「リー・ミンウェイとその関係展」から其の1

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行きたいと思い、何ヶ月も前に前売りを買っておいたものの・・・
気づいてみると12月も終わりかけて、会期も残りわずかと知って大慌て! ついでに、前から使おう使おうと思っていたヒルズ券1,000円分も、よく見ると、有効期限が12月25日までになっていて・・・ あわてて23日の天皇誕生日に家を飛び出し森美術館に出かけました。

祭日のせいか、はたまたクリスマス前だからなのか、六本木ヒルズの周辺は人で賑わっています。

美術館のチケット売り場がごった返していたのは、どうやら森アーツセンターギャラリーで開催されている「ティム・バートンの世界」がお目当てのよう。あちらは入場まで何十分待ちといった案内があるけれど、こちらはずっと落ち着いた雰囲気で鑑賞できるので嬉しいです。

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リー・ミンウェイ(李明維)は、台湾出身で、ニューヨーク在住のアーティストとのこと。その名を今回の企画展で知りました。参加型のアートプロジェクトを多数手がけることで有名なアーティストだそうです。

SECTION 1 関係性、つながり、あいだについて考える
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《プロジェクト・女媧(ヌワ)》

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《プロジェクト・繕う》

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《石の旅》2012年

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《名匠の目》2014年 鑑賞用アルバム

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《プロジェクト・女媧(ヌワ)》
このプロジェクトは、中国や台湾に伝わる民話がもとになっています。空に開いた大きな穴を女神が自らの身を犠牲にしてふさぎ、女神の子どもである私たちを守ってくれた、という話です。このプロジェクトでは凧の作品を所有する人が凧を揚げて糸を切り、ヌワが空の穴をふさぐというイメージです。凧は飛んでいってなくなってしまう。でもヌワが空の穴をふさぐことで人々を助けることになり、豊かな感情と満足感で心が充たされることになるでしょう。これは作品を物理的に所有することと精神的に所有することとのジレンマに関するアートなのです。今回はそのプロジェクトに使った凧が展示されていました。

《プロジェクト・繕う》
入ってすぐの部屋の壁には、たくさんの糸巻が飾られています。よくみると、テーブルの上に着古した洋服やハンカチ、バック、ポーチ、ぬいぐるみなど、いろいろな布製品が無造作に載せられ、壁の糸巻からでた糸とそれらが繋がっています。フライヤーのイメージにも使われているこのプロジェクトは、参加者が自分の布製品を提供しアーティストまたはホストが壁の糸と結びつけるという作業をしながら会話し"つながる"というものです。私もその場で持っていたタオルハンカチで参加いたしましました。
ホストの方とアートの話やいろいろなお話からローカルな話題へ発展。なんと意外にご近所だったりっと・・・楽しい会話で"つながり"ました。

《往くと留まるのあいだ》撮影禁止のため写真なし。
砂とランプとサウンドによるインスタレーション。

《石の旅》
2つ同じ形をしたオブジェがそれぞれ11組、木の台座に並べられています。片方は作家がニュージーランドで拾ってきた美しい形をした石で、もう片方はそれをブロンズで作ったもの。この作品を購入した人はある時点で、2つのうちのどちらかを捨てなければなりません。本物の石は7千万年の歴史がある自然の産物、作家が台湾で作らせた複製は人工物です。これは所有とは何か?価値とは何か?を問いかける作品。自然の石と人工の石、どちらに価値を認めるのかという問題です。またどちらかを捨てることによって、決して安くはない対価で購入した作品を破壊することになります。でもそのことから、新しい"石の旅"が始まりるというもの。破壊が創造のきっかけになるのです。この作品の所有者は、まだ誰一人として捨てずに所有しているのも面白いです。

《名匠の目》11人の作家による創作模写
コピーや模倣の概念にも深い関心を寄せる作者が、台湾のアーティストやアジア以外の地域で活動するアーティストなどに、中国清代初期の作家石濤の作品をもとにそれぞれのアーティストのスタイルで模写作品の制作を依頼。依頼をうけた作家たちは、順番に石濤の作品画像に自分の描いた模写を添え、次のアーティストへとわたっていきます。石濤によるオリジナルと、他のアーティストによって制作された模写の両方を参照しながら、次のアーティストが新たな模写を描いていきます。このような師の作品を真似ることで自分の表現を高めていく東洋的アプローチの台湾の作り手たちと、オリジナルの意図を継承しつつ自己表現へと転換していく近代西洋的な考え方に根ざしたアジア圏以外の作り手たちという2つの流れの中に、さまざまな試みが生まれています。「継承する」ことの意味を問いかけているようです。

体験参加型のアート「リー・ミンウェイとその関係展」。まだまだプロエジェクトは続きます。
SECTION 2は追ってアップしていきますね。

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リー・ミンウェイとその関係展:
参加するアート―見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる
会期:2014年9月20日(土)-2015年1月4日(日) 10:00-22:00(火曜日のみ17:00まで)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
入場料:一般1,500円、学生(高校・大学生)1,000円、子供(4歳-中学生)500円

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このページは、Nancyが2014年12月24日 19:20に書いたブログ記事です。

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