東京都現代美術館「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」

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東京都現代美術館で開催されていた「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」。
招待券をいただきながら、なかなか足を運ぶことが出来ずとうとう会期末を迎えてしまいました。
そもそもミシェル・ゴンドリーなる人物をよく知らないことや、ワークショップ中心の子ども向けの企画展なのかな?という印象など、どうもイマイチ関心を持てなかったというのが本心。
同時開催の「新たな系譜学をもとめて」は逆になんだか難しそうで・・・
せっかく招待券を両方いただいたので、2枚とも無駄してはなんだなあ〜というわけで、朝早くでかけることにしました。

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まず最初の会場に入ってびっくりしました。壁いっぱいに手書きのポートレイトが貼られているのです。
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「1000人の似顔絵(レプリカ)」

1枚1枚丁寧に見ると、そこにストーリーがあり、活き活きした人間が見えるよう。
これは、私好みの展覧会かも!?という、嬉しい裏切りの予感がしてきました。
そして、この絵の横に貼られた作者本人の言葉を読んで、今日は来て良かったと確信しました。
それは、こんな文章↓です。
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"このポートレート・ファクトリーは、たとえばニューヨークのユニオンスクエアかどこかで、スピード写真ブースならぬスピード似顔絵ブースをつくるというアイディアから生まれた。ブースはお客さんの座るところと僕の座るところにわかれている。来た人はマジックミラー越しに僕の前に座って、20ドル紙幣を差込口に入れる。僕側では、出てきた20ドル札を掴み、素早く似顔絵を描いてサインをするーこれはいい商売になると思った。

曲がりなりにも店でDVDや本にサインをする機会が時々ある僕は、サインの入った関係者の似顔絵を持ち運ぶのが日課となった。人の顔を描くというのは2つの理由で難しい。まず、家や風景を描くようにはいかない。例えば木を描くとしよう。枝を一本描き忘れたところで誰も気づかない。そりゃ僕も目を一つ描き忘れるなんてことはしないけど、2つ目の目を描き終わったところで、もう片方の目と位置がずれていたりしたら、その人はかわいそうだけどモンスターのような風貌になってしまう。
その次の壁はもっと高い。人間らしい顔が描けたとしても、果たして似ているかどかを気にしなければいけない。この不思議な化学反応は顔のパーツの微妙な配置にかかっている。壁は高いほど越えたときの喜びは大きい。ごく稀にだがきちんと似ているものが描けると、満足感もひとしおだ。

その冬は寒かったのでユニオンスクエアに笑顔絵ブースをつくるのをやめた。その代りウェブサイトでこんな商売をすることにしたーE-mailで写真を送って20ドル払うと、僕が似顔絵を描いてその人に返送する。2週間で1600件も注文が殺到した。そこで受注をストップし、これまで受けた分だけでも商品を送れるか考えなくてはならなかった。納品のための努力はまだ続いている。"
 
ーミシェル・ゴンドリー
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思わず笑ってしまいました。
こういう遊び心が満載の人、大好きです!ミシェル・ゴンドリー氏のことは何も知らないけれど、とても陽気で楽しい人であることは間違いないようです。

次のコーナーで、一気に彼との距離が縮まる事実が判明。
ゴンドリーの代表的なミュージックビデオ作品19本が紹介されている"Around the World in 19 Videos"。
その中になんと、私の大好きなビョークのミュージックビデオがあったのです。

ビョークは、非凡な才能をもつすごいアーティストだと私が常々尊敬するミュージシャンです。彼女の夫のマシュー・バーニーは現代アートの有名な作家で、とにかく先鋭的な活動をし続けているビョークのミュージックビデオを手がけたという事実だけでゴンドリーの力量を知るには十分なのです。

björk - bachelorette

ずいぶん昔のミュージックビデオですが、↑これをかつて初めて見た時その映像世界に衝撃を受けました。
チャップリンの映画を思わせませんか?ウィット満載の映像はゴンドリーワールドだったのですね。

björk - Army Of Me

どちらもゴンドリーの作品。とにかく独創的な世界観が魅力的ですよね。


第1部「ホームムービー・ファクトリー」
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ミニチュアセット
ハンドルを回すと、ベルトコンベアが動き風景が変わるという仕組みの映像セット。

これを撮影するとこんな感じ。





HOME MOVIE FACTORY
12種類のセットが用意されていて、いろいろなシーンを撮影できるのです。
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映画製作のワークショップも開催されていて、映像に興味のある人にはとても勉強になりますね。

最後の展示コーナーである1階には、ゴンドリー監督作品の映画「ムード・インディゴ」に使われた小道具などが展示されています。
残念ながら映画を見ていないので、いまひとつ小物の意味が分からないのですが、とてもユニークなものがいっぱい。
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残念ながら1/4で展覧会は終了しました。
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ミシェル・ゴンドリー プロフィール
1963年フランス、ヴェルサイユ生まれ。
28年にわたるキャリアの中で数々の短編、長編映画、ミュージックビデオ、CMを手がけ、独創的な世界観と映像魔術の手法で広い世代に熱狂的なファンをもっています。

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このページは、Nancyが2015年1月 6日 20:07に書いたブログ記事です。

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