赤い糸 le fil rouge @Espace Louis Vuitton Tokyo

世界的な美術の祭典、第56回ヴェネチア・ビエンナーレが5月9日に開幕しました。

開幕日には「金獅子賞」及び各賞が発表され、国別パビリオン部門ではアルメニア館、企画展参加アーティスト部門ではエイドリアン・パイパーがそれぞれ金獅子賞を受賞しました。

さて、この世界中のアーティストが参加し開催されるヴェネチア・ビエンナーレですが、我が日本館の今年のアーティストはベルリン在住の塩田千春さんです。

《掌の鍵》というタイトルの大規模インスタレーションで、なんと18万本の古い鍵(一般から募集して集めた)を使用した作品とのこと。

(もちろん現物を見ていないので正確なことはわかりませんが)写真によると、広い部屋に木製の船が2艘床に配置され、天井から垂れ下がって空間を埋め尽くす赤い糸と、糸の先に結ばれた膨大な数の鍵。 非常にスケールの大きな作品のようです。

日本館公式サイト http://2015.veneziabiennale-japanpavilion.jp/ja/

塩田さんというと、鮮烈な印象に残っているのが、"越後妻有大地の芸術祭の里"でみた"家の記憶"という作品です。

以下の写真は、2012年に撮影した"家の記憶"です。

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古い民家の内と外の至る所に黒い毛糸が縦横無尽に張り巡らされており、人が鑑賞するために家の中で立ち入れる場所は、ごく限られた空間になっています。

張り巡らされた糸の奥には、地元の方々から収集した「いらないけれども捨てられないもの」が飾られています。まるで、毛糸によって封じ込められているかのように...

糸をモチーフにした現代アートといえば、まっさきに思い浮かぶのが塩田さんのインスタレーションです。

少々前置きが長くなりましたが、つい最近行った2つの展覧会は、いずれも『糸』が密接に関係するもので、塩田さんの日本代表といい、何か非常に面白いつながり?というか、見えない糸のようなものを感じた次第。

1つは、青山のエスパス・ルイ・ヴィトンで開催されている、その名も赤い糸"Le fil rouge"。

もう一つは、飯田橋のMIZUMA ART GALLERYで開催中の青山悟さんの展覧会『名もなき刺繍家たちに捧ぐ』

以下の写真は、青山のエスパス・ルイ・ヴィトンでの展示の様子です。

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Tatiana Trouve "250 Points Towards Infinity" 2009


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Michael Raedecker "mimicry" 2014


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Ghada Amer "Color Misbehavior" 2009

写真以外の作品
Hans Op de Beeck "The Thread" 2015
Full HD Video, sound 15'30

ここは写真撮影がOKなので、本当に嬉しい限り。

個人的な感想を言わせていただくと、4人の作家の作品の中で実は映像作品が一番良かったです。

ハンス・オプ・デ・ベークというブリュッセル在住のアーティストによる作品で、若い一組の男女の愛を描いた人形劇の映像。 内容は"日本の文楽を意識した"とある通りに黒子達が腰ぐらいまである大きな人形を操り、非常に繊細な動きで見事に感情やストーリーを表現しています。

映像作品がちょっと苦手な私ですが、惹きつけられた作品です。

機会がございましたら、ご覧になってみてください。

余談ですが、ルイ・ヴィトンのパリ会場で行われた同テーマ(le fil rouge)展では、塩田さんの作品が展示されているそうです。

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このページは、Nancyが2015年5月20日 08:23に書いたブログ記事です。

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