これから来年の春にむかって、いろいろ演奏会に出かけることが増えるのでうきうきしています。
今週の火曜日は、掛谷勇三さんの演奏会がありました。スクリャービンのピアノソナタのチクルスです。
スクリャービンの番号がついているピアノソナタは全部で10曲あり、そのうちの5曲づつを2回にわけて演奏するというもので、 1回目は今年の春に行われて、当ブログに書きましたが、その第2回目がつい先ごろ行わたのです。この日は、ピアノソナタ第9番、2番、7番、3番、5番という順番です。かなり大変なプログラムではないかと思うのです。
9番、7番は、よくぞ暗譜できるなあ〜という曲だし、、、、
一瞬も気の抜けない曲ばかり...
前回は時間ぎりぎりに到着したので、周りを観察する余裕があまりなかったのですが、この日は開場時間にはホール入り口に到着していたので、すこし周りの方々を観察。
マニアックなプログラムだからなのか、来ている方もちょっと一癖も二癖もありそうな人が多いように感じました。
というのも、私の座った中央列の通路側に座っていた壮年の方は、どうも評論家(とおぼしき感じ)の方で、演奏会中しきりに鉛筆を走らせ なにやら記録していたし、後ろの席の3〜40代とおぼしき男女2人組の会話もちょっと変わっていたなあ〜。男性は相当演奏について一格言お持ちのようで、やたら難しい批評を言っていました。
スクリャービンはどうもオタクっぽい人に好まれているようです(笑)。
さて、以下は曲の簡単な感想です。
9番と7番については、後期の作品で神秘的な曲のため、なかなか感想を求められると難しい〜。
後期の作品には、随所に長いトリルが登場します。コロコロ音が転がるような、不思議なゆらぎと不協和音。
2番は安定し堂々とした演奏。個人的にピアノソナタのなかで一番好きな曲です。2楽章形式の短い曲。
3番は4楽章からなる伝統的なソナタ形式の曲です。実は掛谷さんの演奏で、軽い衝撃を受けました。
第1楽章冒頭、(BermanとかSzidon、Kissinの演奏をCDで持ってますが)わりと音を響かせてガンガン、テンポよく弾き始めるのに対して、
驚くほど慎重に内省的な音で始まった掛谷さんの演奏スタイルに、おやっ!という感じ。3番は切なく美しい旋律が随所に
ちりばめられた、彼の初期の作品(Op.23)です。美しく繊細な曲として、大事に弾いていらっしゃる掛谷さんの演奏には、すごく好感が持てました。
途中緊張しているのかな〜という場面もありましたが、ピアニストの曲の解釈に共感できる演奏で、私は良かったなあと思いました。
5番はダイナミックで聞き応えもあり、このチクルスを締めくくるのに相応しい演奏でした。
前回はアンコールは用意がないとのことでお弾きになりませんでしたが、今回はポエムを1曲ご披露いただきました。
大好きな曲で、実は私でも弾けるのでは?なんてかつて大それたことを思って譜読みをしたことがあったのですが、聴くのと弾くのでは大違い!まったく歯がたたず諦めました(笑)
16小節目からがなんとも胸キュンの旋律が始まるんですよね...
演奏会後は神楽坂に流れて、SHUGOというすてきなバールで一杯やりながら楽しい夜を過ごしました。
演奏会におつきあいくださった方が連れて行ってくださったお店で、旬の素材を活かしたメニューが魅力的です。筑土八幡の近くで、トッパンホールから歩いて7〜8分のところです。平日は深夜2じまで営業しているので、演奏会後でも時間を気にせずゆったりできるのも嬉しいですよ。