金魚に救われた作家 金魚絵師深堀隆介の回顧展 @西武渋谷店

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チラシを見て、すぐに行かなくちゃ!と思った展覧会がこちら。

なんと写真撮影もOKとのこと。
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まるでアクリル樹脂に封じ込めたかのように見える金魚たち。
実は、アクリル樹脂に描かれた絵画なのです。
上は初期の作品。
よくある食品やお菓子の容器に樹脂を流し込み、その表面に金魚を描いているのですが、
金魚がまるで泳いでいるかのように立体的に目に映るから不思議です。

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取り憑かれたように、作品は何から何まで金魚です。
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中でも秀逸なのが、枡の中に金魚を描いた「金魚酒」シリーズ。
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「金魚酒 命名 美津島」(2010)
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「金魚酒 命名 紬」(2016)

制作工程を紹介するコーナーでは、DVDと過程の作品が展示されており、
非常に細かい手仕事であることが見て取れます。
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枡に樹脂を流し込むところからはじまります。
樹脂の表面にドローイング。そしてまた樹脂を流し込み、その上に描くという作業を繰り返し
何層にもわたる工程を経て、作品が完成します。
絵画が重層化することで、生きている金魚とみまごうようなリアルなものになっているのです。
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和傘や引き出しなど、あらゆるところに金魚の群れが...
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知らずに文机の引き出し開けたら、腰抜かしそうです。

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爽やかなガレの器もアートに...
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なぜ、ここまで金魚にこだわるのか...
作家と金魚との出会いがパネルで紹介されています。

金魚救い

 ある日、「ああ、もう美術なんてやめてしまおう。」と思った。
自室で、寝転がったとき、ベッドの横にあった小さな水槽が目にとまった。
そこには7年前に夏祭りですくってきた金魚が1匹いた。名前はキンピン(メス)。
たいして可愛がりもせず、粗末に扱ってきたため、水も汚れてフンまみれ、しかし彼女は生き続け、20cm以上になっていた。
僕は、水槽のふたを開け、彼女を上から見てみた。そのとき、僕の背筋がゾクゾクっとした。
汚れた水の中で、赤く光る彼女の背中は、怪しく、そして最高に美しかった。
「この子がきっと僕を救ってくれる。」
そう信じて、赤い絵具を取り出し彼女をモデルに筆を走らせた。楽しい!楽しい!楽しい!そして、あっという間に金魚の大群が生まれた。〈これだ!〉 
僕の探していた答えが、ヨーロッパでもなく、アメリカでもなく、まさにこの部屋にあった。
僕は、この日の出来事を「金魚救い」と呼んで大切にしている。

深堀隆介公式サイトからの抜粋



そんな金魚との出会い、そして樹脂に描く技法を編み出すまでの執念。
人間の可能性はどこでどう花開くか分からない。
だからすごく面白いなあと思いました。
ぜひ渋谷に行く機会があればお立ち寄りください。

まるで生きているかのような金魚達に、圧倒されますよ!

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このブログ記事について

このページは、Nancyが2016年5月16日 08:46に書いたブログ記事です。

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