今年のゴールデンウィークはクラシック三昧。
というとちょっと大袈裟ですが、先日のラン・ランに続いて昨日はエフゲニー・キーシンのピアノリサイタルに行くことができて、これほど幸せことはありません。
しかも、思いがけず良い席のチケットをお譲り頂き、3列目という至近距離でその演奏を堪能。
シューベルトにしろ、スクリャービンにしろ、すべてが円熟した演奏で
見事という表現ではもの足りないほど素晴らしかったです。
それにしても、最近は(大物アーティストの場合)プログラムが有料なのは、いかがなものでしょうか?
先日のラン・ランは1部1,000円だったし、昨日は500円。ラン・ランは、ページ数もそれなりにあり(内容はよく分りませんでしたが)値段相応な気もしましたが、昨日のキーシンのプログラムは、表紙は綺麗な写真でしたが、内容は正直ライナーノート程度な感じ?でちょっとお高いような気がしたのですが...。
ビニール入りの山のような演奏会のフライヤーは不要なので、A4のペラ1枚でも構わないので当日のプログラムが欲しいです。
前半のシューベルトのピアノ・ソナタ第17番は、1曲で30分を超える長大な作品。
特に第2楽章は長いのが特徴で、同じようなフレーズが繰り返され、ややもすると退屈。
でも、微妙な変化を見せるキーシンの演奏に惹き込まれて、長いことさえほとんど感じず。
手と共に口ずさみながらの演奏姿が目に灼きついて離れません。
後半のスクリャービンは、これが聴きたかったという名曲ぞろいで、
私の胸はもう期待にときめいておりました。
まず「幻想ソナタ」。この曲の収録された色々な人のCDを持っていますが、
やはり生の演奏で聴くと、曲の持つ美しさにうっとりしてしまいます。
今日は演奏中思わず天井を仰いでしまいました。
「12の練習曲(エチュード)」Op.8から2、4、5、8、8、11、12番の7曲。
各曲は2〜3分の短い曲ながら、彼がまだ20代前半の若い時の作品で
ロマン派の流れを汲む綺麗な曲が多いです。
旋律の美しい曲や激しい連打のつづく曲などバリエーションに富んでいて、
単体でよく演奏されますが、全部とはいかないまでもチクルス的に聴けたのは嬉しかったです。
息もつかせぬ演奏で、聴きごたえタップリでした。
アンコールの「8つの練習曲」(Op.42)5番も圧巻。
ショパンのアンコールを終えると、会場はほぼ総立ちの拍手。
40代に入って、演奏に深みが増した気がします。
ベートーヴェン、シューマン、ショパン、リスト、レパートリーは非常に幅広いピアニストですが、祖国ロシアの作曲家の作品を積極的に演奏してくれると、個人的には嬉しいですね。
日時:2014年5月1日(木) 19:00 開演
会場:サントリーホール 大ホール
【曲目】
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 Op.53 D.850
Schubert: Sonata No.17 in D major Op.53 D.850
=== 休憩 ===
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第2番「幻想ソナタ」嬰ト短調 Op.19
Scriabin: Sonata No.2 "Sonata-Fantasy" in G-sharp minor Op.19
スクリャービン:「12の練習曲」 Op.8より
Scriabin: Etudes Op.8
・第2番 嬰ヘ短調 No.2 in F-sharp minor
・第4番 ロ長調 No.4 in B major
・第5番 ホ長調 No.5 in E major
・第8番 変イ長調 No.8 in A-flat major
・第9番 嬰ト短調 No.9 in G-sharp minor
・第11番 変ロ短調 No.11 in B-flat minor
・第12番 嬰ニ短調「悲愴」 No.12 in D-sharp minor
【アンコール曲】
写真の通り
キーシンとはちょっと関係ありませんが、
スクリャービンのOp.8-12「悲愴」といえば、
やはりホロヴィッツのこの演奏を聴いてほしいです。
何度見ても、心がふるえます。
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