ヒューマントラストシネマ有楽町で上映中の
映画「サンマとカタール」のチケットをいただいたので、行ってまいりました。
宮城県女川町は、東日本大震災の津波被害により住民の1割近くが犠牲となり、8割近くの住まいが流されました。
あの日被災した多くの市町村の中でも、人口比では最も激烈な被害を蒙った町が女川でした。
2015年3月、JR石巻線の「女川駅」が開通。そして12月には駅前商店街とプロムナードがオープンしました。
そこに至るまでの様々な住民の熱い思いを、本人の言葉やナレーション、定点観測の映像とで綴った復興のドキュメンタリーです。
人間の持つ可能性、人と人とのつながり、いろいろなことに胸を熱くさせられた映画でした。
なかでも、中東カタールからの温かい支援には、驚かされました。
カタールという国について、詳しく知る日本人はけっして多くないと思います。
震災直後、復興支援基金を立ち上げたカタール。カタールが現在のような経済発展を遂げるきっかけとなったノースフィールドガス田のLNGプロジェクトに、日本の企業が技術や資金援助をしたことが日本とカタールの友好関係のはじまりだったそうです。カタールでは、この時の日本企業の支援をいつまでも大切に思っており、日本の未曾有の災害を知り、いち早く「カタールフレンド基金」をたちあげ、総額1万ドル(約100億)の資金を提供。その最初のプロジェクトとして採用されたのが、女川の大型冷蔵冷凍施設「MASKER(マスカー)」の建設でした。
すべてを失い、絶望の淵にいた人々にとって、この「MASKER」は希望の灯になりました。
女川は日本有数のサンマ漁獲量を誇る漁業の町。震災により水産加工施設は壊滅的な被害を受けます。漁業の町として再興するために必要な施設こそ、この大型冷蔵冷凍施設「MASKER」だったのです。
このプロジェクトをカタールにプレゼンテーションした石森洋悦さん。
大型冷蔵冷凍施設さえあれば、必ずまた水産加工業者が女川に戻ってくる...
そんな石森さんの熱い思いと、かつてカタールが漁業で栄えた国だったこともあり、このプロジェクトが一番に採用され、20億円の資金援助を受けられることになりました。2012年4月から工事が着工され、同年の10月15日に操業が開始されました。
工期がたった半年という、驚異的なスピードで実現したMASKER。それは、サンマ漁になんとか間に合わせたいという地元の熱い願いと建設に携わった大成建設の所長らの苦労の末に実りました。
地元の若者たちが企画した「女川町復興祭」。
震災翌年からスタートしたこの祭りの実行委員長である淳さんを中心にカメラが追います。
「逃げろ!」の合図で高台に向かって一斉に走る「復興男」は、この復興祭の目玉イベント。
津波の教訓を忘れないために考えたアイディアです。
女川の須田町長は、巨大防潮堤を建設しないという決断をしました。
千年に一度といわれる津波の被害に遭い、更地になった土地に新たな町を作るためのグランドデザインを描くことは、将来にわたって大変な責務を背負う仕事。須田町長は、他の市町村が防潮堤を築いていったのに対し、海とともに生きてきた町の歴史をこれからも残すべく、海が見え景観に大きく影響を与える防潮堤は選ばず、その代わりに津波が来ても逃げられる、建物は失っても人命は失わない町を作ることを決めます。
いろいろな登場人物の「難しいだけで、不可能はない」が伝わって来る映画です。
上映中、涙が溢れてくるのは、私の席の見ず知らずの男性も同じでした。
ぜひ、多くの方に観ていただきたいです。
1日1日を大事に生きなくては...と本当に思えます。
上映は、5月27日(金)まで
ヒューマントラストシネマ有楽町
※1日1回(9:50〜の回)のみ上映なので、事前に調べてから足をお運びください。
CINEMAの最近のブログ記事
久しぶりにこんにちは。
もう3月ですね。なんと月日が経つのが早いやら。
先週の金曜日のこと。
朝のNHKのテレビ番組「あさイチ」を何気なくつけておいたら、
プレミアムトークはなんと小澤征爾さんではありませんか!
思わず朝の身支度の手も止め、食い入るように画面に釘付けになってしまいました。
80歳になられても尚お元気で、有働アナやイノッチとの闊達な会話を聞いていると、
こちらも朝から元気をご馳走様です。
赤い(UNIQLO?らしき)ダウンのベストもとてもお似合いでした。
いろいろなエピソードが語られたなかで、最も愉快だったのが、
なぜ小澤さんは指揮棒を持たないのか?という質問についてのお話しです。
あるウィーンでの演奏会で、うっかり指揮棒を忘れてしまった・・・
取りに帰る時間もないという状況で、スタッフが慌てて用意してくれた指揮棒は手にしてみたもののどれもしっくり馴染まない。
それなら、指揮棒なしで手で振ってしまえ!
そして、実際手だけで指揮したところ、楽団員はそれについて(いいとも悪いとも)何も言わない。
小澤さん曰く、「こりゃ、俺のことなんか誰も見ちゃいないってことなんだな」。
指揮棒は管理や運搬にも気を使うので、結構指揮者の方にとって扱いの大変な代物のようです。
実際の演奏会で指揮棒を持って振ると、落とさないようにとか、棒が飛んでいかないようにとか、結構演奏以外のことに神経を使うそうで、指揮棒を持たないスタイルはそういう余計なことから解放されるメリットがあると仰っていました。
ところで小澤さんが(冗談でしょうが・・)
「俺のことなんか誰も見ちゃいない」とつぶやいた言葉が、2週間前に見た映画「マエストロ!」の台詞と妙にシンクロするところがあって、面白かったところです。
「マエストロ!」は、すごく勉強になる面白い映画でした。クラシック好きなら、楽しめると思います。
さそうあきら氏のコミックを映画化したものなのですが、一度解散したオーケストラが謎の指揮者によって、もう一度再結成し、演奏会を開くというストーリです。
この潰れたオーケストラの元楽団員は、(西田敏行演じる)身元不明の無名指揮者の出現に最初戸惑い、馬鹿にしたりするのですが、そんな時に出てくる言葉が、本番は指揮者を見ないでコンマス(松坂桃李)の弦を見ろ!という発言なのです。要は、指揮者なんて居なくても、我々楽団員だけで演奏は出来るという皮肉を言っているのですが、小澤さんのプレミアムトークでのつぶやきは、なんとなくこの楽団員の心理を掴んでいるようで、オーケストラという人間模様を面白可笑しく覗かせていただきました。
それにしても、VTRで流れた小澤さんのベートヴェンの「運命」の出だしは実に迫力ありましたね。
「マエストロ!」でも思いましたが、指揮者の耳って本当にすごいと思います。
東京都現代美術館で開催されていた「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」。
招待券をいただきながら、なかなか足を運ぶことが出来ずとうとう会期末を迎えてしまいました。
そもそもミシェル・ゴンドリーなる人物をよく知らないことや、ワークショップ中心の子ども向けの企画展なのかな?という印象など、どうもイマイチ関心を持てなかったというのが本心。
同時開催の「新たな系譜学をもとめて」は逆になんだか難しそうで・・・
せっかく招待券を両方いただいたので、2枚とも無駄してはなんだなあ〜というわけで、朝早くでかけることにしました。
まず最初の会場に入ってびっくりしました。壁いっぱいに手書きのポートレイトが貼られているのです。
「1000人の似顔絵(レプリカ)」
1枚1枚丁寧に見ると、そこにストーリーがあり、活き活きした人間が見えるよう。
これは、私好みの展覧会かも!?という、嬉しい裏切りの予感がしてきました。
そして、この絵の横に貼られた作者本人の言葉を読んで、今日は来て良かったと確信しました。
それは、こんな文章↓です。
==================
"このポートレート・ファクトリーは、たとえばニューヨークのユニオンスクエアかどこかで、スピード写真ブースならぬスピード似顔絵ブースをつくるというアイディアから生まれた。ブースはお客さんの座るところと僕の座るところにわかれている。来た人はマジックミラー越しに僕の前に座って、20ドル紙幣を差込口に入れる。僕側では、出てきた20ドル札を掴み、素早く似顔絵を描いてサインをするーこれはいい商売になると思った。
曲がりなりにも店でDVDや本にサインをする機会が時々ある僕は、サインの入った関係者の似顔絵を持ち運ぶのが日課となった。人の顔を描くというのは2つの理由で難しい。まず、家や風景を描くようにはいかない。例えば木を描くとしよう。枝を一本描き忘れたところで誰も気づかない。そりゃ僕も目を一つ描き忘れるなんてことはしないけど、2つ目の目を描き終わったところで、もう片方の目と位置がずれていたりしたら、その人はかわいそうだけどモンスターのような風貌になってしまう。
その次の壁はもっと高い。人間らしい顔が描けたとしても、果たして似ているかどかを気にしなければいけない。この不思議な化学反応は顔のパーツの微妙な配置にかかっている。壁は高いほど越えたときの喜びは大きい。ごく稀にだがきちんと似ているものが描けると、満足感もひとしおだ。
その冬は寒かったのでユニオンスクエアに笑顔絵ブースをつくるのをやめた。その代りウェブサイトでこんな商売をすることにしたーE-mailで写真を送って20ドル払うと、僕が似顔絵を描いてその人に返送する。2週間で1600件も注文が殺到した。そこで受注をストップし、これまで受けた分だけでも商品を送れるか考えなくてはならなかった。納品のための努力はまだ続いている。"
ーミシェル・ゴンドリー
==================
思わず笑ってしまいました。
こういう遊び心が満載の人、大好きです!ミシェル・ゴンドリー氏のことは何も知らないけれど、とても陽気で楽しい人であることは間違いないようです。
次のコーナーで、一気に彼との距離が縮まる事実が判明。
ゴンドリーの代表的なミュージックビデオ作品19本が紹介されている"Around the World in 19 Videos"。
その中になんと、私の大好きなビョークのミュージックビデオがあったのです。
ビョークは、非凡な才能をもつすごいアーティストだと私が常々尊敬するミュージシャンです。彼女の夫のマシュー・バーニーは現代アートの有名な作家で、とにかく先鋭的な活動をし続けているビョークのミュージックビデオを手がけたという事実だけでゴンドリーの力量を知るには十分なのです。
björk - bachelorette
ずいぶん昔のミュージックビデオですが、↑これをかつて初めて見た時その映像世界に衝撃を受けました。
チャップリンの映画を思わせませんか?ウィット満載の映像はゴンドリーワールドだったのですね。
björk - Army Of Me
どちらもゴンドリーの作品。とにかく独創的な世界観が魅力的ですよね。
第1部「ホームムービー・ファクトリー」
ミニチュアセット
ハンドルを回すと、ベルトコンベアが動き風景が変わるという仕組みの映像セット。
これを撮影するとこんな感じ。
HOME MOVIE FACTORY
12種類のセットが用意されていて、いろいろなシーンを撮影できるのです。
映画製作のワークショップも開催されていて、映像に興味のある人にはとても勉強になりますね。
最後の展示コーナーである1階には、ゴンドリー監督作品の映画「ムード・インディゴ」に使われた小道具などが展示されています。
残念ながら映画を見ていないので、いまひとつ小物の意味が分からないのですが、とてもユニークなものがいっぱい。
残念ながら1/4で展覧会は終了しました。
====================
ミシェル・ゴンドリー プロフィール
1963年フランス、ヴェルサイユ生まれ。
28年にわたるキャリアの中で数々の短編、長編映画、ミュージックビデオ、CMを手がけ、独創的な世界観と映像魔術の手法で広い世代に熱狂的なファンをもっています。
先月27日からBunkamuraのル・シネマにてロードショー中の
「アルゲリッチ 私こそ音楽!」を観に行きました。
クラシック好きなら、その名を知らない人がいない名ピアニスト、マルタ・アルゲリッチ。
彼女のドキュメンタリー映画です。
この作品は、アルゲリッチの三女ステファニー・アルゲリッチが監督しています。
この偉大な音楽家で母親であるマルタの日々の姿を、娘が3年かけてフィルムに収め作品にしました。
インタビュー形式で、ステファニーの問いかけに対してマルタが自分のことを語るシーンが随所にあります。
いったい彼女は何を感じ、考えたのか?嫌いなもの、好きなもの...
マルタという謎の人物を、言葉の断片から読み解く面白さのある映画です。
そして、3人の娘達の葛藤が、リアルでありながら悲劇的ではなく、淡々と綴られているところに、この作品のすごさを感じるのです。
実際、娘達の人生は、想像もできない葛藤と困難を乗り越えたものだったと思います。
※この後は、ストーリーの(ネタばれ)も含まれるので、それでも構わない方だけ読んでくださいね。
長女リダは、まだマルタが23歳の時産んだ子で、産後すぐに養育院に預けられました。(産んだ翌年に、ショパンコンクールで優勝しています。)その後、マルタの母(つまり祖母)が養育院から無断で孫のリダを連れ出すという(誘拐)事件を起こし、マルタは親権を失い、その後母子は会う事もままならない状況で離れて暮らす事となります。
リダは、ある年齢まで母親が有名なピアニストのマルタであることも知らなかったのだそうです。父親(ロバート・チェン)はピアノを習いたかったリダに「やめたほうがいい。母親には絶対勝てない」と言って、他の楽器をすすめたといいます。私はその言葉を言われたリダの気持ちを考えると、胸が苦しくなります。
彼女はその後、ヴィオラ奏者として生きる道を選び、現在は母親との共演もしています。
異父姉妹(アニーやステファニー)と実際に顔を合わせたのは、10代も後半になってからだったと映画では回想しています。
次女のアニー・デュトワは、シャルル・デュトワの間に産まれた娘で、その後産まれる三女ステファニーと共に、母親の元で一緒に暮らし育ちます。忙しい母の代わりにアニーが妹の面倒をみてきました。
三女ステファニーの出生届けの父親欄は不明と書かれています。
「なぜそう書いたのか?」という質問に対して、「面倒だったから...」というような返事を返す母。
でも、ステファニーはそれをそのままにしておくことができないのです。
アルゲリッチ姓を名乗る彼女は、最近父親と法律的にきちんと親子になる為の手続きをすすめています。
しかし、父親(スティーヴン・コヴァセヴィチ)がなかなか段取りよく書類を揃えることができないことに娘はもどかしさを感じ、ついに感極まってダイニングテーブルにうつぶして泣き出すシーンがあります。
そのシーンはなんともせつなく、私がこの映画に引き込まれた瞬間でした。
最後の方に、マルタが裸足で(自宅らしきところ?の)ピアノを弾いているシーンがあります。
たしか、曲はラベルのコンチェルト2楽章のあの美しいソロの部分。
自分でも理由が分らないのですが、涙が出ました。
あれは、コンサートホールで聴衆を前にして弾く演奏とはまったく異質の音楽ー心が震えます。
マルタ・アルゲリッチという人は、実に正直な人なのだと思います。
未熟な母親の部分もひっくるめ、正直に子どもと相対した結果、娘3人は母親を愛してやまないのだと思います。
一つこの映画に対して注文をつけるとすれば、それは「私こそ、音楽!」という邦題がまったくピンぼけな感じのすることです。原題は「Bloody Daughter」というタイトルで、正確にはなんと訳したらいいのかよく分らないのですが、血とか、血縁とか、そういうことがベースにある作品なんだと思うんです。
マルタの音楽を讃歌するような作品とは、ちょっと違うと思います。
もし"Bloody Daughter"の言葉の意味をご存知の方がいらっしゃったら、
ぜひメールくださいね!
以前、この映画の監督大森研一さんやプロデューサー益田裕美子さんのことを
ブログでもご紹介しましたが、5月31日より全国ロードショーになりました。
私もさっそく日曜に新宿ピカデリーに出かけて見てまいりました。(o゚▽゚)o
脚本がよく出来ていて、ストーリーが実に面白かったです。
簡単にいうと...
戦国時代に瀬戸内海を中心に活躍した村上水軍を題材に、
その末裔の少女、村上楓(かえで)が島民の危機を救うべく同級生達と財宝探しに出かけるというアドベンチャー物語です。
インディジョーンズ日本版と言っていいようなハラハラドキドキあり、子供たちの純粋な心に触れ、つい涙ホロリ...
親子で楽しむのに絶好な映画です。
とにかく、主人公役の柴田杏花ちゃんはじめ子供達がすごくイイ。
また脇をかためる、中村玉緒さん、内藤剛志さん、石田えりさんといったベテランの俳優さんが、映画をより完成度の高いものにしています。
人気の小泉孝太郎さんも、島の先生役で出演されています。
ぜひ、お時間がございましたら、ご覧くださいませ!
この主人公楓の家は醤油蔵です。
皆さんご存知ですか?
納豆を食べた後、醤油の製造現場に行ってはいけないのだそうです。
しょうゆのもとになる「もろみ」を育てる酵母や乳酸菌は納豆菌に弱く、
昔から醤油蔵に行く前に納豆を食べるのは御法度なのだとか。
納豆と醤油は兄弟みたいなものだと思っていた私には、意外なお話しで
勉強になりました。
実は愛子ちゃんがしていた光るブレスレット↑私も持っているんです。
最後に、どうでもいい小ネタをご披露。
「小泉孝太郎」でググると、なんとwikiで出てくるのはアノお父様の顔!
↑ちょいと驚きました。
昨晩は、映画プロデューサーであり(株)平成プロジェクトの代表取締役社長をつとめる益田祐美子さんをお招きしたパーティーに参加いたしました。
5月全国ロードショーの映画「瀬戸内海賊物語」のPRも兼ねて、出来たてほやほやのTrailerの上映、撮影や制作の裏話し、会場の皆さんとの懇親会など、楽しい会でした。
まず冒頭、益田祐美子さんの
「今日は月末で、支払いが大変でした〜。あるはずの入金が入ってなくて、もうどうしようかと...体で稼ぐ時間も無くて...」と明るく、楽しいトーク。
株式会社平成プロジェクト代表の益田祐美子さん(左)と監督の大森研一さん(右)。
映画プロデューサーのお仕事は、出資者をあつめたり、配給会社との交渉、入出金の管理など、ご苦労も多く苦難の連続。とても笑顔の美しい益田さんからは、想像できないような過酷な仕事をなんとも飄々とこなされている姿に、女性の逞しさを感じました。
さて、この映画は、日本最強といわれた「村上水軍」の隠された財宝を4人の子供達が探すアドベンチャーストーリーです。
大森監督はこちらのご出身の方で、昔から村上水軍をテーマにした映画をつくりたいと思っていらっしゃったそうです。2011年に開催された「瀬戸内国際こども映画祭」でこの構想を応募したところ「エンジェルロード脚本賞」グランプリを受賞。
この賞は、映画化という栄誉ある賞で、今回の作品につながったとのこと。
監督に見所をお尋ねすると、
「主人公の子供達がとにかく生き生きしていて、素晴らしいので、是非注目してほしい」と、おっしゃっていました。
それから、物語が「村上水軍」の歴史を背景にしているので、随所に歴史的な場所やアイテムが登場。それらは、史実をかなり検証し、勉強した監督が、本物にこだわって撮影をしているとのこと。例えば、少女が手にする笛があるのですが、これも村上水軍の遺品として残されている笛がモデルとなっています。その他にも家紋は、能島(のじま)・来島(くるしま)・因島(いんのしま)の三家で微妙に書体を変えているなど...小物や撮影場所のこだわりも、歴史オタクの突っ込みにも充分満足してもらえる内容になっているそう。
また子役以外のキャストも贅沢で、内藤剛志さん、石田えりさん、小泉孝太郎さん、中村玉緒さんなど、そうそうたるメンバーが脇をかためています。
これだけの(豪華)キャスティングでの撮影は、さぞや大変だったでしょう...とお聞きすると、3年がかりの制作で、実質撮影期間は1ヶ月という信じられないスケジュールだったとおっしゃっていました。皆さん超有名どころの方たちのスケジュール調整や、瀬戸内海というローカルの問題などがあって、普通は3ヶ月はかかる撮影期間を1ヶ月で成し得ての作品化。お話しを伺えば伺うほど、映画への興味が膨らんでまいります。
ご自身が手がけた脚本でオリジナル映画を作ることができるのは、本当に恵まれている、とおしゃっていました。
エグゼクティブプロデューサーの金住則行さんも会場にいらして、いろいろ戦国時代に活躍した「村上水軍」の歴史についてお話しくださいました。海賊と言うと金品を強奪する悪物というイメージがまず浮かびますが、実際は瀬戸内海を安全に航行させる重要な役目を担っていた「海の侍」だったという村上水軍。村上武吉は織田信長や豊臣秀吉などにも懐柔されることなく、信念を貫いたというなかなかの人物だとか。
歴女でなくても勉強したくなりますね。
金住先生(本業は弁護士さんです)とは、会食のテーブル席がお隣りで、FBでもお友達になりました。
。o@(^-^)@o。
平成プロジェクトの前作「李藝」の脚本を書かれたのは、金住先生です。
5月末の公開が待ち遠しくなりました。
松竹配給で新宿プカデリーで上映とのことなので、ぜひ機会があれば見て下さい。
平成プロジェクトの公式サイトはこちら→ http://heisei.pro/
日本で初めて上映されたのが1971年。
それから40年を経た今年、ニュープリント版が10月1日より
銀座テアトルシネマで上映されるという記事を新聞で読みました。
今年のベネチア映画祭の前日、ちょうど8月30日に
リド島(ベニスに死すの舞台)を訪れていただけに
なんだか旅の記憶がよみがえってくるニュースに
嬉しくなってしまいました。
http://death-in-venice.net/
子供の頃、テレビで初めてこの映画を見た時、音楽と映像美に衝撃を受け、
その後、(たしか?)池袋にあった名画座に見に行きました。
ビデオで見た回数も含めると、何度見たか覚えていないぐらい...
マーラーの5番のアダージオを聞くと、映画のシーンとリンクしちゃいます。
この映画をきっかけに、その後ヴィスコンティの映画に
ずいぶんはまったのを思い出しました。
ニュープリント版での復活。映画館でぜひ見たいですね。
せっかくなので、旅行の写真をアップします。
以下は友人が撮影してくれたものです。
私のデジカメはバッテリーが死んで、リドでは1枚も写真が撮れず...\(x_x)/
映画でアッシェンバッハとタジオ一家が宿泊したホテル「Hotel des Bains」
現在改装中です。
どうやら、ホテルではなくレジデンスとしてリニューアルするようです。
http://www.des-bains.com/
右の奥に小さく見えるのは、映画祭の特設パーティー会場。
ためいきができるほど美しい砂浜と海と空の景色。
40年前とさほど変わらない風景ではないでしょうか。
振り向くと、第2のタジオ少年が居るような気がしてきます...
リド島では、貸自転車でのサイクリングがおすすめですよ!
一昨日「ハーブ&ドロシー」という映画を見ました。
この夫婦を見ていると、心からHappyな気持ちになります。
ハーブはすごくおちゃめなおじいちゃん。
ドロシーはしっかりもので、陰に日向にハーブを支えます。
本当に素敵なご夫婦です。
アートへのかかわりかたが恐ろしく情熱的。
けっして多くない2人のお給料の半分は作品購入に
当てられていたというからびっくりです。
アートを買う資格がある人は、お金があって
それを飾る立派な家に住んでいなくてはいけない、と
どっかで思っていました。
でもこの2人から、アートを愛して作品を所有することは、
けっしてそういった資格がなければ出来ないことではないのだ
ということを教えてくれます。
幸せって何かを伝えてくれるいい映画ですので、是非ごらんになってください。
ハーブ&ドロシー公式サイト http://www.herbanddorothy.com/jp/
お彼岸がすぎてやっと涼しくなったと思いきや、
すごく冷たい雨が降ったり...
お仕事も一段落して、10月はいろいろ見たい展覧会や
映画に精を出したいと思うのでした。
さて、1日の今日は映画の日。ということで、前々から気になっていた
「トイレット」を見に銀座へGO
ハートウォーミングなストーリーがいいですね。
ほっとします。
あんまり書くとネタバレになるので、内容に触れるのはやめておきます。
監督は荻上直子さんといって、「かもめ食堂」や「めがね」などを発表している
女性のかたです。
実は昨夜「かもめ食堂」をDVDで初めて見ました。
この2作品に共通しているのは、すでにご存知の方が多いと思いますが、
もたいまさこさんです。じつにこの女優さんをうまく使っています。
というか、もたいさんの演技が素晴らしいです。
あと、ファブリック。
かもめ食堂はフィンランドを舞台にした映画でmarimekko(マリメッコ)という
有名なブランドのファブリックが随所に出てきます。かばんをなくしたまさこさんが
街で買ったお洋服の柄はこのマリメッコのもの。とにかく色やパターンがすごく
洒落ているので、一目でマリメッコのものだとわかります。
そして、このtoiletでもプリント柄のファブリックが重要な小道具として出てきます。
荻上監督はきっとプリント生地をストーリーの中で意図的に
使っているのだと思います。
「構想から約5年、昨年9月からトロントで撮影をした『トイレット』は、
私がどうしてもどうしても作りたかった映画です」
と語った荻上監督。
次回作はどうやらメキシコが舞台?との噂。