今年最高に感動した!ゲルギエフ×ミュンヘン・フィル×辻井伸行

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今年の9月に名門ミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任したワレリー・ゲルギエフ。
この凱旋公演に辻井伸行君が弾くプログラムとのことで、親友がいろいろ手を尽くしてチケットを入手してくださいました。

前半、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。

涙しました。
純粋に音楽に心震えて涙がでてくる演奏会なんて、人生に何度もあることではありません。
まさにそんな感動の演奏です。

ゲルギエフの繊細な手の動きで紡がれるオケの演奏は、言葉にならないほど素晴らしかったです。第1バイオリンがまるで1台の楽器の音のように聴こえてきます。首席フルートは思わず目が釘付けになるような素敵な演奏。そして、辻井君のピアノが、炸裂。
自在で、繊細でありながらダイナミックな音も出す辻井君のピアノは
ミスタッチもまったくなく、自信と喜びに満ちているように見えました。
ピアノとオケがゲルギエフの手によって、ぴったりあわさって極上の音楽になりました。
休憩時間、廊下でお手洗いの順番を待つ長い列に並んでいると、30代前半とおぼしき比較的若い男性の方の会話が耳に入ってきました。
「クラシックの演奏会で涙が出るなんて、本当にあるんだな〜そんなこと...」
この方も、やはりこの演奏に涙したお一人でした。

音楽をこよなく愛している人たちが、それぞれ最高の力と技を発揮し一つになった演奏は
理屈ではなく心を動かすのだと思いました。

Pコンチェルトが終わると同時に、あちかちからブラボーの声とともに盛大な拍手喝さい。
カーテンコールの間、指揮者ゲルギエフが辻井君を右手で抱きかかえるように楽屋からステージを何度も行き来する姿は、まるでともに戦った戦友のように温かなものがあり、観客には心温まるシーンでした。

辻井君はこの日アンコールを3曲も披露。
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」の2楽章。
後半のプログラムであるチャイコの「悲愴」につなぐ意味もあったのかしら?
静かな始まりのこの楽章は、「皇帝」の余韻として実にいい選曲だと思いました。
アンコールとしては少し長めなので、2曲目はないだろうと思っていたら、
ゲルギエフが耳元で何かささやくと嬉しそうにピアノに腰掛け弾いたのが、今度は打って変わって情熱的なショパンのエチュード Op.10-12「革命」、そして3曲目はショパンのノクターン(遺作)20番。物悲しくも美しいトリルでまた胸が熱くなる...そんなお楽しみ満載の前半でした。

後半はチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。
こちらも名演で胸いっぱい。
3楽章があまりに盛り上がったためか、4楽章があるにもかかわらず観客からブラボーの声があがって拍手する人が現れたのには、ちょっと驚きました。こういうことに、たまに遭遇するのだけれど、演奏にあまりに深く聴き入っていると、つられて拍手しそうになるから気をつけなくちゃ...です。

2階席のステージ右上だったので、団員の演奏の様子がよく見えたのも楽しかったです。

フルートの首席奏者の方が実に魅力的な演奏だったので、家に帰ってから調べたところミヒャエル・マルティン・コフラーさんという方で、ソリストとしても大変活躍されているとのこと。
身体全体で演奏されている姿は、本当に素敵でした。
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コンマスのSreten Krstič氏はすごくダンディで体格も立派な方なのですが、
その隣の第1バイオリンのLorenz Nasturica-Herschcowici氏の頭は自毛かカツラか?
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遠目にはバッハのようなヘアースタイルに見えて、私と友人の間で話題がつきませんでした(笑)。
友人は絶対カツラだと言い張るのですが...。

オケのメンバーのプロフィールはこちらに掲載されています。
https://www.mphil.de/orchester/musikerinnen-und-musiker.html

至福のひとときをこのサントリーホールで過ごしました。
私のなかで、歴史に残る名演奏会でした。
この演奏会に誘ってくださった親友には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです!

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スポンサーがドイツのBMWということで、カラヤン広場には2台も展示!

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辻井君のアンコール3曲。オケのアンコールはありませんでした。

私にとって、クラシックでは今年最後の演奏会となりました。
来年は、今年のショパンコンクールで優勝した韓国出身のピアニスト、チョ・ソンジンのガラコンサート(2016.1.28東京芸術劇場)からスタートです。2月には浜離宮でカティア・ブニアティシヴィリもあるので、今からワクワクです。
なんて、人の演奏を聴いてばかりではなく、私も練習に精を出さねば...
来年の4月に、またピアノの発表会に出演させていただけることになりました。
また詳細が決まりましたら、ご報告させていただきます。

本日の演奏曲
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演奏:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」
 ピアノ:辻井伸行

 <アンコール>
 ベートヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」2楽章
 ショパン:エチュード Op.10-12「革命」
 ショパン:夜想曲 第20番
===休憩===
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」

※辻井君の名字の辻は、一点しんにょうが正しい表記です。

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このブログ記事について

このページは、Nancyが2015年12月 2日 11:21に書いたブログ記事です。

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