ユンディ・リがベートーヴェンに挑戦した理由?

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ユンディ・リが久しぶりに東京にやってきました。
震災で来日を中止して以来のことなので、数年ぶりの日本での演奏会です。
私にとって、(おそらく)今年最後の演奏会となる東京オペラシティでの
ユンディのリサイタルに期待は大きく膨らんでいました。
演奏曲は、ショパンのノクターンの第1番と2番。
そして、この演奏会の目玉は、ベートヴェンの3大ソナタ
「熱情」「悲愴」「月光」の3曲。
ショパン弾きとして名を馳せたユンディ・リの新境地とも言える
ベートヴェンは、そうとう楽しみなプログラムでした。
YundiLi1212.jpg

あらためて言う事でもないけれど、ユンディ・リは
2000年に開かれた第14回ショパン国際ピアノコンクールで史上最年少で優勝。
実は、第12回(1990年)、第13回(1995年)とつづけて同コンクールで1位が出なかったので、
久しぶりのスター誕生に、一躍時の人となりました。
今や世界中を演奏して回る、ユンディ・リ。
当然チケットも完売で、オペラシティの会場は3階席までほぼ満席でした。
私は幸運なことにも、クラシック通の方にお願いして、
3階席のリーズナブルなチケットをゲットしていただきました。
(お安い席ほど入手が難しいですよね。)
ステージ右手端で、演奏中のリー様のご尊顔を拝せるありがたーいお席です。

ノクターン2曲は、彼の18番ということもあり、安定した素晴らしい演奏でした。
続いてべートーヴェンの「熱情」。休憩をはさんで「悲愴」「月光」。

べートーヴェンのピアノソナタって、実はすごく難曲なんだと(初めて)思いました。
というのも、ピアノを中級ぐらいまで習ったことのある人なら必ずといっていいほど、
ベートーヴェンのソナタは練習します。私も、高学年の頃には「悲愴」、「月光」を
課題曲にさんざん練習させられました。
だから、何となく自分の中でベートヴェンのソナタの格付けはあまり高くなくなってしまったようです。
技術や技巧的な難しさで言ったら、リストだとかプロコの曲の方が上かもしれませんが、
ベートーヴェンのソナタの難しさは、曲の表現の幅の広さとでもいうのか?
第3楽章まで包括して曲として完成させるには、
ものすごくピアニスト自身が曲を弾き込んで自分のものにしないと完成しない気がするからです。
ユンディ・リのような、抜群のテクニックをもっている人の弾くベートヴェン3曲、
正直、この弾き込みがまだこれからかな?と思ったのです。
音が飛んだり、ミスったりしたからということではなくて、ベートーヴェンの曲の深さを
まだ自分のものにしきれていないというあたりでしょうか。
べートヴェンはテンポが大事。私と兄が子供の頃ついていた近所の岡先生というピアノの先生は、
「悲愴」のレッスンで、それこそうるさくメトロノームを使ってテンポを保つ
指導をしてくださいました。その洗礼は今も私の中で生き続け、ユンディの演奏は
正直異次元世界のベートーヴェン。
だから良くないとか、嫌いとかいうことではなく、
これからもっともっと弾き続けて、円熟したベートヴェンソナタの境地を
開拓して欲しいと思います。
やっぱりピアニストにとってベートーヴェンのソナタは、歳月をかけて極めたい名曲なのでしょうね。
「10年後同じプログラムを聴きたいよね」
演奏会をご一緒した方の言葉。私も同感です。

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このページは、Nancyが2013年12月13日 10:55に書いたブログ記事です。

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