神田須田町は、リアル「江戸東京たてもの園」です。

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私の就活 死ぬまでにしたい108つの事
そのうちの1つは間違いなく、"世の中の美味しいものを食べておく"だと思う。
若い時はさほど"食"に興味がなかったけれど、だんだん歳を重ねる毎に
あれも食べてみたい、このお店も一度は経験しておきたい...というわけで、
確実に食の欲求の占める割合が増えてきて、同時に体脂肪も増えてきて、困ったものです。

それはさておき、
昨晩は鍋を求めて神田須田町へ足を運びました。


お目当ては"伊勢源"。いわずと知れた、あんこう鍋の老舗です。
数年前に日比谷の「一会」でいただいたあんこう料理がむしょうに懐かしくて、
年明けからあんこう鍋が気にかかっていました。

淡路町を降り立ち、靖国通りを店に向かうと、
今日も蕎麦の老舗「神田まつや」は外に列が出来ています。
路地を曲がり「ぼたん」を通り過ぎ「伊勢源」に到着すると、
玄関先にストーブが置かれて、すでに数名の男女が群がっています...
どうやら満席らしく、それなら「ぼたん」に行こうと知人と即断即決。
すぐ2軒先の「ぼたん」の暖簾をくぐり、お店の方に声をかけると
予約なしでもすぐご案内していだけました。
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鳥のすき焼きで有名な「ぼたん」は、明治20年頃から営業をしている、
これまた老舗中の老舗鍋店。建物も昭和初期のとても風情のある佇まいです。


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グラスや箸など乗った低くてこぶりなお膳の横に、真っ赤な備長炭の入った七輪と
鉄鍋がセッティング。お客が来店すると、その横にさらにお膳を組み立てて
具材が置けるように用意してくれます。
来店して3分もしないうちに、お膳や料理の準備がはじめられ、
カップ麺より早いスピード感には驚かされます。
(ちなみに、ビールなどの飲み物のオーダーはいたしますが、鍋コースが前提なので、
お品書きを見ていちいち注文なんぞはいたしません。サイドメニューのお品書きはあります。)

中居さんが最初鍋を仕立ててくださいます。
鳥の脂で鉄鍋の内側をさっと拭い、それから大胆に鳥肉を塊ごと鍋に入れます。
手早く箸で火入れをし、割り下を注いで1人前です。

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鳥肉は、ももや胸、レバー、砂肝など、様々な部位が一口大に切ってあり、
ごった煮なのですが、それも箸をつけてみてのお楽しみで、なかなか楽しいです。
そして、つくねがまた美味しいのなんのって。

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各テーブルの人数分のご飯が入れられて、こぶりなお櫃で提供されます。
最後におみかんがついてくるのも、純日本的で微笑ましい。

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最後、卵でとじて親子丼にしていただきました。

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着物を着た若い仲居さんが、とても明るくよく笑うチャーミングな方で、
今日の食事をとても盛り上げてくださいました。
欄間に書けられている書は、「敬天愛人」南洲翁
かの西郷隆盛の直筆だと教えてくださいました。

この界隈は、老舗のオンパレード。
その昔、連雀町(れんじゃくちょう)と呼ばれていたそうで、
東京大空襲の戦火を奇跡的に免れ、歴史的な建物も多く残っている一帯です。
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まさに、リアル版「江戸東京たてもの園」。

「神田まつや」もそうですが、
昨年の火事でご記憶の方も多い「かんだ やぶそば」、
甘味処「竹むら」etc...
江戸っこなら一度は散策してみる価値ありですよ。

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写真の喫茶店「ショパン」は、創業が昭和8年というから驚きです。
アンプレスというあんこを挟んだトーストが名物なのだとか。

ご一緒した方のお父様は、晩年、「まつや」で一杯ひっかけながら蕎麦を食した後、
「竹むら」や「ショパン」「万惣(フルーツパーラー)」に行くのが楽しみだったそうで、そんな想い出話を聞かせてくださいました。
きっと、この街の雰囲気や空気がお好きだったのだろうなあと思います。
後世に大事に残していきたい場所です。

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このページは、Nancyが2014年1月30日 12:43に書いたブログ記事です。

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