PART 5 Heures d'absence ー余暇の時間
移動式のオフィス、書籍のためのトランク、タイプライターなどを収納できて書き机も付いているトランクなど、
このコーナーには知的な好奇心に満ちたユニークなものが展示されています。
この展示室の壁は素晴らしいです。暗い部屋なので、分かりづらいのですが、モノグラム柄のついたベルベットのような生地の袋貼りという超贅沢なしつらえなのです。うっかり壁に手をつこうものなら、守衛さんが飛んできて「手を触れないでください」と注意されちゃいます。
PART 6 絵画用トランク
1927年 著名なアート・ディーラー ルネ・ジャンベル(René Gimpel)が注文した絵画用トランク。
イギリスの現代美術家のダミアン・ハーストがルイ・ヴィトンにスペシャルオーダーしたのが、下の写真「手術道具ケース」。何段もの引き出しで構成されたトランクは、手術道具を入れるために設計されています。外装はブラックのノマドレザーを使用し、色鮮やかな蝶がプリントされています。内装にはディープブルーのマイクロファイバーが施され、手術道具を仕分けしやすいように、サイズ違いの10個の引き出しが設けられています。
残念ながら、今回中を見ることは叶いませんでした。
ダミアン・ハーストといえば、とにかくオークションで最も高価な値がつく現代アーティスト。
作品はというと、ホルマリン漬けのサメとか牛といった、かなり変わったもので一躍有名になりました。それってアートなの?でもすごい人気アーティストなのです。2008年のサザビーズのオークションで223点が出品され、なんと総額211億の落札額!その中の作品、ホルマリン漬けの金の牛は最も高額なもので、1030万ポンド(約19億円)で落札されています。
そんなダミアン・ハーストのトランクも、スペシャルなお値段で落札されたとのこと。
3代目 ガストン・ルイ・ヴィトン (1883~1970)が蒐集した様々な時代のトランクやチェスト。
PART 8
ファッションとビューティー
シャンデリアの部屋には、セレブリティやスターのためのトランクが展示されています。
上はキャサリーンヘップバーンのドレスとトランク。
手前右はパデレフスキーの身だしなみ用品のためのトランク。手前左はストラヴィンスキーもの。
ダンディズムを感じますね〜
PART 10 インスピレーションの国、日本
ヴィトンを代表するモノグラム・パターンは、2代目のジョルジュ・ヴィトンが日本の紋から着想を得たと言われています。ジョルジュの息子ガストンは、日本の刀の鍔をコレクションしていたそうです。
本展覧会は、昨年暮から今年の初めにパリのグラン・パレで開催されたものを日本でも展示公開しています。
ただ、この部屋だけは本国フランスの展覧会時にはなく、今回の東京の展覧会のためだけに特別に設けられたものだそうです。日本に所縁のある品や日本人アーティストとのコラボ作や有名人のトランクなどが展示されています。
茶道具のためのトランク。
村上隆、川久保玲、草間彌生とコラボしたバッグたち。
穴の空いたバッグ(川久保玲の作品)は、もはやバッグといえるのかしら?
板垣退助もヴィトンのトランクを持っていたのですね。
一緒に見に行った友人は、「民権運動家がこんな(高価なも)の持ってたのはちょっと意外〜」みたいなことをツイートしてました。
Wikipediaを見たら、なんと後藤象二郎と共にルイ・ヴィトンのバックを持った初めての日本人だそうです。
(1882-83年に立憲政治視察のために渡欧した際、2人は購入したらしいです。)
あの時代の日本人が所有していたのにも驚いたけれど、畳みのヘリまでモノグラムになっている展示演出のこだわりように、もっと驚きました〜。
こちらは白洲次郎のバッグ。板垣退助とヴィトンはあまりピンときませんが、こちらは納得です。当時の日本人男性で彼ほど似合う人を思い浮かべられません。しかもスティーマー・バッグなんて...
本当に伊達男ですね。
というわけで、以上で展示は終了です。
最後に、実際の職人さんが実演しているところを見学できます。
熟練した職人さんの手によって丁寧に作られるバッグは、やはり憧れますね。
ルイ・ヴィトン展は作品も膨大で、とても長い解説になってしまいましたが、なんとか最後まで辿りつけたのでホッとしています。
そうそう、来場者には全員ポスターをお土産にいただけるのです。
壮大な旅の思い出に...