大山崎山荘美術館

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先週末、京都に出かけました。
最後に京都に来たのが大学生の時だったので、
実に20数年ぶりです。

今回すっぽん料理で有名な大市さんにご招待いただいたので、
ついでといっては何ですが、ゆったり京都観光をすることにいたしました。

まえまえから、京都に行く機会があれば一度行ってみたいと
思っていたのが、大山崎山荘美術館。

私の好きな作家、山口晃さんが2008年の暮に
この美術館で展覧会をされていて、
『山口晃 さて、大山崎』という図録を出版されました。

AkiraYamaguchiArtBook.jpg

後年、その展覧会のことを知ったわけですが、私のなかでは
山口氏の作品とこの歴史ある地と山荘のイメージが相互にリンクし、
並々ならぬ興味を抱いておりました。
なかなかきっかけがありませんでしたが、今回初めて訪れることが
できました。

場所はJR京都線「山崎駅」から徒歩で10分程度。
(阪急京都線の「大山崎駅」からだと13分くらいでしょうか。)
無料のシャトルバスも運行されているので、坂の苦手な方でも安心です。
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山崎の合戦で有名な天王山の麓にこの大山崎山荘はあります。

夏目漱石をはじめ数々の文人や芸術家、財界人が訪れたようです。
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シャトルバスを降り、敷地内を歩いて美術館に向かう途中。
わざわざ切り崩さずトンネルにしているところに、余裕を感じます。
とんねるを抜けると、左手に大きな三重の塔が見えてきます。
はじめ敷地内にあるのかと思ったぐらい間近に見えるのですが、
すぐ裏の宝積寺のだそうです。それにしても、すばらしいロケーションです。

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大山崎山荘美術館 入口
チューダー様式の建物です。
関西の実業家だった加賀正太郎氏(1888〜1954)によって、
大正初期から昭和初期にかけて建てられました。

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内外装共に設計者加賀正太郎のこだわりが感じられる、実に贅沢な山荘です。
建物内は一切撮影禁止なので、写真で紹介できず残念。

この本館には、実に立派なディスクオルゴールがあり、1日に何回か演奏されます。
この音色がとても良くて、重厚な空間によく響きわたり、私たち以外にも
若い男の子が2人、オルゴールの前で聞きいっていました。

また、企画展示以外にも、アサヒビール初代社長の山本為三郎氏の
陶器コレクションも展示されていて、河井寛次郎、濱田庄治、バーナード・リーチ
といった東西の工芸家の作品が見られます。

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中央より右に見える、コンクリートの建造物が安藤忠雄氏設計の新館。
本館から(写真の)通路をつたって、「地中の宝石箱」と命名された
円柱形のギャラリーへと続きます。
モネの睡蓮が常設展示されています。

直島の地中美術館といい、安藤忠雄氏の建築とモネの睡蓮は
切っても切れない関係なのでしょうか?ねえ。

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一面の椿。こんな光景もみられました。
この傾斜地の後ろに宝積寺の三重の塔が間近に見えます。

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山荘の2階のテラスはティーラウンジになっています。
天気の良い日には、宇治川、木津川、桂川が合流し、淀川となる絶景が
見渡せます。
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テラスから見た眺望。
あいにくの天候でもやがかかっており、なんとなくしか見えませんでしたが、
それもまた一興です。
歌人、九条武子がこの場所(テラス)で詠んだ一首を紹介します。
「三つの川 ひとつ目にみつつ はつ夏の
  高殿にたてば 風ゆたかなり」

このテラスでお茶をいただきながら、ゆったりと思いを馳せてみるのも
すてきで贅沢な時間ですよね。
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現在開催中の企画展「蘭にみた、夢 蘭花譜の誕生」

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「蘭にみた、夢 蘭花譜の誕生」は、
空間と作品とがまさに一体となった素晴らしい見応えのある内容です。

加賀正太郎氏は多彩な趣味人であったようですが、
なかでも心血を注いだのが蘭栽培。
ロンドン滞在時に訪れたキューガーデンで感銘を受けて、
帰国後この地で蘭栽培の研究に没頭したそうです。
品種改良にも熱心で、最盛期には1万鉢もあったそうです。
そんな正太郎氏が、昭和21年に自費出版した蘭の図録「蘭花譜」。
まだカラー写真が無い時代。しかも戦中戦後の物資の不足する
時期に、木版多色摺りの図録という大変な作品を世に出しました。

学術図録というにはあまりにも芸術的な作品です。

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大山崎山荘美術館
http://www.asahibeer-oyamazaki.com

おまけ:
今、銀座のメゾンエルメスで山口晃さんの展覧会が開催されています。
昔懐かしいようでパロってる電柱シリーズ「忘れじの電柱/2012」や
確かに部屋は傾いているのに...不思議な感覚の
「正しい、しかし間違えている/2012」、
現代の洛中洛外図「Tokio山水/2012」などが見られます。
なかでもTokio山水は必見!
入り口の波板を使ったディスプレイも作品です。

山口晃「望郷―TOKIORE(I)MIX」
会期:2012年2月11日(土・祝)〜5月13日(日)
   月~土曜 11:00~20:00 (最終入場 19:30)
   日曜 11:00~19:00(最終入場 18:30)
   会期中無休 入場無料
会場:メゾンエルメス8階フォーラム
   (中央区銀座5-4-1 TEL:03-3569-3300)
主催:エルメス財団

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このページは、Nancyが2012年3月20日 22:36に書いたブログ記事です。

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