青山のエスパス ルイ・ヴィトンの企画展はいつも楽しみのひとつ。
1月18日からスタートした展覧会"Trace of Disappearance"、日本語に訳すと「消失の痕跡」をさっそく見てまいりました。
儚く壊れやすい世界の現状について「時」という概念を鑑賞者に考えさせる作品展となっています。
畠山直哉氏の写真12点が壁面に飾られ、中央にAnne & Patrick Poirier(アンヌ&パトリック・ポワリエ)氏らによる巨大な円錐形の鳥かごが配置されています。
正面の表参道ヒルズを眼下に望む吹き抜けのガラス窓には、Kasper Kovitz(カスパー・コーヴィッツ)の絵画のような作品が配され、袁廣鳴(ユェン・グァンミン)の映像作品がエレベーター前のモニターに常時映し出されています。
このまったく異色な4人の作家によるコラボレーション企画をまとめたのが、キュレーターであるミュリエル・ランディック氏とエヴァ・クラウス氏。
2人の表現をかりれば、
『Traces of Disappearance』展は風景の表現を出発点に選び、自然の変化から始まり、デジタル時代における自然の非物質化までを辿る
のだそう。
云わば、いただいたパンフレットからの受け売りで...
まあ難しく考えず、ゆったりとした時間の中で鑑賞してきました。
畠山直哉
「Mont Ventoux(ヴァントゥー山)」 (2005/2013)
南仏プロヴァンスにあるヴァントゥー山を撮影した12点の作品。
自然の厳しく荘厳な景色が映し出されていて、その緊張感が伝わってきます。
Kasper Kovitz http://www.kasperkovitz.com/
「The Sheer Size of it(その大きさたるや)」(2013)
ステンドグラスのような絵画の正体は...実はグミキャンディのHARIBO。
時間とともに変色し、いずれ形がなくなっていく、脆い素材です。
彼は多種多様な技法を用いながらも、ほぼ一貫してすべての作品に朽ちていく素材を用いて制作していのだそうです。
Anne & Patrick Poirier
「The Soul of the World "Anima mundi"(世界の魂)」
巨大な円錐形の金網からなる鳥かごには、11羽の生きた鳥が飼われています。そして足元には円錐を取り囲むように言葉が書かれています。郷愁ー歌ー混沌ー夢ー忘却ー美ー憎しみー魂ー香りー寂しさー優しさー儚さー瞑想ーめまいー原型ー神話ー秩序ー廃墟ー情熱ー陰りー静寂ー無意識ー理想郷ーむなしさー欲望ー未来ー笑いー涙ー記憶ー無限ー運命
作家のスケッチをみると、非常に幾何学的で、記号論的な作品に思えます。
袁廣鳴(ユェン・グァンミン)
「Disappearing Landscape - Readon to be a Leaf (消滅する風景ー葉である理由)」(2013)
重なり葉。美しい緑の葉脈は人工的で見る人を惹きつけます。
映像がゆっくりと上か下へスクロールするなかで、時の流れを一瞬忘れそうになり、消滅に向かっていきます。