2016年7月アーカイブ

21世紀は、料理を科学する時代らしいです。
"分子ガストロノミー" "モラキュラー・ガストロノミー"
こんな言葉を時折テレビなどで耳にするようになりました。

この「分子ガストロノミー(Molecular Gastronomy)」という言葉の意味についてWikipediaには、"料理の過程で食材の変化の仕組みを分析かつ解明し、調理技術とガストロノミー上の現象を科学の視点から社会的、芸術的、技巧的な要素で解明するものである"となにやら複雑なのですが、実のところは非常に面白い研究のよう...
私の最も苦手な分野である"料理"ですが、この分子ガストロノミーの研究成果は、びっくりするような調理器具や調理法の開発に繋がっていて、世の中に次々と商品化されているのだとか。
今回はそんなモノたちをちょっと調べてみました。


・エスプーマ(ESPUMA)
世界で最も予約のとれない料理店と言われたスペインの「エル・ブリ」の料理長フェラン・アドリアによって開発された料理法で、 亜酸化窒素を使い、あらゆる食材をムースのような泡状にする器具です。
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今日のNHKあさイチでも泡特集をやっていましたね...

最近、あちこちのお店でこのエスプーマを使ったお料理を見かけるようになりました。
フロリレージュでいただいたほろほろ鶏のソースは間違いなくこれを使っていたと思われます。

今や、ちょっとしたフレンチやイタリアンでは必須アイテムなのかも。


・キャビア・ボックス
アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムの化学反応を使い、キャビアのような球体を簡単に大量に作る器具です。
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ネットで見つけて、思わず笑ってしまったのがこのキャビア・ボックス
どうみても科学実験器具なんですが...
果汁、ワサビ、海水、フォワグラ、醤油、ゆず、コンソメなどアイデア次第でいろんな物が球体にできるとのこと。
この原理で作られたと思われるキャビア状の蜂蜜のレシピ動画がありました。



スパゲット キット(スパゲティ形状成型器)
キャビアならぬ、なんでもスパゲッティの形状にしてしまう器具。
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キャビアボックス同様、いろいろな食材がパスタの形状になります。
こちらの器具を使ったレシピ動画がこれ↓



・スモーキング・ガン
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約3分で燻製の香りづけが可能なスモーキングガンという商品。
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ガラスカバーを使用し、お客の前でオープンするとその場で香りが広がり、ちょっとした演出に効果大。


ちなみに、Youtubeで「Molecular Gastronomy」と検索。
すると、面白い動画が次々ヒットするので、暇つぶしには最適です!

・真空調理器
焼く、煮る、蒸すなどの熱を加える調理法とは違う、新しい調理法として真空低温調理があります。
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最近よく聞く「コンフィ」と称する料理を、この真空低温調理法でやっているお店もけっこうあるようです。
銀座の「パリのワイン食堂」でいただいた鴨料理も、実はこれだったのかも...
なんて料理の工程を想像すると、味覚だけでなく料理への想像の翼が広がり楽しくなりますね。
コンフィと真空低温調理法との違いについて検証したブログ「ヨーグルト実験日記」の記事はなかなか興味深いです!

業務用には、箱型の大きな機械もあるようです。
詳しくはおしゃれ番長さんのブログに詳しく掲載されているので、興味のある方はそちらも読んでみてください。

ネットで検索してみると、みなさん色々なテーマで研究していますね。
この分子ガストロノミーの研究テーマは無尽蔵のようです。

夏休みの自由研究とか、親子で料理をテーマに台所でチャレンジするのもなんだか良いのでは?

世の中カタカナ表記が氾濫しています。
"イノベーティブ・フュージョン"、"モラキュラー・キュイジーヌ" ...
↑何のことかさっぱり分からなかった私です。

イノベーティブ・フュージョンとは、フレンチとかイタリアンとか和食とか...
それぞれの伝統や文化に根差した食材や調理法にとらわれず、自由な発想で提供する新業態の料理店を指すそうです。
2013年ミシュランにも正式に登場しているカテゴリーなんだとか。

実は、先日うかがった神宮前の「Florilége」は、まさにこの"イノベーティブ・フュージョン"というカテゴリーに属すお店で、 斬新かつシェフの創意に溢れた11品の料理をコースでいただくスタイルでした。
毎年、想い出深いバースデーディナーを企画してくださる殿方が、今年はこちらのお店を2ヶ月前から予約してくださったのです。
好奇心旺盛な私にぴったり?!のお店です。

オープンキッチンで、大きなコの字型のカウンターテーブルにお客が約8組。
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(個室もあるようですがとにかくディナーは1回転のため)決まった数のお客様しか予約を一切受け付けていないそうです。
そのため予約困難なお店と言われており、 ちょうど2ヶ月前のこの日の朝10時に電話。見事予約を勝ち取ってくださったと聞かされたら、これはやはり感動しないわけにはいきません!

席に座ると、本日の11皿が書かれた紙が置いてあります。
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投影       ゴーヤ
継続すべき味   鰯
コンフィ     すっぽん
夏の予感     鮎
サスティナビリティー  牛
ヘテロ      牡蠣
和の風味     甘鯛
分かち合う    塊肉
旬        桃
異国情緒     マンゴー
贈り物      アマゾンカカオ
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これはなぞなぞ?それとも何かの暗号?
右が食材であるのはすぐわかりますが、左の言葉が深遠すぎます...
これは、お料理が運ばれてくるとその謎が解けるのです。

謎解きのはじめに、まずはシャンパン"Hugues Godme"で乾杯!
飲み物は、お料理毎にお店が選んだものをグラスでいただくペアリングでお願いいたしました。
お料理とお酒のマリアージュも本日のお楽しみです!
それではさっそくお料理とまいりましょう。


投影   ゴーヤ

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ゴーヤシャーベットの上に鯒がのっているという一口サイズの一皿目。
手でつまんで口に放り込むと...ゴーヤ独特の苦味はまったくなく、ひんやり爽やか〜


継続すべき味  鰯
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軽く炙った千葉県産の大羽鰯の上に「へしこ」を練り込んだパスタがのっています。
セルフィーユの香りとドライトマトの凝縮した旨みとがあわさって、匠の一品に。
あわせたワインは、フランスSancerreの"Ultimus Jean Thomas"。ヴィンテージは2013。
ソーヴィニヨン・ブランのフレッシュな味わいとお料理がすてきにマリアージュ。



コンフィ すっぽん
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非常に手の込んだお料理。ご一緒した方のレビューからの引用で解説させていただきます。
"スッポンの身はコンフィにされた後、香ばしいフリットとなっている。下にはスッポンの卵も加えたフランが敷かれ、柔らかく蒸し煮にされたエンペラの部分も添えられている。これに旨みたっぷりのスープが張られ、上には珍しいスベリヒユという野菜が飾られている。スッポンの味と食感を結集した一皿で、見事の一言。これに合わせる酒は、シェリー(銘柄は「Emilio Lustau」)で、アピシウスの名物である「海亀のスープ」を彷彿させる、出会い物とも言える相性の良さを実感。"


夏の予感   鮎
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こちらのお料理の説明も私には荷が重いので、レビューからの引用でご容赦。
"開いて骨を外した鮎の身に肝を挟んだものとフォアグラが、それぞれ網脂で包んでから軽くフライにされている。上には飯蒸しのようなもち米のリゾットが盛られ、油で揚げた中骨と、紅蓼もあしらわれている。フォアグラの程よい火入れと、鮎のワタの心地よい苦みが印象的。"

こちらの鮎料理にあわせたのは、なんと田酒。でも、これがお料理とぴったりなのです。
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サスティナビリティー     牛
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今の日本では、食品ロスがいかに多いかということについて解説された紙がお料理の前に渡されました。
こちらの料理に使われている牛肉は、子牛ではなく出産も終えた歳をとった雌牛なのだとか。
なんでも手に入り、ついつい当たり前のようになっている食事を、ちょっと違った気持ちでいただいてみます。
"ZIDARICH(ジダリッヒ)"という、イタリアフリウリの白ワインと一緒に。



ヘテロ    牡蠣
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牡蠣の旨みと、まわりの衣のオカヒジキがサクサクしていて食感もよく、美味しさが凝縮された一皿でした。レモンのメレンゲの酸味もよいアクセントになっています。このちょっと複雑な料理にあわせたのは、オーストリアの"Blaufrankisch Hochegg"という赤ワイン。
牡蠣は白という固定概念が見事に覆されたマリアージュに(◎_◎;)!




和の風味     甘鯛
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甘鯛の切り身を松笠焼きで仕上げた、和の一品。つきあわせに蕪のリゾットと芹のビュレが添えられています。日本料理にブルゴーニュのドメーヌ ロジェ・ラサラのプイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)をぶつけてくるあたり、やっぱりイノベーティブ。



分かち合う  塊肉
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本日のお客全員で分かち合うのが、上の写真のほろほろ鳥。
それぞれ順番にお客の前に置かれ、じっくり鑑賞させていただけます。
そして、取り分けられたものに、スナップエンドウの豆が添えられ、白ワインのエスプーマしたものがソースとしてかけてあります。
手前の黄色いものは、レモンパウダー。
ここで登場したのがGevrey Chambertin(ジュブレ・シャンベルタン)。
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ドメーヌはジャン・ラフェ・エ・フィス(Domaine JEAN RAPHET et FILS)。ヴィンテージは1996年。
ブルゴーニュの巨匠ジャン・ラフェが生産した素晴らしい赤でした。かのロバート・パーカーも最高の賛辞を与えたというほどのすごい方だそうです。
※2002年以降は息子のジェラール・ラフェが畑を受け継ぎ、ドメーヌもジェラール・ラフェと変えて現在に至るのだとか。

本日のコースはこのようにして最高潮を迎え、気分は大満足。お腹は大満腹。
(ちょっとお隣の殿方には内緒ですが...)このままごろ寝できたら最高な気分でした。



デザート一皿目。


旬    桃
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スポンジケーキと桃の上に桃のムースがかかったデザート。
桃って本当に素敵な香りがします。



異国情緒    マンゴー
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落花生のブランマンジェの上にのっているのが薄切りのマンゴー。落花生とマンゴーと個性的なもの同士の組み合わせが面白いと思いました。



贈り物   アマゾンカカオ
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チョコレート風のモノのまわりに赤紫蘇のジュレを纏わせた不思議なデザート。
未確認物質のような様相でも、目から鱗な味です。


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食後のコーヒーをいただきながら、ふと時計をみると3時間もの時が流れていることに驚きました。

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目の前で繰り広げられている大勢の料理人の方の一挙手一投足が、まるでエンターテイメント。
川手シェフは食の現代アート作家と言っていいと思います。
厳選した食材を、これまでにないような組み合わせで一皿に。調理法も、フランス料理の伝統的な技法だけではなく、和食の技法や最新の調理法を使ったり..と、自在に駆使。想像力の豊かさと、繊細でありながら大胆な味への探究心には本当に脱帽しました。

食事という体験を通じて、アートを五感で鑑賞させていただいた時間だったように思えます。
お連れくださった素敵な殿方に、心からお礼を申し上げます。
どうもありがとうございました。


↑これだけ書くのも、ちょっと大変ε-(´∀`; )でした

魔の6月が過ぎて...ちょっと一息

もう7月も半ばになりました。5月の終わりから7月はじめまで、なんだかとても忙しかったです。

舛添知事の辞任劇から、EU離脱...
新聞社さんのお仕事もさせていただいているので、正直とても影響ありました。

そして、何より私を苦しめたのは、お客様のホームページに訪れた受難の数々です。

あるお客様はホームページがハッキング被害に遭ってしまい、 また別のお客様のホームページは、プログラムの不具合で画面が真っ白になってしまっていたり....
とにかく次から次へと対応に追われる毎日で、魔の1ヶ月でした。

そのお陰というのもおかしいですが、久しぶりにインターネットの猛勉強をしました。

7月は、すこしのんびりアートとか音楽とか楽しみたいなあ〜と思っています。

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さて1年に一度、7月のはじめにお目にかかるお客様がいらっしゃいます。

東銀座で会計事務所を構えていらっしゃる方で、かれこれ9年前にホームページを作成させていただいたのがご縁で懇意にさせていただくようになりました。毎年サーバーの更新時期であるこの時期に、ご挨拶をかねてお伺いしています。お邪魔すると必ずランチを銀座界隈でご馳走してくださるので、 最初は申し訳なく恐縮していたのですが、だんだんこれが楽しみなってしまいました(笑)。
私にとって彦星様のようなクライアント様です。

さて、今年の恒例の七夕ランチ。
今年は、事務所にも程近い東銀座の裏道にある「パリのワイン食堂」というお店に連れてきていただきました。店内はカジュアルなパリの下町風。白地に赤のチェックのランプシェードやテーブルクロスが可愛らしく、女子に大人気なのが頷けます。

雰囲気だけでなく、お料理も手頃なお値段で実に素敵なお店でした。
ランチはコースで1000円〜
前菜+メイン料理(肉、魚が選べます)+デザート+食後の飲物 DSC09862.jpg
前菜は<冷製のラタトュイユ>
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メインは<フランス産鴨肉のローストとジャガイモのソテー添え>
写真はありませんが、パンかライスがつきます。

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デザートの<メロンのソルベとキャラメルのアイスクリーム>とコーヒー

鴨肉が絶品でした。
店内には大きなワインセラーのようなつくりつけの棚があって、すごくワインの品揃えが豊富なのがわかります。「ワイン食堂」という店名からも、ワインを楽しみながら食事をしていただこうというコンセプトが伝わってきます。ランチタイムはなんと300円からグラスワインがいただけるとのこと。
鴨肉には赤ワインをあわせたかったなあ〜
さすがにお客様を前に、一人でワインを飲むわけにはいかないのでここはぐっと我慢。

パリの雰囲気を味わいたくなったら...一人でもぶらり来たくなるようなお店です。

ご馳走様でした。

帰り、銀座をぶらぶら歩いていて見つけたお洒落な外観
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女性ファッションブランドのMaxMaraのショップの外壁に注目。
金網がまるでレース模様のように見えるではありませんか!
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めちゃくちゃお洒落さんです。
実によく出来ていますね〜

銀座はぶらぶら歩いているだけで、アートにであえる町です。


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↑ここどこだかご存知ですか?

まるで、どこぞのホテルのプールサイドのようじゃありません?

答えは、数寄屋橋の阪急デパートの後に出来た商業施設「東急プラザ 銀座」の「屋上キリコ・テラス」です。
無料で開放(一般開放時間は季節やイベント日などによっても違ったりするようなので、要確認のこと)しているパブリックスペースなのです。夏っぽい雰囲気を楽しみながら、ちょっとパソコンでメールチェックしようと思い、寄ってみました。
こういう場所を知っていると、何かという時とっても便利です。

屋外は暑くて耐えられない...という時には、6階にあるキリコラウンジは空調も効いていて快適!

銀座には、カフェ以外にも憩える場所がいくつもあるんですよ〜
無料なのが何より嬉しい!

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