2015年5月アーカイブ

「ピアニスト辻井伸行 奇跡の音色 ~恩師・川上昌裕との12年間の物語~」

涙が出ました。

久しぶりに、感動する書籍にめぐりあいました。

この本を読むきっかけとなったのは、川上昌裕さんです。

川上さんは、ロシアの作曲家カプースチン氏の演奏家、研究者として著名な方で、なんとご本人との親交も深く、2009年にピアノ曲(Op.137-138)を献呈されているほどです。現在、日本カプスーチン協会の会長もされています。

ひょんなことから、カプースチンの曲に惚れ込んでしまった私は、最近もっぱら聴いているのが彼のピアノ曲です。

雰囲気からいうとクラシックというよりJAZZなのですが、名門モスクワ音楽院ピアノ科を出ているカプースチン氏は、卓越した演奏技術を自身が持つため、高度なピアノ曲を次々に作曲。カナダのピアニスト、マルカンドレ・アムランなど、超絶技巧を誇るクラシック畑のピアニストが、彼の魅力に取り憑かれ、演奏活動やCDを出しています。

世界的には有名なカプースチンですが、日本ではまだ一部の熱狂的なファン以外にはあまりその名は知られていないのがちょっと残念です。

とにかく、クラシック通をも虜にするような曲をたくさん作曲しているカプースチン。

なかでも私が好きなのは、Andante (Op.58)という曲です。

ついついカプースチンの話になると熱くなってしまう私です(笑 時々ラスプーチンとこんがらがって、カプスーチンと言ってしまう恥ずかしい私でもあります)

話を戻すと、カプースチンがきっかけでピアニストである川上さんを知り、その川上さんが実は辻井伸行さんの才能をここまで開花させた素晴らしい師であることを川上さんのサイトで知り、この本に行き着いたのです。

期せずして、今年のニューイヤーコンサートで辻井さんの演奏を初めて聴くこともでき、これも不思議な巡り合わせです。

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水戸に向かうバスの中でこの本を読み、車中で涙流して読みました。

そのぐらい胸を打つ中身です。

何がすばらしいのか?それは書かないでおきます。読めばきっとわかるので...

最後に、辻井君が演奏する美しいカプースチンの曲をどうぞ!↓

演奏:辻井伸行 カプースチン作曲 8 Concert Etudes for Piano Op.40-2

TEDをご存知ですか?

Eテレの「スーパープレゼンテーション」(毎週水曜夜10:25〜10:50)でご存知の方も多いと思いますが、 本家サイトには随時動画が更新されており、 時間がある時、面白いものをピックアップして見ています。 最近見たもので実に感動した日本人のプレゼンテーションがあったので、ご紹介します。

建築家 手塚貴晴さんによる、自由でのびのびとした実に魅力的な幼稚園が紹介されています。

後でこの幼稚園について調べたところ、東京の立川にある「ふじようちえん」のことだそうです。

トークでは詳しく触れませんが、この幼稚園を実現させた園長先生は一体どんな方なのでしょうね。きっと魅力的な方にちがいないです。

そしてもう一人、この幼稚園の立役者にデザイナーの佐藤可士和さんもいっちょ噛みしていると知り、私もデザイナーの端くれとして、大変興味を持ちました。

一度見学してみたい幼稚園です。

最後に、手塚さんの英語によるトークが見事です。難しい言葉を並べて説明をするではなく、一言で写真の説明を表現し、それが会場の笑いを誘います。

流暢な英語というよりは、豊かな表現力でつい笑ってしまう講演。

ぜひご覧になってみてください。

非日常的上質時間 @築地 河庄利宮

人をビックリさせたり、喜ばせることを考えている時は、本当に楽しいです。

サポーターでもあり、日頃とてもお世話になっている方の誕生日が5月14日ということで、何かお礼ができないものか?と、ずーーーと考えていました。

相手に喜こんでもらえることを察する、というのも一つの脳トレな気がします。

私の周りで、そういうことがとても得意なのが義母。

相手の嗜好や生活スタイルなどを鋭く分析し、気のきいた贈答品やお食事にご接待するなどの気配りに、見ていていつも感服してしまうのです。
母の爪の垢を煎じて飲んでいますが、まだまだローマは一日にしてならず...です。

というわけで、今回のお祝いも実は相当頭を悩ませました。

花を贈る。趣味の物を贈る。・・・やはり相手をあっ!と驚かせるようなサプライズが欲しいもの。

グルメな方なので、やはり手に入りにくいスィーツとか、取り寄せのお酒とか?

デパ地下をあてもなく徘徊したり...どれもあまりピンと来ず...
そうこうしているうちに、宅急便で贈るタイミングを逃し、誕生日の14日が過ぎてしまい...

いろいろ悩んだ挙句、ふと思いついたのが『ちょっと上質時間をプレゼント』というアイディア。

ちょうど、汐留の音楽ライブで1週間後にご一緒するので、その後素敵なお店で軽くご馳走するというもの。

汐留周辺のお酒を飲める店を片っぱしから食べログで検索し、数件ピックアップ。素敵な店ほど、予約はマストですが、ライブ終了時間が読めないので、いろいろ策略を巡らしました。ご本人には、当日いきなりお誘いするので、相手の方の了承をいただけたと想定した上で、もし9時半までにライブ会場を後にできるなら、「河庄利宮」。午後10時近くだったら11時まで営業の「河庄利宮」は諦め、夜景の綺麗なカレッタ汐留の「マジェスティック」にお連れすることをプログラミング。

「河庄利宮」は、食べログのレビューを読んで、私がすっかり行きたくなってしまったお店です。河庄双園という老舗の料亭に隣接するダイニング&ワインバーで、料亭の女将が経営しています。

ワインバーとはいえ、お料理がかなり本格的なイタリアンが楽しめ、コースもあるそうですが、アラカルトでいただけます。原一生シェフの本格的なイタリアンをいただける一方で、河庄双園の厨房で作る和食メニューにあり、また酒飲みには嬉しい〆のラーメンもあったりする、おもてなしの心にあふれています。

きっとこちらなら、内容的にも気に入っていただけるのでは?...と直感的に感じました。

そして、おおばせいこちゃんのこの日のライブは盛大に終わり、時間は9時ちょっと過ぎ。これなら間に合う!ということで、すぐお店にお電話し伺いました。

場所は、東京メトロ「築地駅」を出て新大橋通りを築地市場方向に向かって歩いて行くと、芥川賞選考会場で有名な老舗料亭『新喜楽』のある交差点に来ますので、そこを右折してしばらく行くと頭上に『河庄双園』と書かれた看板がみえてきます。その看板のあたりにお店があります。
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まず、この扉の開け方に一瞬戸惑います。
ノブも何もないので、「開け〜ゴマ!」と言った人も居るとか、居ないとか...
(私はレビューで、実は開け方を知っていましたが...)

中に入ると、そこは私たちのようなごく一般的な人間にはちょっと非日常的空間。
当然、ドキドキ。奥から女性がすぐ迎えてくださり、お電話した者ですとお伝えすると、
とても気持ち良くカウンター席の一角に案内してくださいました。

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まずはお祝いということで、シャンパンで乾杯!!
曲線が美しい、すごく洒落た形のグラスです。
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お通し
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お酒の供に頼んだお料理「さくらユッケ」

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オードブルの盛り合わせ(1人前)

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シャンパンはあっという間に飲み終わり、2杯目にいただいたのはムルソー(MEURSAULT)。
白ワインの名産地としてブルゴーニュでも3本の指に入るムルソー。ワインのことはさっぱりですが、いただいたワインは間違いなく美味しいと思いました。
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壁にかけられた絵画はすべて、島根出身の画家 石本 正(いしもと しょう)さんの作品。
地元浜田市にこの方の作品を収蔵・展示するための石正(せきしょう)美術館というのがあるそうです。
背後の壁には彫刻が並んでおり、実に洗練された空間です。
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ポーク料理
(1人前でお願いしたところ、はじめから2皿に小分けして盛り付けしてくださいました。
取り分ける手間も省け、ちょっと嬉しい気配りです。)
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最後のお肉にあわせていただい赤。
Gevrey Chambertin Clos de Meixvelle
DOMAINE Pierre Gelin

一流とはこういうところにあるのだろうなあ〜と思わざるおえないような見事な接客で、
最後まで心地よい時間を過ごさせていただきました。

このブログを書いていて"男性が女性をデートに誘う時"って、きっとこんな思考回路なのだろうなあ〜と思えて、笑ってしまった。なんか女性を誘惑しようと考える悪い男になった気分がしてきました(笑)

世界的な美術の祭典、第56回ヴェネチア・ビエンナーレが5月9日に開幕しました。

開幕日には「金獅子賞」及び各賞が発表され、国別パビリオン部門ではアルメニア館、企画展参加アーティスト部門ではエイドリアン・パイパーがそれぞれ金獅子賞を受賞しました。

さて、この世界中のアーティストが参加し開催されるヴェネチア・ビエンナーレですが、我が日本館の今年のアーティストはベルリン在住の塩田千春さんです。

《掌の鍵》というタイトルの大規模インスタレーションで、なんと18万本の古い鍵(一般から募集して集めた)を使用した作品とのこと。

(もちろん現物を見ていないので正確なことはわかりませんが)写真によると、広い部屋に木製の船が2艘床に配置され、天井から垂れ下がって空間を埋め尽くす赤い糸と、糸の先に結ばれた膨大な数の鍵。 非常にスケールの大きな作品のようです。

日本館公式サイト http://2015.veneziabiennale-japanpavilion.jp/ja/

塩田さんというと、鮮烈な印象に残っているのが、"越後妻有大地の芸術祭の里"でみた"家の記憶"という作品です。

以下の写真は、2012年に撮影した"家の記憶"です。

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古い民家の内と外の至る所に黒い毛糸が縦横無尽に張り巡らされており、人が鑑賞するために家の中で立ち入れる場所は、ごく限られた空間になっています。

張り巡らされた糸の奥には、地元の方々から収集した「いらないけれども捨てられないもの」が飾られています。まるで、毛糸によって封じ込められているかのように...

糸をモチーフにした現代アートといえば、まっさきに思い浮かぶのが塩田さんのインスタレーションです。

少々前置きが長くなりましたが、つい最近行った2つの展覧会は、いずれも『糸』が密接に関係するもので、塩田さんの日本代表といい、何か非常に面白いつながり?というか、見えない糸のようなものを感じた次第。

1つは、青山のエスパス・ルイ・ヴィトンで開催されている、その名も赤い糸"Le fil rouge"。

もう一つは、飯田橋のMIZUMA ART GALLERYで開催中の青山悟さんの展覧会『名もなき刺繍家たちに捧ぐ』

以下の写真は、青山のエスパス・ルイ・ヴィトンでの展示の様子です。

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Tatiana Trouve "250 Points Towards Infinity" 2009


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Michael Raedecker "mimicry" 2014


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Ghada Amer "Color Misbehavior" 2009

写真以外の作品
Hans Op de Beeck "The Thread" 2015
Full HD Video, sound 15'30

ここは写真撮影がOKなので、本当に嬉しい限り。

個人的な感想を言わせていただくと、4人の作家の作品の中で実は映像作品が一番良かったです。

ハンス・オプ・デ・ベークというブリュッセル在住のアーティストによる作品で、若い一組の男女の愛を描いた人形劇の映像。 内容は"日本の文楽を意識した"とある通りに黒子達が腰ぐらいまである大きな人形を操り、非常に繊細な動きで見事に感情やストーリーを表現しています。

映像作品がちょっと苦手な私ですが、惹きつけられた作品です。

機会がございましたら、ご覧になってみてください。

余談ですが、ルイ・ヴィトンのパリ会場で行われた同テーマ(le fil rouge)展では、塩田さんの作品が展示されているそうです。

昨晩は、saYuri & Seamanさんのライブでした。

デュオで初めてとなるCDアルバム《Love Story》が、今年の春に完成。
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そのCD発売を記念したライブを5・17(日)に地元川口のLive Space CAVALLINOで行うとのことで、お2人からわざわざご招待をいただき、参加してまいりました。

ピアノとヴォーカルを担当するsaYuri さんと、Bassを演奏するSeamanさんのデュオです。
大人のサウンドを聴かせてきれたsaYuri & Seamanのファーストステージ。
オリジナル曲中心。Seamanさんの歌声も聴かせてくださいました。ご本人は緊張の為か汗だくです^o^
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2nd ステージは、cotocotoさんという、ヴォーカルとギターのデュオグループの演奏。
そして、3rdステージはcotocotoさんを交え、5人のアンサンブルによる演奏、ととても楽しい内容でした。
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cotocoto のヴォーカルの方(お名前知らないのです)とsaYuriさんのハーモニーは美しかったです。
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オリジナル曲あり、saYuriさんが大好きだというカーペンターズの名曲『Close to you』や、ユーミンの『ひこうき雲』といったカバー曲など、、、
私たちの年代なら誰でも馴染みのある音楽のオンパレードで、会場はとっても盛り上がりました。
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リリース本当におめでとうございます。
saYuriさんとは「Nostalgia」に続く今回のアルバム制作のお手伝いとなりました。
共に一緒に歩んできた感じがします。

saYuri姉さん、これからもよろしくね。

【後編】を書く前に、、、
昨夜のTBSの情熱大陸に、山口さん取り上げられていましたね!

すっかり売れっ子です。

昨夜は『ダウントン・アビー』を観るか、『情熱大陸』にするか、しばし葛藤。やっぱり山口さんでしょ!ということでTBS観ました。
情熱大陸は30分番組なので、終了後チャンネルを変えれば、ダウントンの後半30分は観れると踏んで、慌ててチャンネルを変えたらなんかスポーツ番組をやっていて、びっくり仰天。ダウントンは何処へ? 番組表からも消えていて、何で放映中止になったのかしばし理解できなかったのですが、橋下会見のゲリラ攻撃らしい。得した気分。シーズン3の第9話は来週ちゃんと観れるぞお。

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再び美術館に戻ってくると、、、、

な、な、なんと!

広場に面したカフェの窓際席に、山口さんが座っているのが見えるではありませんか!

こりゃ大変!ということで、慌ててショプに駆け込み、カタログを購入し直行。

すでにサインと写真撮影を求めるファンが自然発生的に列を作って並んでいたけれど、公式サイン会とは違ってとってもラフな雰囲気。

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順番がやってきたのでご挨拶をすると、「よろしかったら、どうぞお掛けください」と椅子をすすめてくださいました。(もちろん、私だけ特別にではないのですが、それがなんかとても嬉しくて、つい舞い上がってしまいました...) ほんの1〜2分でしたが、会話もさせていただき、やっぱり来て良かった〜!

ご本人にお目にかかるのは、実は今回で2度目。数年前の三越ギャラリーでのサイン会以来なのですが、あの時は関係者のガードが固くて、ろくに話しかけることも出来なかった・・・

とっても自然体な山口さんとお話しできたという、思いもかけないアーティストさんとのふれ合いは実に嬉しい思い出になりました。

鑑賞し残していた第6室の「続・無惨ノ介」もゆっくり読むことができたし、目出度し々。

それにしても、この個展は山口さんにとって相当ヘビーなものだったようですね。作品が未完のまま会期がスタートしてしまったり、取材も相当多かったようですし。時間的にも精神的に辛かったに違いありません

それだけに来て良かったし、展覧会を拝見し、絵師としての山口さんが更にステップアップした気がしました。これからが楽しみだわ。

益々ファンになってしまった私です。

水戸編 -完-

昼食をとるため、一旦美術館を出ることにしました。

まず行ってみたのは京成百貨店のレストラン街。
水戸芸術館のある泉町周辺で一番の商業施設といえばこの京成百貨店。1階にはLOUIS VUITTONも入っているような、立派なデパートです。
せっかくなので、水戸ならではの食にありつけないか?という期待を抱きつつ、最上階のレストラン街へ向かいました。
行ってはみたものの、んーどの店もちと違う。
結局納得できず、もうすこし周辺を探すことにしました。

もう時間も2時をまわろうという時刻で、百貨店のすぐ脇に良さそうなビストロを1軒見つけたものの、どうしようか迷っているうちに営業中の看板をお店の方に外されてしまうという事態に。
だんだん贅沢なぞ言っていられない状況になってきました。急がねば...
百貨店前の目抜き通りをトボトボと大工町方面に向かって歩くこと数分。
ちょっと雰囲気のある建物を発見!
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外のランチメニューの「常陸牛」の文字に惹かれて入ることに。
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※帰りに撮影した写真なので「支度中」になっています。
実はこちらのお店、通りに面した店ではないのです。
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路面の店はカウンターバー↑(路地側から見た写真)なので昼間は営業していません。
最初ランチを食べれるお店の入口が分からなくて、けっこう焦りました。
路地の先かな?と思い、すこし中に入っていったところ、バーの先が厨房になっていて、
横長の窓越しに料理人と思しき方と目があってしまい、てっきり立ち入っちゃいけない勝手口だったのかと勘違いして慌てて大通り戻ってきてしまいました。
結局、この営業していないバーに入っていって、カウンターで準備をしていたお店の方に伺ってやっと分かったという次第。
店の右横の細い路地を(厨房も抜け)かなり奥に入っていった先に玄関があり、そのまた奥がお店で、中庭を見ながら食事できるようになっていました。
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まるで江戸東京たてもの園にあるような古い民家を再現したのか?はたまたリノベーションしたのか?
昭和初期の風情で、旅女が好むようなインテリア。
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押入れを改造したような半個室が面白い。
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常陸牛すじ肉入り煮込み膳を食しました。
とっても美味しかった牛すじの煮込み。味付けがさっぱりしているのが特徴。
BGMの小野リサのボサノヴァがまったり心地良い。

お腹も満足したところで、また美術館に戻って残りを鑑賞するとしましょう。

外に出ると、お日様が差していて、空が明るくなっています。
気分がよくなって、お店の外観写真など撮影していると、昼食をいただいたお店の2軒先に、気になるお店を発見!
「水戸名物 十銭屋」という、なんだかトマソン的看板ではありませんか!
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あまりに気になったので、覗いてみることにしました。
軒先の商品?を見ると、小さな盆栽や急須やら、お墓の脇に立てる陶器製の花立とか...
カテゴリーとしては何屋でしょうか?陶器とか器の店かな?
それにしても、看板のインパクトは凄すぎです。

来た道をぶらぶら美術館に向かって歩き出すと、ゆるキャラに遭遇。
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水戸のキャラクター「みとちゃん」。納豆と黄門様をかけあわせたゆるキャラといったところでしょうか。

ランチをいただいた「穴とら屋」もそうでしたが、時折みかけるこういった路地風景。
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街を歩いていて音楽が結構聞こえてくるのも、面白い。
(アイドルが歌っているような音楽だったり、お正月に聞かれるような琴のサウンドとか...店が大音量で通行人に聞かせているのか?はたまた商店街のスピーカーみたいなものなのか?いまいちよく分からないけれど、けっこう音楽が流れている街です...)

実に興味ふかく、ちょっと不思議な街かも。

5月中旬というのに、東京でも28度を記録した今週。
ふと気づけば、大好きな山口晃画伯の展覧会が今週末には閉幕。

会場が茨城の水戸ということもあり、少々出かけることに二の足を踏んでいた私ですが、4月26日夜のNHK日曜美術館『画伯!あなたの正体は?ドキュメント・山口晃』の番組を観て、無性に行きたい!と。
多数の新作。そして何より、作家本人がこだわりぬいた展示方法に、これは現地に行かねばきっと後悔する...そんな焦りから、会期終了前日の土曜日に行ってまいりました。
東京駅からJRの高速バスがとっても便利。泉町1丁目というバス停で降りて、歩いて2〜3分なのです。

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水戸芸術館の目印は、右の高い塔。
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黄色の旗が面白かったので、写真に撮っておいたのですが、
帰りのバスの中でカタログをペラペラめくって観ていたら、これも作品だったことに後になって気がついた次第。
「七人の侍」にでてくる旗を模したものだそうで、「◯」は自分が属したいもの、「た」は属している(た)もの、「△」が自分なのだとか。ちょっと映画を観ないと分からないなあ。

さっそく展覧会場に行ってみます。
同日なら何度でも再入場が可能というのが、なんとも大らかでいい。
東京の美術展は、(殊に人気のある展覧会に限って)再入場できないものが多いです。美術展って最初から最後まで一気に観ようとすると、けっこう足が疲れるのですよね。もうあまり若くないからかなあ。なので、途中まで観てちょっと食事やお茶でもしてまた体力を回復させてから、引き続きゆっくり残りを観て....そんな時間の使い方ができると、実に嬉しいのです。

さて、第1室に入っていくと、ベルトポールパーティションなるもので中央に通路が作られており、壁の絵には近づけないような展示になっています。どうやら「この部屋はざっとスルーしろ!」ということらしく、通路に従って部屋を進んでいくと、妙な仕掛けのゲートのようなものが現れました。これは順路に従って進むと、どうしても行きと帰りで人がクロスする箇所が出てくるため、その交通整理の役割をしているもののよう。
なんか、こういった仕掛けも山口ワールドっぽいぞ。

第2室は、壁を黒く塗られた細いコの字型の路地を進みます。この時点での作品は一切なし。

そして、第3室。
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基本的に会場内は写真撮影がNGなのだけれど、第3室のこちらの展示だけはOK。
「忘れじの電柱 イン 水戸」という作品。
2012年に銀座のメゾンエルメスで開催された『望郷』でも電柱作品を観たことはありましたが、今回は階段を上って細部を間近で鑑賞できるというおまけつき。
山口さんにとって、電柱は特別なモチーフです。そのことが写真と反対側の壁に絵と説明があるはずなのですが、順路からすると、まだ観ることはあたわず...それについては、また後で

続いて、第4室。
また壁を黒く塗られた細いコの字型の路地を進むのみで何もなし。

第5室に入って、やっと目の前で絵を鑑賞することが許される空間に案内されました。
とにかく山口さんの絵は、細部までしっかり観たい作品ばかりなので、遠巻きに鑑賞するのはストレスが溜まります(笑)。ホッとして、壁に近づきじっくり鑑賞です。
「14. ポータブルマン」・・・山口さんの着眼点にはいつも脱帽。
「16. ワールドアパートメント」・・・山口さんには珍しいビデオワーク!
「17. 前に下がる 下を仰ぐ」・・・今回のパンフレットにもなっている作品。カタログのコメントが笑える!
『展覧会のメインビジュアル用に描きましたが、旧知の先輩曰く「いく気がおきない」絵になってしまいました。悩みすぎるのも考えものです。現状報告と云った所です。』
ずいぶん辛辣なことを言う先輩ですねえ。
会田さんとかかなあ
「18. 日々のてならし」・・・まるで鳥獣戯画みたいなさらっとした筆描き。テレビ番組でも紹介していたけれど、これは1日の描き始めの準備運動のようなものらしいです。河鍋暁斎は観音様を描いたけれど、山口さんは自分の奥様と自分をモチーフに描いているのだそうです。そんな日々の手慣らし作品が多数壁に貼られています。筆の線が生き生き踊っていて、やっぱり山口さんは絵師だわと思う。ますます好きになってしまう。
「19. 食日記」・・・日付とその日食べた食事が墨で描かれた絵日記作品。
「谷中 Fや」「日暮里 川むら」とかお店の名前もあり、料理の感想も一言添えてあったりして、実に楽しい。
「20. 紙ツイッター」・・・今回一番笑えました!
SNSというツイッターを、なんと本物のノートでやってしまおうという発想。ありえない....
シニカルなつぶやきあり。自虐的なつぶやきあり。
日々ノートに一人綴るツイートに、いつしかフォロワーが1名。
奥様も参戦しての紙ツイッター。2/18 23:43を最後に、15ページに渡る紙ツイッターは終了。ぜひ続きを期待したいです。
他にも「大和撫子」「フール」といった作品がありますが、そろそろ次の部屋へまいります。

この第5室がどん詰まりで、こんどはいま通ってきた部屋にUターンして戻る仕組みになっています。

第4室(復路)

行きは通路しかなかったこちらのお部屋。ここには「日々のよしなし言(美術って)」という筆書きの漫画のような作品が展示されています。これから第1室の展示に向けての準備とか心構えのようです。

第3室(復路)
お次は、先ほどの電柱のある第3室です。こんどは、階段の方には行けず、壁伝いに電柱にまつわる作品を鑑賞。
「13. 自由研究(柱華道)」(2015)・・・・電柱の美について分析。これを読むと、電柱が愛おしく思えてくる。
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第1室(復路)
やっと第1室の絵画がじっくり鑑賞できるポイントまで来ました。
この部屋の作品は、大きめの油彩が中心。半分以上は今年完成したばかりの新作です。
中でも、「2. ショッピングモール」という作品は、山口さんを最後まで手こずらせた大作です。
展覧会がはじまってもなお、毎日閉館後山口さんが手を入れ続けたというこの「ショッピングモール」。130×324cmの大キャンバスには山口さんが育った桐生市の街が描かれています。中央に突如出現するショッピングモールは、かつて活気のあった商店街へのオマージュとも。

この部屋の作品はどれも見応えがあって、画伯の画力を見せつけられるのですが、その中でも「お〜」と思わず声を出しそうになったのが、「6. オイル オン カンヴァス(本歌 西本願寺 襖絵)」(2015)という作品。
真っ白のキャンバスにオイルで描いたという風景画は、照明を当てると油の艶で光る部分とそうでない沈んだキャンパスの白との対比で、絵が浮き上がって見えてくるというもの。実に幻想的で、見えて来る風景に奥行きがあり、素晴らしい。
山口さんの新境地なのか?


今回の展覧会について、作家ご本人のインタビューがありましたので、ご興味がある方はご覧ください。

そろそろ1時半にもなろうという時刻。
小腹も空いてまいりましたので、まだ2部屋を残しておりますが、一旦休憩。昼食をとることにしました。(再入場も可能ですしね。)

昨日は、今泉利恵子ちゃんと西日暮里にある"シャレー スイス ミニ"で待ち合わせをしました。
西日暮里駅から道灌山方面に諏訪台通りを歩いて5分くらいのところにある山小屋カフェで、お天気の良い日にこのお店のテラスでいただくお茶はとっても気持ちがよいのです。
待ち合わせたこの日は土曜で、お天気がいまひとつ残念だったかな、、、

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今泉利恵子ちゃんとは、昨年CDデザインをさせていただいた東潤子ちゃんの紹介で、ファーストアルバムとなる今回のCD"Honesty"のデザインのお仕事をさせていただきました。
待ちにまったそのCDが、このGW前に完成。
出来立てほやほやのCDを持ってきてくださり、2人で楽しくお茶をしました。

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今年2月に初めてお会いした時の第一印象は、"清楚なお嬢さん"。
普段は小さなお子さんを相手にするお仕事とのことで、本人もご家族の愛情に包まれてスクスク育ったということが会話の端々に感じられる、絵に描いたような素直な人柄で、すぐ打ち解けました。ただ、デザインという観点から考えると、どういう方向に持っていこうか?と内心考えこんでしました。
多少個性的でクセがあるぐらいの方が、デザインへのインスピレーションがわきやすいのです。
打ち合わせをしているものの、デザインのヒントとなるものが私の中で掴めないまま、"無難にまとめる"道を探りはじめていました。
とにかく素材(写真やアルバムタイトル、楽曲などの情報)をその場で出していただくことにしました。
ジャケットに使う写真は、ご本人がアップで写っているものを4種類ほどチョイス済みで、この中から最終的にどれかに決めたいとのことでした。 顔の表情は伏し目がちだったり、カメラ目線だったり、と4枚とも違うのですが、基本的にはどれも同じポーズ。でも、顔の表情以上に私の目を惹きつけたのが、キッチュなデザインのクラッチバックでした。

「すごく洒落たデザインのバックですね!」
と写真の中の小物に話題を向けたところ、利恵子ちゃんにスイッチオン。
急に彼女の表情が豊かになって、特別な思いで手に入れたお気に入りのバックであることを話してくれました。
それまでの物静かな語り口から一変して、とっても活きいきと熱っぽく語る様子から、これだ!と私も直感して、
「それじゃあ、CDのレーベル面はあえて写真にはせず、バックの柄を印象的に使ったら面白いかも!」
と提案したところ、すごくその案を気に入ってくださり、話はトントン拍子に決まりました。
「実はCDをケースから取り外したら、何かが下に隠されていて、買ってくださった方がびっくりするようにしたいんです!」
という意見は彼女から出てきたアイディアです。
それを受けて、面白い仕掛けを2人で考えることにしました。

そんなこんなで出来上がったのがこの"Honesty"。

アーティストさんと久々に楽しいキャッチボールをしながら作り上げたCDです。

利恵子ちゃんの歌をぜひ聴いてあげてください。

Sprout

よかったら、CDも買ってあげてね〜

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