昨晩は、ショパン国際ピアノ・コンクール2015の入賞者6人の演奏によるガラ・コンサートを聴きに、東京芸術劇場に行ってまいりました。
19時開演の21時30分終演予定が10時を超える長時間。ですが、すごく充実していて時間が経つのが早かったです。
6人がみな、あまりに期待以上の演奏だったので、あたらめてこのコンクールのレベルの高さを感じた次第。
プログラムは下記の通りです。
【前半】
1. ★ドミトリー・シンキン(第6位)
「ロンド 変ホ長調 Op.16」
2. ★イーケ・(トニー・)ヤン(第5位)
「即興曲第2番 Op.36/スケルツォ第3番 Op.39」
3. エリック・ルー(第4位)
「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22」(オーケストラ付)
アンコール演奏:エリック・ルー「プレリュード17番」
====== 休憩 ======
【後半】
4. ★ケイト・リウ(第3位・マズルカ賞)
「3つのマズルカ 第1番/第2番/第3番 Op.56」
5. ★シャルル・リシャール=アムラン(第2位・ソナタ賞)
「ピアノソナタ第3番 Op.58」
6. チョ・ソンジン(第1位・ポロネーズ賞)
「ピアノ協奏曲第1番 Op.11」
アンコール演奏:チョ・ソンジン ポロネーズ第6番「英雄」 Op.53
6人のうちの4人がYAMAHAのCFXで演奏。★の付いた演奏家。あとの2人はSteinway。
簡単な感想は以下の通り
ドミトリー・シンキンのロンドはまるで水彩画のよう。
スケールの音と音とがサーと溶け合う感じが、水彩絵の具が紙の上で別な色と溶け合う感じに似ていました。
実に洗練された演奏で、これが若者なのか?という印象。
ただ、座席が3階席ということもあり、ちょっとピアノの響きが弱かったのが残念。
後で分かったのですが、弦の調整が固めだったか?楽器によるところが大きかった模様。
イーケ・ヤン、エリック・リーの演奏も見事でした。この2人はなんと10代です。
正直3人聴き終えて、年齢を感じさせない豊かな表現力と柔軟性のある演奏には本当にびっくりです。
後半に入って、ケイト・リウのマズルカが始まると、これまたびっくり。
前半2人と同じYMAHAのピアノか?と思うくらい、音を響かせたのにはかなり驚きました。
マズルカ賞をとったのも納得のいい演奏。
そして第2位のアムランのピアノソナタ第3番は、これまた熟成されたボルドーワインのように素晴らしくて...この演奏には、観客の拍手が鳴り止みませんでした。
実は、「2位を受賞した彼がピアノコンチェルトの1番を弾いていたら、優勝していたに違いない」という声があるそう。 確かに、このピアノソナタを聴いたらそんな噂も納得。
このショパンの世界観、彼のソロリサイタルにも足を運んでみたくなります。
でも、ステージに現れた時にあまりに貫禄がありすぎて、実はショックをうけました!
3階席から見える姿は、どうみても20代の青年には見えない... 顔写真からは想像できないです。
最後に優勝者によるピアノコンチェルト第1番の演奏。一緒に聴いていた知人は「まだ音がかたい」と言っていたけれど、 私は6人の中で一番チョ・ソンジンの演奏に若さを感じました。まだまだ伸びしろがあって、これからの成長が楽しみな人です。
逆に、アムランはもう本当に熟成されている感じに思えました。
それにしても、6人のキャリアから、ステージでの演奏まで、すべてがプロですね。
これだけ活躍している人達でしのぎを削るコンクールって、なんかプロ王者決定戦みたいで、一昔前のような初々しいスターが誕生したこのコンクールとは、明らかに異質なものに変化してきていると思います。
最後に、これだけの規模のホールでYAMAHAのピアノを聴くことはそうそうある機会ではなく、今回とても貴重な音の聴き比べができたことも勉強になりました。
何しろ(写真をみてお分かりの通り)3階席の上の方だったので、私ははじめピアノがYAMAHA製とは気が付きませんでした。
でも1曲目で、いつも聴くスタンウェイの音質とは異なる、何か懐かしさを感じる音だなあ〜と思っていたら、オペラグラスで見ていた隣の友人がYAMAHAだと教えてくれました。
楽器って面白いですね。今回こんなにも違うものなのかと思いました。私には、YAMAHAは農耕民族らしい木製楽器のような深く包み込むような音に聞こえ、Steinwayは狩猟民族の作る金属楽器のようにクリアな音に聞こえます。
それぞれ特徴があって、どちらが楽器として優れているとかを論じるつもりは毛頭ありませんが、YAMAHAのピアノが一流の演奏家達に楽器として愛され、認められていることは心から嬉しいです。
私も、4月の発表会にむけ頑張らなくちゃです。
3/20(日)Eテレ「クラシック音楽館」でこの演奏会の模様が放映されるそうです。お時間がありましたら、ぜひお聴きになってみてください。
また、この日に行われた記者会見の模様がYoutubeで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=3tTBaf0TtqU&feature=youtu.be