発想の面白さが詰まった展覧会「福田美蘭展」

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このブログを開始して、生まれて初めてです。
こんな恩恵に浴せるとは...
昨晩は、なんと「福田美蘭展 ブロガー特別内覧会」にご招待いただきました。

そして、これまた嬉しい(どうやら内覧会ということで)撮影OK。

会場に居る方々は、みなさんバリバリのブロガーさんばかり?かな

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4つのテーマに作品を括って展示されています。

第一章|日本への眼差し

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日本絵画や和をモチーフにした作品でまとめられている第1章。
思わずくすっと笑ってしまう市松人形や、いくつ文字が隠れているか探す「銭湯の背景画」など。
江戸東京博物館の竹内館長なら、きっと手をたたいて喜びそうな作品ばかり。

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和歌を題材にした作品2点
左「道風に なびけど けさは」、右「高きやに登りてみれば」

ちょうど昨日は「原爆の日」。
広島での平和式典の模様を見たせいか、
「高きやに登りてみれば」を観た瞬間、
原爆をイメージしてしまいました。

とても色彩が美しいです。


第二章|現実への眼差し

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最も好きな作品の一つ。今はなきツインタワーが夜空きらめく★になって...

私が初めてNYに行ったのは2006年だがら、9.11の後でした。
だから、この光景は知りません。
でも、NYの街の夜景が異常なほど美しかったことは、よく憶えています。
そんなことを思い出しながら見ていました。
ツインタワーを近くからよく観てくださいね。

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この道頓堀の景色、つい一昨日「半沢直樹」で見たなあ〜
そんなこと思いながら、なにげなく見ていたのでまったく気付きませんでした
蝶番に...。
絵の真ん中でばたんと二つ折りにして、ついた絵の具が川面に映る
ネオンになっていたなんて...

この他にも、噴火後の富士山を描いた作品やブッシュ大統領に話しかけるキリスト、
淡路島北淡町のハクモクレンなど、第二章は刺激的で、
個人的にとても興味ある作品が多かったです。


第三章|西洋への眼差し

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夏休みなので、親子で楽しめるコーナーが第三章ではないでしょうか。
西洋絵画の名画を模した作品が集められたコーナー。でも、どれもパロディとも
皮肉ともとれるような、一風変わった作品ばかり。

踏んだり、開け閉めしたり...
手で触って体験できる作品が沢山あり、子供が喜んで楽しめそうなものが沢山。

「床に置かれた絵画」は実際に踏んで鑑賞するアートなのだとか。
さすがに私は土足で踏む度胸はありませんでしたが...。

日本のエッシャーと言われた福田繁雄さんを思わせる
トリッキーな作品に、時間が経つのを忘れて魅入ってしまいます。


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第四章|今日を生きる眼差し

2010年〜最新作までを展示しているコーナー。
150号という大型の作品が並びます。

お父様の逝去や3.11など、死を身近に体験した彼女の作品も展示されています。
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リニュアールを祝して?建築家前川國雄がフロアを見下ろしています。(笑)
今回のために制作された作品。

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ギャラリートークをしてくださった学芸員の河合晴生さん。
今回の展覧会が実に3年越しの企画であったことや、
リニューアル後はじめての現代作家展であることなど、
作品からだけでは知り得ない裏話などもお聞かせ下さいました。

特にこの第4章には、東京都美術館、上野、藝大との関わりの深い作品が
多いこともあり、丁寧な解説をしてくださいました。

上の作品は「春夏秋冬」という4部作のうちの「秋ー悲母観音」。
(ちなみに、モデルとなった狩野芳崖の悲母観音は藝大美術館に収蔵されています。)
3.11へのオマージュ的作品。

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フライヤーで使われている作品「アカンサス」。
ウィリアム・モリスのテキスタイル生地の上に子供の頃の想い出の1シーンが
描かれています。
画面を上下につたう模様がもともともプリントされた生地の柄(パターン)で
その間に絵を描き込んでいるという、考えただけである意味ぞっとするような
高度な技術で描かれているのです。

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同じ手法がこのソファー作品「眠れる森の美女・オーロラ姫」
柄の隙間で美女が静かな眠りに入っているのに気付くでしょう。

70点あまりの作品を通じて、彼女の着眼点のすばらしさ、視点の面白さに
きっと観客は引き込まれると思います。

それにしても、美欄さんってすごく挑戦的な方なのだろうなあ、きっと。
私も頑張らねば。
既成概念を打ち破れ!
作品を観て、何か憑き物がとれて柔らかくなった気がします。
おかげさまで頭の凝りは解消です。
とてもプラスになった展覧会でした。

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2012年4月にリニューアルオープンした東京都美術館。

私もその昔、卒展でお世話になったことがあります。
リニューアル後初めて中を拝見しましたが、以前の様式を大事に残していて、
なんだかとても嬉しく、懐かしい気持ちがこみ上げてきました。

外観のライトアップは素敵になったみたいです。

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ゆったり展覧会を楽しんだあと、夏の夜の上野公園をぶらぶら駅に向かって散歩。

噴水のライトアップが様々な表情を見せていて、
思わず立ち止まり水の奏でる音に夕涼み。
奥に東京国立博物館が見えます。

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お土産でいただいた全作品が収録された図録(右)と、記念品の虫眼鏡。
おしゃれなデザインで、かなり嬉しいです。

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福田美蘭展

会期:2013年7月23日(火)~9月29日(日)
■会場:ギャラリーA・B・C
■休室日:毎週月曜日、9月17日(火)、9月24日(火)(9月16日(月)、9月23日(月)は開室)
■開室時間:午前9時30分から午後5時30分まで(入室は午後5時まで)
■夜間開室:金曜日は午前9時30分から午後9時まで(入室は午後8時30分まで)
■観覧料:一般800円、団体(20名以上)600円、65歳以上500円、学生400円
■東京都美術館:http://www.tobikan.jp/

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このページは、Nancyが2013年8月 7日 10:42に書いたブログ記事です。

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