音楽・アートとか

進化し続けるピアニスト チョ・ソンジン @東京芸術劇場

今年の1月に来日し全国公演したチョ・ソンジン。本年2度目となる演奏会が5月17日に池袋の東京芸術劇場コンサートホールで行われました。プログラムはドビュッシーとショパン。前回の時のベルクとシューベルト、ショパンというプログラムからがらっと変えた内容で、変化を大いに喜べるのか?期待とドキドキ感で足を運んだ演奏会でした。

投稿日:2017.5.18

20170517flyer.jpg

演奏を聴いて瞬時に“fall in love”なピアニストが私には数人いるのですが、残念ながらまだその域に達していないチョ・ソンジン。
とはいえ、テクニックにしろ、音楽性にしろ、並外れた才能の持ち主であることは確かなのであって、前回のブログにも成長が楽しみと書きました。
どんなドビュッシーを聴かせてくれるのでしょうか?
彼はパリ国立高等音楽院でミシェル・ベロフに師事しているとも聞いているので、非常に興味深いです。

ベロフといえば、かつてNHKの『スーパー・ピアノレッスン』という番組で、フランスの作曲家の作品を中心に公開レッスンしていたことがありました。
当時の映像がYoutubeにあって、今見てもすごく勉強になります。実にいい番組で、また復活してほしいですね。
下のリンク動画は、ちょうどこの日のプログラムにもある子供の領分です。

さて、チョ・ソンジン君の演奏はどうでしょうか?

まさに音が溶けてる〜。
ピアノの音色を真珠のような、とかダイヤみたいな、という表現をすることがありますが、そういう粒や固形物とは真逆な音。
そう、私が聴いたのは、とけかかったアイスクリームのような滑らかな音が湧き出る水のごとく、ピアノからどんどん溢れ出てくるドビュッシー。
これは素敵!
正直ちょっと驚きました。
こういう演奏が飛び出すとは思ってもみなかったので…
ちょっと裏切りっぽい(もっとダイナミックに弾いても…と聴衆の心を少しゆさぶるような、おそらくあえて抑えているような)表現が、ドビュッシーの曲について言えばすごくいい方に転んでいて、プログラム前半は大満足!
前半最後の『喜びの島』はドビュッシーの中でも最も好きな曲の一つで、後半一気に盛り上がる部分では夢中で聴いていました。

後半のショパンのバラード4曲も素晴らしくて、本当にいい演奏会でした。

東京芸術劇場

一緒に行った友人と帰りにこんな話しをしました。
現在世界で活躍しているピアニスト達に技術的な差というのは、おそらくもうほとんどなくて、
最後に残る違いは民族性や血ではないか…と。

友人はダン・タイ・ソンのショパンを聴いた時、「水墨画のようなショパンだ!」と思ったと言っていました。

今日のドビュッシーは…
やっぱりアイスクリームかな。
大好物のハーゲンダッツのマカデミアナッツは柔らかいアイスの中にコリっとしたナッツが入っていて、食感の違いが実に楽しい。
しかも、ラムレーズやストロベリーのトリプルで、ボリュームがあっても味に飽きない。
そんな感じ。

来年の2018年はドビュッシー没後100年にあたるので、私の発表会の曲目もそれにちなんだものにしようかな〜なんて考えていたけれど、こういう演奏を聴いちゃうと、ちょっと自信なくなってきました。んー刺激が強すぎた?!

アンコール曲

この日のプログラム
ドビュッシー:子供の領分
グラドゥース・アド・パルナッスム博士/ジャンボーの子守歌/人形のセレナード
雪は踊る/小さな羊飼い/ゴリウォッグのケークウォーク

ドビュッシー:ベルガマスク組曲
前奏曲/メヌエット/月の光/パスピエ

ドビュッシー:喜びの島
- - - - - - - - - - 休憩 - - - - - - - - - - -

ショパン:バラード第1番 ト短調 Op.23
ショパン:バラード第2番 ヘ長調 Op.38
ショパン:バラード第3番 変イ長調 Op.47
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 Op.52

【アンコール曲】
1曲目 モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第12番 K332  第2楽章
2曲目 リスト:超絶技巧練習曲 第10番
3曲目 ドビュッシー:映像第1集より「水に映る影」
4曲目 リスト:ラ・カンパネラ