お天気は爽やかだけれど、風は肌に突き刺さる冷たさ。
仕事の途中、牛込柳町駅で下車したので、
以前から一度行ってみたいと思っていた
夏目漱石が晩年過ごした漱石山房の跡地にある
新宿区立漱石公園に立ち寄ってみることにしました。
外苑東通りを弁天町交差点に向かって歩いてくると、交差点すこし手前に
「漱石山房通り」という細い道に行き当たります。
そこを左折して数10メートル歩いた先に新宿区立漱石公園があります。
夏目漱石は、この場所に「漱石山房(さんぼう)」と呼ばれる自宅を構え
49才で亡くなるまでの約9年間そこで暮らしたそうです。
名作「三四郎」「それから」「こゝろ」「道草」などの作品はここで生まれました。
写真の白い建物は、漱石山房に実際あったとされるバルコニー(一部)を復元したもの。
漱石はこのバルコニーでくつろぐのが好きだったようで、
イスに腰掛けて庭を眺めている写真が、壁に展示されていました。
漱石山房の見取図
こんなお家だったのですね。
漱石没後、ご遺族によって建てられた供養塔(猫塚)。
漱石は猫や犬、小鳥などいろいろ飼っていました。
公園内に設置された漱石の資料館「道草庵」
道草庵を見学させていただいていると、中でお弁当を食べていた係の方が
「ビデオを見ますか?」とお声をかけてくださり、
20分程度のビデオを拝見させていただきました。
内容は、ご子息(半藤末利子氏)の漱石についてや
茂木健一郎氏の漱石によせる想いなどを語るところからはじまり、
漱石山房についての紹介、作品について、漱石と所縁のあるスポットの紹介、
NPO漱石山房の活動などがまとめられたものでした。
昼時でお腹もすいていたので、ちょっと20分は長かったけれど、
このビデオのお蔭でガッテンしたことがありました。
東西線早稲田駅を下車し、地上に出た目の前の「
リカーショップ小倉屋(こくらや)」さんが、随筆「硝子戸の中」にも登場する老舗であったこと。
(毎日のように)この店の前を通るのですが、一見どこにでもありそうなごく普通の酒屋なので、老舗とはまったく思いもよりませんでした。
さっそく帰って小倉屋さんのホームページにアクセスしてみると、
なんと延宝年間(1670年代)から続くお店で、先程の随筆との関連で言えば、
登場人物の「おきた」さんはなんと小倉屋さんのお嬢さんをモデルにしていたとか...。
実は「小倉屋」に関しては今年に入って、別なルートからも気になる情報を得ていました。
それは、食べログで早稲田飯を検索していたところ、
お気に入りレビュアーの「アッチェンデレ!」さんの
うなぎや
「すず金」の書き込みの中で、
「
(略) とは云ってもうな重はうな重でげす。店を出るてえと、
ほくほくの笑顔で、小雨をつっきり、名老舗小倉屋を横目に夏目坂を上ってまいりやす。」
という表現があって...
(あの酒屋が?)
老舗小倉屋の存在は、私の中で大きく謎めいていたのでした。
こうタイミングよく事柄が連鎖するのって、実に不思議ですよね。
(アッチェンデレ!さん風に...言わせていただくと)
いやー、実にすっきりでげす。
今日は天気と相まって、さわやかな気持ちになることができやした。
話しは戻りますが、漱石山房の完全復元に向けて区を中心に動いているようです。
平成29年に漱石生誕150周年を迎えるにあたり、本格的な資料館としての山房復元へむけて準備検討会が昨年設けられました。
ぜひ復元された暁には、またこの地を訪れたいですね。
それより何より、久しぶりに夏目漱石の作品を読んでみたくなりました。
早稲田散策の旅、これからもあい間をみては続けようと思います。