ソーシャルデザインアワード2015 アート部門 15作品 紹介

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先週の土曜日、新宿高野ビル4階にあるコニカミノルタプラザで行われている"ソーシャルデザインアワード2015"の入選作による作品展に立ち寄りました。

ソーシャルデザインアワードは、「社会をより良いものにするアート・デザイン・アイデア」を若手クリエイターたちから広く募集したコンペティションです。社会に対する問題提起や、その解決のための奇想天外なアイデアに溢れているとラジオ番組で耳にし、非常に興味をかき立てられ、立ち寄ることにしました。
入選したのは、アート部門15作品、プロダクト部門14作品、特別賞3作品の計32作品。
今月21日(日)には、この中からさらに、グランプリ(各部門1本)、準グランプリ(各部門1本)、来場者によって選ばれるオーディエンス賞(各部門1本)、および協賛社特別賞(2本)が決定しました。

非常に完成度の高い作品が多く、若手クリエイターとはいえプロだなと思うものばかり。中でも、一番面白いと思ったのが、「FARM TO PAPER」という作品。
廃棄野菜からつくる紙という発想は、実によい。
最近、野菜から作られたクレヨン「おやさいクレヨン」というのが話題になっていますが、本作品の紙もいろいろな可能性がありそうです。

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作品名:FARM TO PAPER
作者:JIANRUNGSANG JIRAPA (ジャンランサン ジラパ)
食品廃棄物を減らすため、食べられる紙を作るという発想の作品。
紙は乾物に近く、消費期限を長くすることができ、さらに食品の廃棄物でその紙を作ったらエコなのでは?という、非常にユニークであり、かつ解りやすいコンセプトで、来場者からも人気の高かった作品です。
食べられることと美味しく食べる方法をデザインします。
海苔巻きの海苔のような使われ方をしている紙は、「和寿紙」と呼び、ニラとカボチャと紫キャベツから作られています。また下の写真では、プラスチックバランの代わりに食べられるバランを作ってみてはどうか?という提案です。

本作品は、"オーディエンス賞"とアート部門の"グランプリ"を受賞しています。


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作品:諸行無常
作者:山田 弘幸

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作品名:午の革の個性
作者:太田 駒子

実際に靴の製作に携わるご自身の体験から、生み出された本作品。
靴の製作過程において、傷や汚れがあるために使い物にならない革が沢山廃棄処分されている、ということをテーマに、傷や汚れも個性としてデザインに生かしてみてはという優しい提言です。
本作品は、協賛社特別賞である"J-WAVE賞"を受賞しました。

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作品名:電信柱のおうち
作家:小林 賢登

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作品名:未来計劃QAレシピ
作家:未来歴史学研究室

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作品名:Starry night
作家名:白石 あかね、Zhumeng Chen、Liyan Ou

人、光、電力との関わり方を考える、小さなプラネタリウム。
プラネタリウムのハンドルをゆっくりと回すことで、電磁誘導によりLEDが点灯し、星座をテントに投影します。過剰な都市の電気消費に警鐘を鳴らすと同時に、自然の光への回帰を促すような作品。



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作品名:Solar Future:Glitch and the Re-imagination of Energy
作家名:Rory Viner

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作品名:Broken Glass Print - nothing negative,nothing positive -
作家名:中野 温子

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作品名:日々の向こう側
作家名:長 雪恵

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作品名:honeycomb
作家名:jajyu Bodypainter

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作品名:星のかたちの防犯灯
作家名:諏訪 葵

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作品名:繋がりをつくる壁
作家名:里見 慎拓、八島 健介
コンセプトは、閑散とした公園×建設現場からの廃棄木材=地域の繋がりを取り戻すというもの。廃棄木材から作られたパーティクルボードで、地域の人たちがさまざまに利用できる折りたたみの壁を公園に設置することを提案します。

本作品は、アート部門の"準グランプリ"を受賞しています。

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作品名:手から手
作家名:石井 公二

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作品名:わたしの博物館
作家名:小玉一徳、高橋健太

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作品名:うみだす、イルミネーション
作家名:野々 海

入選するだけあって、14作品はどれもなかなかよく考えられています。
でも、誰かが仰っていましたが、アートとデザインの境界線がよくわからなくなってきている、と。同感です。

そもそも、"社会をよりよくするためのデザイン"は言葉として理解しやすいけれど、"社会をよりよくするアート"って、正直私はピンときません。私が学生だった80年代終わりから90年代、アートは社会への反骨精神に満ち満ちていました。
でも、反骨が更に進化すると、肯定なのかも...

このブログ記事について

このページは、Nancyが2015年6月22日 16:00に書いたブログ記事です。

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