棚田康司:バンドゥン スケッチ @MIZUMA ART

ここのところ大変だった一連の仕事も一区切りついて、ちょっと時間に余裕ができたので、さあ展覧会に!
というわけで、昨晩は仕事の帰り道「飯田橋駅」を降りて、MIZUMA ARTさんへ行ってまいりました。

現在開催されている棚田康司さんの作品展。何年も昔にスパイラルで開催されていた展覧会場で彼の作品を見て以来、すっかり好きになってしまった作家さんです。

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12のトルソ - No.8 少年になった木 あるいは 木になり始めた少年
マホガニー材、銀箔
2016
26.5×26.5×16cm

本展のタイトル「バンドゥン スケッチ」は、今回の展示作品13点のうち中央の等身大女性像を除く12点(「12のトルソ」)がインドネシアのジャワ島西部の都市バンドゥンに2ヶ月滞在して制作されているからだそうで、木材や道具類はすべて現地で調達し、モデルも現地の方なのだそうです。
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とても気に入った作品。優しい表情がなんともチャーミング。

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12のトルソ - No.1 不安少年のトルソ
2016
マンゴー材に彩色、銀箔
48×26×17.5cm

最初に制作された作品。現地で不安な作家自身が投影されている?

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これまでの棚田さんの作品とはちょっと趣の異なる作品もみられる本展。

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2ヶ月間で12体のこれらトルソを制作するって、はっきり言って凄いです。
約5日で1体制作のスピードです。

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面白い!

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背中に描かれているのは、モデルにあった刺青でしょうか?

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帰国後制作した等身大作品。

ギャラリーの方とお話しできたのも、実に楽しかったです。
とにかくバンドゥンでの2ヶ月の制作は苦労の連続で、最初に制作した作品「No.1 不安少年のトルソ」の寂しげな目の少年はまさに作家自身の心の顔でもあったようです。

まず現地の木を使っての木彫制作は、日本で使用していた木とはまったく違う材質。マンゴー材やマホガニーなど慣れない木は思うように扱えず、ずいぶん手こずったそうです。年輪が日本の木は均一なのに対して、こちらの木材は雨季と乾季の関係ですごく厚いのだそうです。そんな木の持つ特性は、慣れない彫刻家を悩ませたようです。

また面白い話しも伺いました。
バンドゥン滞在中のある日、大雨が降りみるみるうちに道路は冠水。外の景色は氾濫する川のようで、すごい勢いで水が流れていく様子が目に飛び込んだそうです。濁流にのみ込まれながら大量の土砂やゴミが流されていく。その様子を見ていてふと頭に浮かんだことが、「川はまるで女性のようであり、浮いているゴミは男だな...」と。これまでになかった、大人の女性を作品にしているあたり、どうやら女性の存在の大きさや美に作家が目覚めたのでは?という暴露話し。言われてみれば、そうなのかも。こういったエピソードをお聞きするのは本当に楽しいです。というのも、実は棚田さんは大学の1年後輩なんですよ!
そういう意味でも、応援してあげたい作家です。今週末のアートフェア東京のMIZUMAさんのブースでも出展されるそうです。
お時間があったら見に行ってみてください。

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展覧会:棚田康司 バンドゥン スケッチ
会期:2016/4/6(Wed)〜5/14(Sat)
会場:Mizuma Art Gallery - ICHIGAYA TAMACHI
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F Tel: 03-3268-2500
開館時間: 火曜日から土曜日の11:00-19:00
休廊日 : 日曜・月曜・祝日

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このページは、Nancyが2016年5月11日 09:05に書いたブログ記事です。

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