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北欧のピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスのリサイタルに行ってまいりました。
久しぶりに聴くアンスネスの演奏です。

チケットは友人がとってくださったのですが、P席でなんとパイプオルガン下の1列です。
こんな席、初めて座りました。しかもピアノの鍵盤のすぐ真上!
ピアニストの指の動きがこれ以上よく見える場所はないだろうというような席で、勉強になりそうです。

曲はシューベルト、シベリウス、ドビュッシー、ショパンとバラエティに富んでいます。
少し前までベートーヴェン一筋に深く探究していたアンスネスですが、今シーズンはシューベルトという新しいレパートリーを取り入れ、シベリウスとショパンは近々レコーディングも予定しているとのこと。

今回の演奏会では、アンスネスのショパンが楽しみであると同時にシベリウスのピアノ曲が聴けるのも嬉しかったことの一つ。
ピアノを自分で弾くようになって、シベリウスのピアノ曲に美しいものが結構たくさんあることを発見して、色々CDを聴くようになりました。私がいつか弾けるようになったらいいなと思うのは、樹の組曲(Op.75)の「樅の樹」という作品。
本当に美しいメロディーで、風雪に耐える樅の樹の情景が浮かんでくるような、まさに北欧の音楽で大好きなのです。
それは余談ですが、ノルウェー人のアンスネスにとって、隣国フィンランドの作曲家シベリウスの作品は身近な存在なのでしょうね。

今日の演奏会はテレビ放映が予定されているようで、テレビカメラがステージに2台、客席側に2台セットされています。

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シューベルトの音楽を精緻な音で美しく演奏。
シベリウスもショパンも素晴らしかった。
なかでも一際印象的だったのがドビュッシー。
「版画」のそれぞれの曲の特徴を見事に表現していて、実に心に残る演奏。

自分でもドビュッシーに挑戦したくなってきました。
久しぶりに「月の光」を練習してみようかと思います。


【本日のプログラム】
シューベルト:3つのピアノ曲(即興曲)D946
シベリウス:即興曲 第5番 ロ短調 Op.5-5
シベリウス:3つのソナチネ 第1番 嬰ヘ短調 Op.67-1
シベリウス:2つのロンディーノ 第2番 嬰ハ短調 Op.68-2
シベリウス:ロマンス 変ニ長調 Op.24-9
========= 休憩 ============
ドビュッシー:版画 I. 塔 II.グラナダの夕べ III.雨の庭
ショパン:バラード 第2番 ヘ長調 Op.38
ショパン:ノクターン 第4番 ヘ長調 Op.15-1
ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52

<アンコール>
ショパン:ポロネーズ
シベリウス:悲しきワルツ

秋晴れのホームコンサート

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昨日は、親友のお宅でちょっとしたサロンコンサートを開催するというお話しで、裏方のお手伝い要員ということでお邪魔いたしました。
小春日和とでも呼びたくなるような温かい陽気のこの日。
地元練馬の自治会の方をはじめ、ご近所の方など30名を超える参加があり、大盛況でした。
ちなみに、知事のお宅もご近所なのだそうです。

演奏者の若いお二人も、練馬出身。
お聞きしたらなんと、学年は一つ違いながら小・中学校と同じ学校だったそうで、共に吹奏楽部にも所属していた仲良しなのだそうです。
どうりで、息のあった素敵な演奏!
しばし聴き入って素敵な時間を過ごさせていただきました。

最初プログラムを拝見した時、てっきり西村薫さんは女性で、平田侑さんは男性なのだと(勝手に)思い込んでしまいました。
そうしたら薫さんが男性で、侑(ゆき)さんとお読みするそうで、吹石一恵さん似のすごく素敵な女性だったので、ちょっと!(◎_◎;)
ちょっと口下手な西村さん。1曲演奏し終わるとかなり息があがってしまい、曲紹介をしようと試みるもしゃべるのが辛そうな様子。そんな時、平田さんが機転を利かせてとても上手にMCをされたので、とてもいいコンビに見えました。

選曲はホームコンサートということを考慮して、クラシック一辺倒ではなく年輩の方にも馴染みのある映画「男はつらいよ」のテーマや大河ドラマ「真田丸」のテーマなどを盛り込んでくださって、すごく楽しく和やかな雰囲気。
「真田丸」のテーマ曲はご存知の方も多いと思いますが、冒頭ヴァイオリンから始まる壮大な音楽です。
西村さんはそのヴァイオリン用の譜面をクラリネット用にアレンジされたとのこと。
ピアノの場合、そもそもピアノ用にかかれている譜面がほとんどなのでこういった苦労などありませんが、別な楽器のための譜面をアレンジして演奏するというのは大変な気がします。

フレッシュな演奏家達に拍手喝采です。
お2人のこれから益々の活躍を心から楽しみにしています!

西村薫さんホームページ http://bgataclarinette.karou.jp/
平田侑さんホームページ http://www.chemin-de-neige.com/

Sachiさん2ndCDのリリースライブが11月9日(水)に恵比寿のact*squareでありました。
2年ぶりのCDとなります。

2014年に1stアルバムのデザインをさせていただいた時のことを思い出しました。
那須塩原出身の(Sachiさんのことを「さっちゃん」と呼ばせていただきますね)シンガーさんで、
最初のCDは地元への深い愛情が詰まった作品になりました。
わざわざジャケットの写真を撮影するために、那須りんどう湖までカメラマンさんと車を飛ばしたというこだわりようでした。

そんな彼女のセカンドアルバムのデザインのお話をいただいたのが、10月半ば。
普通だったら、とっくに音源やデザインなど出来上がっていてもいい時期なのですが...
タイトなスケジュールになってしまったのには色々な事情があったようです。

1枚目は郷土をテーマにしていましたが、2枚目は3曲ともすべてラブソング。

というわけで、デザインもガラッと変わりました。

急に降って湧いたデザインのお話しでしたが、久びさにアーティストさんとがっつりタッグを組んで制作したので、
とても楽しかったです。

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↑帯のコピーも私が考えたんですよ〜!

9月に入るとなんだかせわしなく、なかなか週末も出かけられず...
それに輪をかけて、例年にないメガ台風が次から次へとやってくるので、出掛ける気持ちも薄らいでしまいます。

そんな9月でしたが、YUJA WANGの演奏会の翌日に出かけた友人のライブがこちら。

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9月8日、北参道のGRAPES KITASANDOでいつもお世話になっているプロデューサーの樋口さんが、リサちゃんという可愛いボーカルとユニットを組んで出演。
LISAちゃんは、アメリカ人のお父様と日本人のお母様のハーフ。
おじいさまはドイツの方だそうで、とにかくインターナショナルなご家族に囲まれています。
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サザンの「愛しのエリー」の英語バージョン、などのカバー曲にはうっとり。
自分で作詞したオリジナル曲を交えながらのステージはあっという間でした。
「はやくCD作ろうよ〜。」
カメラマンのWashidaさんもLISAちゃんを前にすると、すごくスイッチが入っていい写真を撮りためている様子。
ライブ後のお喋りは、ちょっと楽しく盛り上がりました。

こちらのお店には今回で2回目なのですが、初めて来た時からすごく洒落たピアノだなあ〜と気になっておりまして、休憩時間に樋口さんになにげなく「どこのピアノなの〜?」と尋ねたところ、な、な、なんとスタインウェイなんだとか。
「え〜!!!」思わず大きな声を出してしまった私です。
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木目も綺麗だし、譜面台に彫刻が施されていたりして...
本当にスタインウェイだったら桁が違う!1000万円はくだらないすごいピアノのはず。
そんなお宝を目の前にしていたとはにわかに信じがたい気がしたものの、私の口からは「弾いてみたいな〜」とTweet。
「いいよ!」
即答。樋口さんは実に寛大な方です。
ライブ3組の終演後、弾かせていただけることになりました。

やったー
ちなみにピアノは1921年製のスタンウェイ「Model-O」だそうです。
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グリーグのノクターンを暗譜で演奏。
鍵盤が軽くて、とても弾きやすい。
一応終演後なので、客席に何人か飲んだり食べたりしているお客様はいらしたのですが、ちゃんと聴いているお客様もほとんどいないだろう...ということで、リラックスした気分で弾けて、発表会よりよほどいい出来。
いい楽器と触れ合うのは、実に楽しい時間でした。

帰りがけに、聴いてくださっていた方に「すごくいい演奏でしたよ」と言っていただいたりして、ちょっとヤバイ。
豚もおだてりゃ木に登る...
癖になりそう...です。

いつかお店で仲間や友人とアンサンブルとか演奏会なんて開けたら夢みたいだなあ〜
恩師の先生との連弾も実現したら嬉しいし...
なんて、楽しい妄想でしばらくハッピーな日々をすごしています。

素敵なお店なので、機会があったら是非足を運んでみてください。
カプースチンの曲が実に似合いそうなお店ですよ。

JAZZ CLUB & LIVE HOUSE - GRAPES KITASANDO
渋谷区千駄ヶ谷4-3-11 ニューベリー千駄ヶ谷1F

私はどうも力がでないなあ〜なんて脱力している朝などに必ず観るYouTubeがあります。
それは、Yuja Wangの「カルメンの主題による変奏曲」の3分ほどのライブ録画。
あれを観ると、最後一気にアドレナリンが放出されて、シャキーンとします。
何度見ても私に元気をくれるカンフル剤です。

さあ、今年最も楽しみなサントリーホールでの演奏会がやってまいりました。
前回YUJA WANGを聴いたのは、2013年の4月だったので実に3年ぶり。
ここ数年はオケとの共演で何度か来日していましたが、ソロリサイタルは久しぶりです。

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今年はどんな演奏になるのか!?

まず演奏プログラムが、チケット発売当初から数ヶ月前に変更され、
それもまた当日変更されるかもという、何が起こるかわからない状態...
たしか最初は、バラキエフのイスラメイがプログラムに含まれていたと思ったのですが、8月はじめに

【演奏曲目】
スクリャービン(Scriabin):ピアノ・ソナタ第4番 嬰ヘ長調 op.30
ショパン(Chopin):即興曲第2番 嬰ヘ長調 op.36
ショパン(Chopin)即興曲第3番 変ト長調 op.51
グラナドス(Granados):「ゴイェスカス」op.11(Goyescas op.11, Excerpts)から
ともしびのファンダンゴ(El Fandango de candil)
わら人形(El pelele)
***
ベートーヴェン(Beethoven):ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106「ハンマークラヴィーア」
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に決定したとの連絡が来て、へ〜と思っていたら、
この日の2日前に行われた横浜県立音楽堂に行った方の話しによると、なんと開始直前に場内アナウンスで前半がシューマンのクライスレリアーナに演奏曲が変更となったことが告げられ、会場に動揺が走ったとのこと。
その情報を聞きつけ、今回のチケットをとってくれた友人がすぐ私に連絡をくれて、
「明日どうなるかわからないよ...」と心の準備をさせてくれました。

彼女がどんな曲を選び演奏しようが、いっこうに構わないのです。
だって、彼女に会いたいから。
きっと驚愕の演奏会になるに違いないと予感できるから。
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ワクワクしながら客席で開演を待っていると、場内アナウンスで曲目変更の案内があり、やはりこの日もシューマンのクライスレリアーナの演奏となりました。
友人はシューマンが好きなので、実はちょっと嬉しそう。
やっぱりこの突然の予報に超満員の会場は一瞬どよめきました。

それが、超満員完売御礼なのですが、実はP席4列目以降がガラガラだったのです。
オルガン下のP席は何か訳があって売り出されなかったとしか考えられないのですが、全ブロック空席ならまだ理解できるのに、3列目まではお客さんが座っているのでちょっと謎めいていました。案の定、休憩中に席を移動してきてちゃっかり座っている人があちこち出没しましたが、会場スタッフに追い返されていました。それでも5人組の女性客が、係員の懸命の説得にもかかわらず頑として席を動こうとせず、結局後半居座っていて...
おばさんパワー恐るべし...です。
でも何であんなに席が空いていたのでしょうか?理由をご存知の方は、ぜひ教えてください。

さて、いよいよ開演。
ロングドレスでステージに登場。
シューマンの演奏、実に良かった!すごく大人の演奏をするようになったなあ〜と感じました。
身体が鍛え上げられたアスリートのように余分な肉のない人ですが、演奏にも無駄がない。
すごく鍛え上げられた音で研ぎ澄まされた感性の演奏。

前半の見事な演奏に会場から拍手喝さいが起こると、そのままなんとアンコールを2曲も弾くという驚くべきタフさです。
鳴り止まない拍手に、また袖からステージに出てくる時に左手に四角いものを持っていて、「あれ何?」とよく見るとiPadのような大きなタブレット。そのタブレットにいろいろな楽譜を入れているらしく、それをピアノの上に置きタブレットを操りながらの1曲目カプースチンを披露。カプースチンというジャズの要素も含んだテンポの速い難曲を、タブレットを操りながら弾くことのほうが、よほど難しいと思いましたが...。
シューマンの後にカプースチンが来るとは、まったく予想のできなかった事態です。(←時々カスプーチンとか怪僧ラスプーチンとかとこんがらがっちゃうことがあります。間違えていたので訂正しました。)

これで休憩かと思いきや、拍手が止まらないためまたステージに現れると、すぐに2曲目を弾き始めるではありませんか!
え〜?
ショパンのバラードの1番が静かにはじまりました。こちらは当然譜面なしの演奏です。
完璧に弾き終えました。
休憩に入ったのが8時半。

今日は長丁場になりそう..と友人と盛り上がっているうちに後半がスタート。

後半は、ここのところの彼女のレパートリであるベートーヴェンのピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」。
恐ろしいぐらいの超絶技巧を朝飯前に弾きこなす彼女にとって、40分を越す超大曲を見事に弾ききって、会場からは盛大な拍手が鳴り止みませんでした。

その後のアンコール演奏が凄かったです。
とにかく7曲も弾いたのですから。
強靭なスタミナとレパートリー広さに、もう脱帽としかいいようがありません。
アンコール2曲目のプロコフィエフの戦争ソナタ第7番の3楽章をタブレット譜面見ながら弾いている様子なんて、信じられない曲芸技。猛烈な指さばきの合間にタブレットをタッチして譜めくりしていて、暗譜で弾くほうがよほど易しいのでは?と思うほどでした。
もしかして、アップルがスポンサーになっている?とか

カルメンの変奏曲の最後は、いつも体を思い切り反り返らせて、蹴るように立ち上がるのですが、昨日も見事なまでの反り返りで、あの鍛えられた体幹は実に美しい!

モーツァルトの編曲では雰囲気がガラっと変わって、遊び心満載の演奏。

得意なロシアものをはじめ、古典、ロマン派にも果敢にチャレンジし、現代曲、ジャズアレンジに至るまで、ドンドンいろいろな曲をタブレットも駆使し自分のものにしていく彼女のガッツ精神は、正直カッコよすぎです。
やはり、今日もサイン会に臨む決意をしました。
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「私失敗しないので」
大門未知子の名セリフが彼女にピッタリだと思っていましたが、今は「私弾けないものはないので」の方が似合いそうです。


日時:平成28年9月7日(水)
会場:サントリーホール 大ホール
演奏プログラム

《前半 衣装:カーネギーホールと同じロングドレス》

・シューマン:クライスレリアーナ Op.16

アンコール演奏
  ・カプースチン:変奏曲 OP.41
  ・ショパン:バラード第1番 ト短調 Op.23

===== 休憩 ========

《後半 衣装:ゴールドラメのロングドレス》

・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 Op.106 「ハンマークラヴィーア」

アンコール演奏
  ・シューベルト(リスト編曲):糸を紡ぐグレートヒェン
  ・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第7番 第3楽章
  ・ビゼー(ホロヴィッツ編曲):「カルメン」の主題による変奏曲
  ・モーツァルト(ヴォロドス/サイ編曲):トルコ行進曲
  ・カプースチン:トッカティーナ Op.41
  ・ラフマニノフ:悲恋(エレジー) Op.3-1
  ・グルック(ズガンバーティ編):メロディ

終了後、サイン会

先週に続けて、今週も行っちゃいました。
今日は、青葉台にあるフィリアホール。
言わずもがなシャルル・リシャール=アムランのリサイタルです。
プログラムは前回のオペラシティと全く同じなので、
こうなると、もう追っかけだなあ私(笑)

前回のオペラシティでは2階右で、演奏の様子はさっぱり見えないという、ひたすら顔を見ながら、音楽に集中する感じでしたが、今日は最前列。
演奏会で最前列なんて、何年ぶりかしら。
最前列は音がいいわけではないんですけどね。
でも、今日は演奏の秘密となるペダルワークをしっかり観察するというミッションがあったので、大満足です。
演奏は、先週同様に素晴らしい。
そして、この世のものと思えないような美しい音色の秘密は、鍵盤とペダルの巧みな両プレイによるものであることを間近で目にし、すごく勉強になりました。
足踏みミシン並みにシフトペダルとダンパーペダルを操っているのには、本当にびっくりポンです。こんなにシフトペダルを細かく使っているんだ〜という感想です。青柳いづみこさんの評にペダルについて触れていたので、実はすごく気になっていたのですが、実際目にするとそのただならぬペダリングワークのテクニックにただただ驚かされました。
しかも、どう贔屓目に見てもフットワークが軽そうには見えないし...
オートマ車の運転を彼が両足でやったらすごく危険な感じがします。

このペダリング、曲の思わぬところでシフトペダルを使っているのも興味深いです。例えば弱音のトリルとか(初心者で想像つくようなところ)意外でも、ちょこちょこ踏み込んでいます。その法則は分析不可能で、本人のみぞ知る世界。

あと、今日のピアノがスタインウェイだったのは、良かったのか悪かったのか...
率直に言わせていただくと、音はオペラシティの方に間違いなく軍配が上がります。
コンサートでスタインウェイはあまりに聴き慣れているせいか、YAMAHAの温かく豊かな音色に、新鮮な喜びと感動を覚えたことも少なからず影響しているかもしれないのですが...
ホールの大きさとピアノがちょっとミスマッチ?
スタインウェイは音がキラキラ光り輝きすぎている感じで...今日は壁の反響音もちょっと気になりました。演奏を損なうものではけっしてありませんが、私はYAMAHAで弾く彼のショパンがたまらなく好きです。

というわけで、なんと生まれて初めてファンレターなるものを書きました。
ラブレターではなくファンレターです。
演奏会の感動を伝えたい...
これからもYAMAHAの演奏を聴きたい...
そんなもろもろの熱いメッセージをしたためたファンレター。

先週、演奏会仲間のTさんと休憩時間の立ち話で、(カナダ出身の彼に)気持ちを伝えるなら「フランス語でしょ!」と言われ、やっぱりそうだよなあ〜と納得。昨日の日曜日、ほぼ半日フランス語と格闘して書きあげました。
実にフランス語の辞書を開いたのは、十数年来です。
そんなことを一生懸命やってる自分が、とてつもなく可愛いく思えちゃいましたよ。

オペラシティではCD完売で、サイン会に並ぶ資格すら得られず苦渋の涙をのみましたが、今日は会場着いてすぐCDを購入。会場が小さいので、競争率は低かった?でも、終演後にはCD完売状態。お嘆きのご婦人方が大勢いらっしゃいました。

笑顔がとてもチャーミング。人柄の良さがビンビン伝わってきます。
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演奏会後、先日購入したパンフレットにサインをしていただき、握手もしていただき萌えました。小さくてすごく温かい手でした。
Fin

今日のプログラム 2016年5月30日(月):フィリアホール

ショパン:ノクターン ロ長調 Op.62-1
ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47
ショパン:幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
ショパン:序奏とロンド 変ホ長調 Op.16
== 休憩 ==
ショパン:4つのマズルカ Op.33
ショパン:ピアノソナタ 第3番 ロ短調 Op.58

《アンコール》
ショパン:英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
エネスク:パヴァーヌ(先週と同じ曲)
※今日は演奏前に彼が
「ショパンのピースじゃなくてごめんなさい。すごく好きな曲でエネスクのパヴァーヌです」と英語で言ったのがちゃんと分かりました。
英語を喋ってる?昨日のフランス語との格闘はいったい何だったのか...
疑問符が頭をよぎった瞬間です...まさか

5月23日なんとも暑い日でした。

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今年1月の芸術劇場でのショパンコンクール・ガラ・コンサートのピアノソナタを聴いて、その演奏にすっかり惚れ込んでしまったピアニスト、シャルル・リシャール=アムラン。
彼の日本でのデビューリサイタルに友人を誘って行きました。

東京オペラシティの2階の最前列の一番端という席。
ステージの右真上という場所からは、演奏する手の動きはほとんど見えませんが、演奏中の顔の変化がつぶさに見え、時々みせるとてもチャーミングな表情を楽しめました。 一度目が合ってしまった(ように思えた)瞬間もあったりして...音もクリアに聴こえる、なかなか良い席でした。

とにかくどの曲も実に良かった!
想像を上回る充実した演奏。人生で忘れられないリサイタルの一つになること必須。
ときめきの余韻が今日も私を包んでいます。

ものすごく丁寧に音を紡ぐピアニストです。
右手と左手の妙技としか言いようがない音の掛け合いやバランスに、もうクラクラです。
若い演奏家なら煌びやかは表現をしそうな箇所を、彼の場合ちょっと控えめ。あくまで曲全体を俯瞰した上で、詩情豊かに歌い上げながらコントロールをしていることが伺えます。
なので、ワインで言ったらボジョレーヌーヴォーではなく、フルボディのボルドーといった感じ。まろやかで味わいぶかく、とがったところのない感じです。
それが、病弱で繊細だったショパンの面影と重なります。


ピアノはYAMAHAの最上位機種CFX。
アムランはショパンコンクールでも一貫してこのピアノを選んで演奏していましたが、この日も同じピアノでした。実は、リサイタルではスタンウェイの一人勝ちですが、ショパンコンクールではYAMAHAを選ぶピアニストの方が圧倒的に多かったのです。
リヒテルがYAMAHAを愛したのは有名な話しですが、現在世界の第一線で活躍しているピアニストがリサイタルでYAMAHAを採用しているというのは、残念ながら耳にしません。
アムランが将来にわたってYAMAHAを採用してくれたら、これほど嬉しいことはないのですが...。

まだ26歳だというのですから、これからが楽しみです。

サイン会があるらしいぞ!という情報を聞き付け、休憩時間中にCD売り場に行ってみると
人だかりで近寄ることすらできない状態。
そのうち、人垣が決壊したので覗き込んでみると、完売御礼!
演奏の反応はダイレクトです。

せっかくなので、記念にパンフレットを一部購入して帰ることにしました。
パンフレットごときじゃサインはしていただけないとのこと....残念なり。
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表紙はかっこいいタキシードですが、今日はごく普通の黒のシャツと背広姿でした。それにしても、ちょっと痩せないと健康が心配です。

ピアノソナタ第3番。1月のあの感動をもう一度。
感極まって?1楽章で拍手するお客さんがちらほら。それにもニッコリ笑顔で頭だけお辞儀。
なんか温かい人柄感じます。

アンコールは「英雄ポロネーズ」。
圧巻の演奏に拍手喝采。
2曲目、座って何か「ショパンの曲ではなくて、なんとかです。」みたいなことを英語で客席に向かって言ったのですが、あまりよく聞き取れませんでした。
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初めて聴く美しいメロディで現代曲っぽさも感じる曲。

まったく聞いたこともがないエネスコという作曲家の作品だそうです。
あまりの意外性にびっくり。まさか、ショパン以外の曲がアンコールの2曲目に現れるとは...4〜5曲もアンコールを弾いたなら、それも想定内ですが。
そして、大半の人が聞いたこともない作曲家の作品をぶつけてくるとは...
(一緒に行った友人は、名前は聞いたことがあると言っていました。それだけでも彼は真にクラシック通として尊敬に値します!)
エネスコはWikiによるとルーマニアの作曲家とのこと。同じルーマニア出身のピアノ講師に5歳から18歳まで師事していたそうなので、その影響でしょうか?
きっと彼のお気に入りの曲の一つなのだと思います。

シャルル・リシャール=アムラン
彼はどんな引き出しをもっているのでしょう。
カナダ出身のピアニストは、グレン・グールドやマルカンドレ・アムラン(同じラストネームですが親戚とかではないそうです)など、ちょっと個性的な演奏家が多いように思います。
彼がどんなピアニストになっていくのか、ウォッチャーとして楽しみであり、気になるところです。
各種コンクールなどで覇者となり、日々世界を飛び回る演奏生活の若きピアニスト達。
最近ちょっとそんな演奏家に対して、私自身は懐疑的というか心配しています。
十分自分自身を磨く時間も余裕もないまま、ひたすら演奏活動に追われてしまっているのではないか?
私には、その最たる犠牲者はユンディ・リに思えてなりません。
彼にはいっそしばらく演奏活動を休止して、自分自身としっかり向き合ってほしいと思ってしまいます。そして、しかるべき音楽的指導も受けるべきです。

話は逸れてしまいましたが、
アムランは、アンコールの演奏からも「我が道を往く」という姿勢が感じられ、実に面白いキャラです。
他の多くの人ように、そう頻繁に日本でのリサイタルはない気がするのは私だけかしら
個人的にはベートーヴェンの3大ソナタ、後期ソナタとか聴きたいところです。


エネスコ以外にどんなレパートリーを持っているのでしょうか?
モントリオール国際音楽コンクールではこんな曲を弾いています。
以下公式サイトhttp://music.cbc.ca/#!/play/artist/Charles-Richard-Hamelinより


QUARTER-FINALS

MARJAN MOZETICH "Tremblements: Hommage à Ligeti" / "Tremors: Homage to Ligeti"
JOSEPH HAYDN Sonate no 47 en si mineur/ in B Minor, Hob.XVI:32: I. Allegro moderato II. Menuet III. Finale: Presto
SERGUEÏ LYAPUNOV Douze Études d'exécution transcendante, opus 11: no 2 "Ronde des fantômes"
CLAUDE DEBUSSY Étude ''Pour les Octaves'', Livre I no 5
JOHANNES BRAHMS Intermezzo en si mineur / in B minor, opus 119 no 1
FRANZ LISZT Ballade no 2 en si mineur / in B minor S. 171 / R16

SEMI-FINALS
CLAUDE DEBUSSY Pour le Piano : I. Prélude II. Sarabande III. Toccata
ALEXANDRE SCRIABINE Sonate no 10 opus 70
FRÉDÉRIC CHOPIN Sonate no 3 en si mineur / in B minor opus 58: I. Allegro Maestoso II. Scherzo
III. Largo IV. Finale

FINALS

SERGUEÏ RACHMANINOV Concerto no 2 opus 18 en do mineur / in C minor: I. Moderato II. Adagio sostenuto
III. Allegro scherzando

スクリャービンのピアノソナタ10番やリャプノフといった
ロシアの作曲家の作品も弾いているのですね。




本日のプログラム All Chopin Program
======================
夜想曲 第 Nocturn in B major Op.62-1
バラード 第3番 Ballade No.3 in A flat major Op.47
幻想ポロネーズ Polonaise-Fantaisie in A flat major Op.61
序奏とロンド Introduction and Ronde in E flat major Op.16
========= 休憩 ============
4つのマズルカ 4 Mazurkas Op.33
ソナタ 第3番 Sonata No.3 in B minor Op.58

《アンコール》
1曲目
英雄ポロネーズ Polonaise No.6 "Heroique" in A-flat major Op.53
2曲目
エネスコ:パバーヌ(組曲第2番 Op.10より)


叙情的な美しい曲です。音源が悪いですが、作曲家本人の演奏をお楽しみください。

演奏会が済んで、ほっとしている間にGWがやってきました。
この時期といえば、ラ・フォル・ジュルネ。
毎年ひとつぐらいは覗いてみたいと思いつつ、一度も参加する機会がないままになっていました。
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今年のテーマは「La nature」。
自然をテーマに繰り広げられる数々の演奏会。
1週間前にピアノソロはほぼ完売状態で、間際に購入できるプログラムはあまり多くなかったのですが、その中でちょっと面白そうだなと思ったのが227番「音楽の冒険 名曲とバードシンガーがいざなう森のファンタジー」というタイトルのもの。
バードシンガーという耳慣れない名詞にさっそく反応してしまいました。
ジョニー・ラス氏とジャン・ブコー氏の2人組で活躍されているそうで、
なんと、世界中の鳥の鳴き声を自在に操ることができるのだとか。
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曲はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第28番、シューマンの「予言の鳥」、グリーグの叙情小曲集から「鳥」、ドヴォルザーク「森の静けさ」など。
これらクラシック曲とバードシンガーのコラボ、ちょっと気になります。
というわけで、友人を誘って夜9:00開演のこちらのプログラムに行ってまいりました。
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この2人組、鳥の鳴き真似が上手なんていう芸域ではなく、
ステージに登場した瞬間から歌手?であり俳優です。

まず一人が、空っぽの鳥かごを手に袖から登場。
その間、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタが粛々と演奏されています。
曲が終わると、客席の後方で羽ばたかせるバタバタという音が聴こえてきました。
両手にもって、大きな羽で風を切るように音を鳴らして現れたのが2人目です。
一挙手一投足がすごく計算された演技で、すごい緊張感が舞台を支配しています。
曲の間に鳥の掛け合いがあったり...
グリーグの「小鳥」では、演奏の途中に鳥がさえずります。
目をつむると、まるで森の中で音楽が聞こえているようです。
アンコールのサンサーンスの「白鳥」は、これが見事な音楽とのコラボレーション!
まるで2羽の白鳥が湖を漂っているように、2人がステージから客席にゆっくり降りてきて、
白鳥の声がサラウンドのように空間に響き渡るのです。
その幻想的な音楽は、まさに芸術。
会場から溢れんばかりの拍手喝さいでした。


なかなか臨場感を言葉で表現するのは難しいです。
Youtubeで彼らのステージの一部を垣間見れる動画がありました。

この動画を見ると、彼らの鳥のさえずりはもはやオーケストラの一つのパートのようですね(^o^)
Birdyphoniaという言葉があるようです。日本語に訳すとなんというのでしょう。
彼らのようなパフォーマンスがどんどん活躍していくのかも?
動向が気になります。

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曲目:
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第25番 ト長調 K.301
シューマン:予言の鳥(「森の情景」Op.82から)
ドヴォルザーク:森の静けさ(「ボヘミアの森から」Op.68から)
グラナドス:嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす(「ゴイェスカス」から)
グリーグ:小鳥(「叙情小曲集 第3集」Op.43から)
シューマン:予言の鳥(「森の情景」Op.82から/ヴァイオリンとピアノのための編曲版)
カザルス:鳥の歌
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
パールマン:小鳥は歌う
ロッシーニ:オペラ「泥棒かささぎ」序曲

演奏:
ジョニー・ラス&ジャン・ブコー(鳥のさえずり)
Jean Boucault et Johnny Rasse (Bird singers)
ジュヌビエーヴ・ロランソー(ヴァイオリン)
Genevieve Laurenceau (Violin)
シャニ・ディリュカ(ピアノ)
Shani Diluka (Piano)

Les chanteurs d'oiseaux Birdyphonia from chanteursoiseaux on Vimeo.

あまりに久しぶりの更新でお恥ずかしいです。
ここ数日の九州地方の地震。終息の目処がたたず、大変な状況が続いているとのこと。
被害に遭われた方々には心よりお悔やみ申し上げます。

さて、今年のピアノの発表会が一昨日無事終了しました。
昨年も聞きに来てくださった友人をはじめ、たまたまご近所の方に「こんど発表会に出るんです」なんて世間話しをしたのがきっかけで、わざわざ来てくださった方など、本当に感謝で胸いっぱいです。
恩師の田村先生も、お忙しい状況のなか本番には駆けつけていただき、本当に嬉しかったです!やはり先生に見守られていると、とても心強いものです。
皆さまに応援していただき、思い出の演奏会にすることができました。
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今年は、グリーグ作曲の叙情小曲集第5集におさめられている「夜想曲(Notturno)」作品54の4番を演奏。
大好きな曲です。
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エドヴァルド・グリーグ(1843年6月15日 - 1907年9月4日) はノルウェーの作曲家で、数々のピアノの小曲を残しており、北欧のショパンとも呼ばれています。そんな彼のピアノ曲の中でも、全10巻(全66曲)からなる 「叙情小曲集」は代表作で、まだ若い時に作曲したものから晩年のものまで含む、長大な時間をかけて完成された珠玉のピアノ曲集です。

どこか素朴な中にも美しい情景が浮かんでくるような素敵な曲がたくさんあります。
「夜想曲」(第5集4番)は、聴くとノルウェーのフィヨルドの夜を連想するという人もいるし、当時グリーグはイタリアに滞在していたのでイタリアの夜を表現しているという説もあるのですが、いずれにしても夜の静寂と森を感じる作品で、弾いている私も実に癒されます。
CDもたくさん出ています。
Juhani Lagerspetz, Leif Ove Andsnes, Peter Jablonski, Irina Mejouevaなど
色々聴きましたが、私的にはアンスネスの演奏が一番しっくりきて、お手本にしつつ練習に勤しみました。
まあ遠く及びませんが(笑)、私なりの演奏ができたのではないかと思います。
今度は何を練習しようか?悩む日々。
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「夜想曲」つながりで、ショパンに挑戦しようかな?
調 べてみると、ドビュッシー、フォーレの「夜想曲」は有名ですが、リストの「愛の夢」(あのメロディーを知らない人はまずいないほどの有名曲)も「3つの夜 想曲」というのなかの1曲。ラフマニノフやスクリャービンも「夜想曲」を作曲していて、実にいろいろな作曲家による「夜想曲」があることが判明。
これを毎年取り上げていっても面白いかも!
チクルスならぬ、「夜想曲シリーズ」なんてできたら、素敵じゃありません?!
まあゆっくり考えます。

今回は、1ヶ月前に先生にレッスンをしていただいたことも大きかったです。
教えを乞う先生がいることの有り難みを、しみじみと感じました。

録音した自分の演奏を聴いて、自分なりにいろいろ検証し問題点を見つけるまではできても、その先が困難なもの。
右手と左手の音のバランスがイマイチだなあ〜とか、一流の演奏家と比較してここがダメだというポイントは分かるのに、じゃあどうやったら今より良くなるのか?
意識して気をつければ治るというものでもないので、自己流の練習も今年に入ってだんだんつまらなくなってきていました。
そこで思い切ってお忙しい先生にお願いし、30〜40分個人指導していただきました。
短い時間にもかかわらず的確なアドバイスとそのための具体的な練習方法を教えてくださいました。
ちょっと意識して音を出すだけでも曲としてのまとまりが出てくるのが弾きながらわかってきて、これには本当に驚きました。
先生に敬服したのは、記憶にあるかぎり人生で2度目のことです。

昔、大学の授業でそういうすごい方を目の当たりにしたことがありました。
彫刻家の佐藤忠良先生です。
大 学で塑造を勉強していた時、私の等身大の裸婦像を見た忠良先生が、その像の足の付け根が気になったらしく、粘土でちょちょっと手を加えて修正してください ました。すると、その裸婦像がみるみる見違えるような作品になった、という実に不思議な体験をしました。手を加えたところは体のほんの一部だけ。しかもも のの1〜2分のことで、まるでマジシャンのような手だと思いました。動作に無駄がまったくありません。
私は、佐藤忠良先生がなぜ巨匠と呼ばれ、巨匠であったのか?
この体験で、理解できた気がしました。故忠良先生との貴重な思い出です。
若い頃はなんでも自分が一番と思っていて、先生をバカにするきらいもあった私ですが、
それ以来、やはり師匠や先生と呼ばれる方には一目置くようになりました。
それには、いい先生との出会いが大事ですけどね。
その点、私はとても恵まれていたと思います。

演奏会後は、お楽しみのディナーです(^o^)/
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リヨン料理を楽しめるという「サラマンジェ・ド・イザシ・ワキサカ」に行きました。
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ブルゴーニュの白
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「フランス産ホワイトアスパラガス オレンジ水のサヴァイヨン
すごく立派なホワイトアスパラで、こんな太いのは生まれて初めて見ました。
オレンジの風味が入った複雑なソースがかかっており、お皿ごとオーブンで焼いたものがテーブルに運ばれてきました。

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プロシェのクネル
魚のすり身のクネルと濃厚なソースが美味。

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仔鴨胸肉の"ラケ" コニャックのソース

お料理はアラカルトでいろいろチョイス。どれも手が込んでいて素晴らしかったです。
そして、シェフが最後丁重にお見送りしてくださり、とても心地よい食事会となりました。
今日1日のお疲れ様の意味も込め、美味しいもので締めくくることができとても幸せです。
これを、来年に向けての活力に変えたいと思います。

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CDで聴くのとはこれほど違うものか...という際たるピアニストの一人。

彼女の演奏を初めて聴いたのは、Youtubeで公開されていたシューマンのピアノコンチェルト(ヤルヴィ指揮hr交響楽団と共演)。
この出会いはセンセーショナルに私の中に残りました。背中がぱっくり開いてお尻の割れ目まで見えそうな白いドレスにものけぞったけれど、その豊満な曲線美が放つエネルギーと色気と奔放な演奏は衝撃的でした。
他の動画も聴いての感想は、音楽性は確かに素晴らしいけどちょっと乱暴で、暴れん坊女王という感じ。んーちょっと嫌いな演奏家の部類かも。
でも、人間って不思議な生き物で...
怖いもの見たさの好奇心というのが時々首をもたげ、一度は生で聴いてみようと思いチケットを買ってみました。いつもご一緒してくださる親友も誘ってみたものの、演奏プログラムを見て「興味なし」と一刀両断。
今回は一人で(淋しく?)音楽を満喫です。
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全員に配られるパンフレット。最近は有料化していることが多く、こういうお土産があるのは純粋に嬉しいです。表紙の写真がすごくいいです。ページをめくると、素人がDTPで作ったのか?と思ってしまうようなテキストレイアウトだけれど、とにかく使われている写真がGOOD。パンフレットに限らず、SONY MUSICから出ている彼女のCDはどれもジャケットデザインが秀逸です。デザイナーの眼からみても、いい仕事しているなあと思います。思わずジャケ買いしたくなるようなセンスの良さなので、とても周りに恵まれていると思います。

さて、ホール会場に入ると、あまりに男性が多く...(まあわかる気はしますが...)
7〜8割は男性でしょうか。そのうちの2/3以上は40代後半〜60代のロマンスグレーのシニア層。
お一人様で聴きに来られた方が圧倒的に多いように見受けられました。
(私の座ったブロックの6人掛けのなかで、なんと女性は私一人。前の列も女性はお一人で、いかに男性から支持されているかがわかります。)
クラシックの演奏会にしては、ご夫婦とか、男女のカップルがあまりいないのも面白いです。

さて今日のステージ衣装は、真っ赤なマーメイドラインのロングドレス。膝下のフレアーがたっぷりで、とても素敵!背中は目のやり場に困らない程度のほどよい開きでした(笑)。
それでも女性らしいボディラインが存分に楽しめる衣装で、グランドピアノの黒と赤とのコントラストがステージをドラマティックに演出しています。実にスター性のある方です。

まず前半は、ムソルグスキーの「展覧会の絵」。
最近、リサイタルでよくとりあげられるこの曲。昨年行ったセルゲイ・カスプロフの演奏会でも聴きましたが、今年の7月に予定されているガヴリリュク(7/14オペラシティ)やロマノフスキー(7/5紀尾井)のリサイタルでもこの曲がプログラムされていて、何か流行?でしょうか。
大抵は後半で演奏されるのですが、今日はしょっぱなからこの組曲から始まります。

詩情豊かな演奏。そして、最後の「キエフの大門」でフィナーレに向かって最高潮に。
とにかく魅力的な女性ピアニストであることは、この曲で確信しました。

休憩を挟んで後半は、リストの小品プログラムが続きます。
リストの「3つの演奏会用練習曲」の中の「軽やかさ La Leggierezza」S.144
  軽快に弾くスケールがなんとも美しい!
「超絶技巧練習曲 Transcendental」の第5番「鬼火 Feux follets」S.139
「パガニーニによる大練習曲」の第3番「ラ・カンパネラ La campanella」S. 141
「半音階的大ギャロップ」S.219
ホロヴィッツ編:ハンガリー狂詩曲第2番
そして、最終曲はストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」

Youtubeで聴いたような、パッション炸裂!暴走!場合によっては崩壊?そんな危険な演奏はないけれど、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」はかなりサディスティック。
でも聴衆は、さらなる1曲を欲していたのです。
それはアンコール2曲目でついに実現!
椅子に座るなり拍手が止むのも待たずに弾きだした、プロコフィエフの「戦争ソナタ」で知られる有名な第7番の3楽章。この聴衆の心を掌握するお手並みには舌を巻きました。これぞ彼女なのだ!
息をつかせぬ弾きっぷりに、本日最大の暴走モードを体感。拍手喝さいでスタンディングオーベーションが起こり、実に楽しい演奏会。
そういうキワモノ的なところが彼女の人気の秘密に違いないのですが、私は逆にアンコール1曲目のドビュッシーの「月の光」には心ゆさぶられました。3曲目のヘンデルもなんとも情緒豊かで素敵な演奏なのでしょう。
メロディーの美しいゆったりした曲は、すごく女性らしい繊細な演奏をするんですよね。
プロコのような激しさとドビュッシーの実にナイーヴな演奏。
いろいろな顔をもつ多面的なピアニストには惹きつけられます。
ランランの時にも感じたけれど、完全にステージをピアニストがコントロールし自分の世界を作っているという点において、やはり超一流の演奏家なんだなあと思いました。
お辞儀一つとっても、顔を下に向けたりせず、ずっと客席を見据えて微笑みます。
鳴り止まない拍手に笑顔で答える時も、両手を後ろに組んで腰をちょっとくねらせる...
そんな何気ない仕草ですら、くすぐられない男ゴコロは、世の中にきっとないです。
演奏以外のすべてにおいてある種の魔力を持っていて、この会場の男性陣は大満足だったことでしょう。
かくいう私も、きっと次回また足を運んでしまうと思います。
彼女の今後のプログラムに目が離せません。
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彼女を知るきっかけになった動画。シューマンのピアノコンチェルト
いまでも初めて聴いた衝撃は忘れられないものに...


Kathia Buniatishvili - Prokofiev: Piano Sonata no.7 Op.83
賛否両論ありそうなプロコのピアノソナタ第7番。
3楽章(14:31-)の暴走炸裂は、生で聴くとそれは「ブラヴォー」になってしまうのです!
そんな興奮作用のあるドラッグのような演奏。


Kathia Buniatishvili - Claude Debussy: Clair de lune
彼女の演奏するドビュッシーの「月の光」は、とても好きです。


ヘンデルなんてバロック時代の古典でしょ!と思ってちっとも興味なかったのですが、これを聴いて目から鱗。認識をあらためました。やりきれない切なさすら感じるメロディはとてもロマンティックで、私も弾いてみたくなりました。

【本日の演奏曲】
ムソルグスキー:展覧会の絵
==== 休 憩 ====
リスト:三つの演奏会用練習曲より「軽やかさ」     
    超絶技巧練習曲第5番 変ロ長調「鬼火」
    パガニーニによる大練習曲 第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネッラ」
    半音階的大ギャロップ
リスト/ホロヴィッツ編 :ハンガリー狂詩曲第2番
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカよりの3楽章

《アンコール曲》
ドビュッシー:月の光  Suite Bergamasque - Clair  de Lune
プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番 3楽章  Piano Sonata Op.83
ヘンデル:メヌエット Suite in G Minor HWV439 - Menuet

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