持った一流ピアニストでした。

これから楽しみな演奏家です。
これからもっともっとレパートリーを増やして、
10年後、20年後にまた「月光」をぜひ聞きたいですね。

おまけ

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.r-deux.com/mooblog/mt-tb.cgi/119

コメントする

このブログ記事について

このページは、Nancyが2012年6月30日 17:15に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「森美術館「アラブ・エクスプレス展」 その2」です。

次のブログ記事は「"かえりやま"でサプライズディナー」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。