ブログ引っ越しのお知らせ

これまで「愉楽梨」をご覧いただき、どうもありがとうございました。

諸般の事情により、昨年末をもちまして当ブログシステムでの記事投稿を終了することにいたしました。

2017年より、新ブログにて記事を更新しておりますので、引き続きそちらをご覧いただければ幸いです。

新「愉楽梨」ブログ http://www.r-deux.com/yurari/ 

サイト運営者 Nancy

inf_det_pdf_465.jpg
北欧のピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスのリサイタルに行ってまいりました。
久しぶりに聴くアンスネスの演奏です。

チケットは友人がとってくださったのですが、P席でなんとパイプオルガン下の1列です。
こんな席、初めて座りました。しかもピアノの鍵盤のすぐ真上!
ピアニストの指の動きがこれ以上よく見える場所はないだろうというような席で、勉強になりそうです。

曲はシューベルト、シベリウス、ドビュッシー、ショパンとバラエティに富んでいます。
少し前までベートーヴェン一筋に深く探究していたアンスネスですが、今シーズンはシューベルトという新しいレパートリーを取り入れ、シベリウスとショパンは近々レコーディングも予定しているとのこと。

今回の演奏会では、アンスネスのショパンが楽しみであると同時にシベリウスのピアノ曲が聴けるのも嬉しかったことの一つ。
ピアノを自分で弾くようになって、シベリウスのピアノ曲に美しいものが結構たくさんあることを発見して、色々CDを聴くようになりました。私がいつか弾けるようになったらいいなと思うのは、樹の組曲(Op.75)の「樅の樹」という作品。
本当に美しいメロディーで、風雪に耐える樅の樹の情景が浮かんでくるような、まさに北欧の音楽で大好きなのです。
それは余談ですが、ノルウェー人のアンスネスにとって、隣国フィンランドの作曲家シベリウスの作品は身近な存在なのでしょうね。

今日の演奏会はテレビ放映が予定されているようで、テレビカメラがステージに2台、客席側に2台セットされています。

IMG_3111.JPG

シューベルトの音楽を精緻な音で美しく演奏。
シベリウスもショパンも素晴らしかった。
なかでも一際印象的だったのがドビュッシー。
「版画」のそれぞれの曲の特徴を見事に表現していて、実に心に残る演奏。

自分でもドビュッシーに挑戦したくなってきました。
久しぶりに「月の光」を練習してみようかと思います。


【本日のプログラム】
シューベルト:3つのピアノ曲(即興曲)D946
シベリウス:即興曲 第5番 ロ短調 Op.5-5
シベリウス:3つのソナチネ 第1番 嬰ヘ短調 Op.67-1
シベリウス:2つのロンディーノ 第2番 嬰ハ短調 Op.68-2
シベリウス:ロマンス 変ニ長調 Op.24-9
========= 休憩 ============
ドビュッシー:版画 I. 塔 II.グラナダの夕べ III.雨の庭
ショパン:バラード 第2番 ヘ長調 Op.38
ショパン:ノクターン 第4番 ヘ長調 Op.15-1
ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52

<アンコール>
ショパン:ポロネーズ
シベリウス:悲しきワルツ

秋晴れのホームコンサート

IMG_3109.JPG
昨日は、親友のお宅でちょっとしたサロンコンサートを開催するというお話しで、裏方のお手伝い要員ということでお邪魔いたしました。
小春日和とでも呼びたくなるような温かい陽気のこの日。
地元練馬の自治会の方をはじめ、ご近所の方など30名を超える参加があり、大盛況でした。
ちなみに、知事のお宅もご近所なのだそうです。

演奏者の若いお二人も、練馬出身。
お聞きしたらなんと、学年は一つ違いながら小・中学校と同じ学校だったそうで、共に吹奏楽部にも所属していた仲良しなのだそうです。
どうりで、息のあった素敵な演奏!
しばし聴き入って素敵な時間を過ごさせていただきました。

最初プログラムを拝見した時、てっきり西村薫さんは女性で、平田侑さんは男性なのだと(勝手に)思い込んでしまいました。
そうしたら薫さんが男性で、侑(ゆき)さんとお読みするそうで、吹石一恵さん似のすごく素敵な女性だったので、ちょっと!(◎_◎;)
ちょっと口下手な西村さん。1曲演奏し終わるとかなり息があがってしまい、曲紹介をしようと試みるもしゃべるのが辛そうな様子。そんな時、平田さんが機転を利かせてとても上手にMCをされたので、とてもいいコンビに見えました。

選曲はホームコンサートということを考慮して、クラシック一辺倒ではなく年輩の方にも馴染みのある映画「男はつらいよ」のテーマや大河ドラマ「真田丸」のテーマなどを盛り込んでくださって、すごく楽しく和やかな雰囲気。
「真田丸」のテーマ曲はご存知の方も多いと思いますが、冒頭ヴァイオリンから始まる壮大な音楽です。
西村さんはそのヴァイオリン用の譜面をクラリネット用にアレンジされたとのこと。
ピアノの場合、そもそもピアノ用にかかれている譜面がほとんどなのでこういった苦労などありませんが、別な楽器のための譜面をアレンジして演奏するというのは大変な気がします。

フレッシュな演奏家達に拍手喝采です。
お2人のこれから益々の活躍を心から楽しみにしています!

西村薫さんホームページ http://bgataclarinette.karou.jp/
平田侑さんホームページ http://www.chemin-de-neige.com/

Sachiさん2ndCDのリリースライブが11月9日(水)に恵比寿のact*squareでありました。
2年ぶりのCDとなります。

2014年に1stアルバムのデザインをさせていただいた時のことを思い出しました。
那須塩原出身の(Sachiさんのことを「さっちゃん」と呼ばせていただきますね)シンガーさんで、
最初のCDは地元への深い愛情が詰まった作品になりました。
わざわざジャケットの写真を撮影するために、那須りんどう湖までカメラマンさんと車を飛ばしたというこだわりようでした。

そんな彼女のセカンドアルバムのデザインのお話をいただいたのが、10月半ば。
普通だったら、とっくに音源やデザインなど出来上がっていてもいい時期なのですが...
タイトなスケジュールになってしまったのには色々な事情があったようです。

1枚目は郷土をテーマにしていましたが、2枚目は3曲ともすべてラブソング。

というわけで、デザインもガラッと変わりました。

急に降って湧いたデザインのお話しでしたが、久びさにアーティストさんとがっつりタッグを組んで制作したので、
とても楽しかったです。

IMG_3060.jpg IMG_3062.JPG

IMG_3063.JPG

IMG_3070.JPG

IMG_3106.jpg
↑帯のコピーも私が考えたんですよ〜!

東京ミッドタウンを後にして、やってきたのは、六本木ヒルズ。
こちらの周辺では、数々の作品を見ることができます。

DSC00035.jpg
ツァイ・クエンリン「As Hear / Say」

六本木ヒルズ ノースタワー前に設置されたツァイ・クエンリンの「As Hear / Say」は、パイプの所々に耳を当てて音を鑑賞するという、体験型の作品。どんな音が聞こえてくるのかは、実際に試してみてのお楽しみ。

DSC00037.jpg
ピーター・マクドナルド「Sleep Walking」

ロンドンを拠点に国際的に活躍する画家 ピーター・マクドナルドの絵画作品のイメージを使った新作インスタレーションです。

DSC00038.jpg
DSC00039.jpg
サントリーが提供する「ART OF HIBIKI」

芸術的なボトルが美術品のように展示されており、サントリーのウィスキー「響」を特別な空間で楽しめます。


DSC00041.jpg
チェ・ジョンファ「Love Me」

中でも人気があったのが、後藤映則氏の作品には人だかりができていました。

後藤映則「toki-series_#00」

光のスリットを作品に投射することで、幻想的な踊り子が浮かび上がります。

IMG_3032.jpg
リオネル・エスティーブ「Polychromatic night」

IMG_3036.jpg
久保ガエタン「Smoothie」

正面の立方体が回転するしくみで、箱の中は部屋のようになっています。回転と同時に中にあるモノが飛び散りその様子をカメラがモニターするという作品。けっこう音もすごい!


DSC00045.jpg
DSC00046.jpg
八木良太「たこ焼きシーケンサー」

毛利庭園に行ってみると、賑やかなサウンドが聴こえてきました。
人だかりを背伸びしてステージを見てみると、なにやらたこ焼きを作っている男子2人。後ろのモニターには、たこ焼き器の様子がリアルタイムに映し出されています。なんだかよくわからなかったけれど、たこ焼きを焼く動きが音楽に変換されている様子。不思議なパフォーマンスでした。

国立新美術館を後にして、向かったのは東京ミッドタウン方向。

ミッドタウンの芝生広場に設置されているのが、Rhisomatiks Architectureの「CURTAIN WALL THEATRE」というもの。

DSC00005.jpg

IMG_3027.jpg

カーテンが自動的に開いたり、閉じたりする仕掛けになっています。
四方から照明があたり、幻想的な雰囲気のするカーテン空間に、人は自由に出入りすることができます。



動画をアップしたので、よかったらご覧ください。

Rhisomatiks Architecture https://architecture.rhizomatiks.com/ 

年に一度、六本木の街全体がアートで溢れかえるイベント「六本木アートナイト」。
今年は10月21日(金)ー23日(日)の3日間、六本木のあちこちで様々な催しや展示が繰り広げられます。
金曜日の夜、さっそく出かけてまいりました。

毎年恒例で、ルートはだいたい「国立新美術館」→「東京ミッドタウン周辺」→「六本木ヒルズ」→麻布十番から家という感じ。

今年の六本木アートナイトのメインプログラム・アーティストをつとめる名和晃平氏。
六本木ヒルズアリーナ、国立新美術館、東京ミッドタウンの3箇所で巨大インスタレーションを展開するということで、昔から名和さんをウォッチャーしている私にとって、これはとても楽しみ!!
まずは国立新美術館の庭に展示された名和晃平氏さんのインスタレーションから。
DSC00001.jpg
DSC09998.jpg
名和晃平

生命の終焉を彷彿させる枯れた木々や、広大な海を漂い辿り着いた流木やブイによって荒涼とした丘が出現。その大地には、名和の彫刻作品「雲の荷車」を引く「風の民」が、生命の片鱗を乗せて彷徨い、まるで神話の一節のような光景が表現されています。

とにかく街のあちこちに作品が点在しているので、見た順番に追っていくとわかりづらい面もあるので、
この記事では名和さんの作品だけをまとめてみます。

こちらは、東京ミッドタウンの正面に展示されているインスタレーション。
DSC00029.jpg
名和晃平

サボテンなどの多肉植物がバルーンのオブジェに包まれて点在しています。それらはまるで、バルーンの繭によって植物の生育を補助し再生を促す孵化装置のようでもあり、保育器(インキュベーター)で生気を取り戻すために、しばしの眠りにつく、小さくて未成熟な森の精霊達の安息地のようです。

六本木ヒルズアリーナの名和さんのインスタレーション
DSC00044.jpg
不思議な森のような空間。白い鹿「White Deer」が目をひきます。
ヒルズアリーナでは、舞踊や演奏など様々なパフォーマンスが行われます。

3つのインスタレーションに共通してみられるのが、名和さんの彫刻「Ether(エーテル)」。
液体が流れ落ちるような、造形の柱状の作品。人と重力、時間と空間の関係性を表現しているそうです。


希少な植物を探し世界中を飛び回っているという西畠清順氏。「そら植物園」の代表をつとめています。彼のことをプラントハンターと呼ぶそうですが、そんな西畠氏とバルーンで造形作品を制作している河田孝志氏、細貝里枝氏の2人組ユニット「デイジーバルーン」と名和さんのコラボレーションで完成した3つのインスレーション。
名和ファンならずとも、見逃したくない作品たちです。

これらは3日間だけの特別な作品なので、ぜひお見逃しなく!

・SANDWICH http://sandwich-cpca.net/
・そら植物園 http://from-sora.com/
・デイジーバルーン http://www.daisyballoon.com/

西武池袋線の桜台駅の近くに素敵なビストロがあるということで、友人と一緒にお邪魔しました。

「とも新」という名前のお店で、桜台駅からだと約3分ぐらい。改札を出て左の千川通りに向かって歩いていき、そのまま信号を渡ってまっすぐ歩いた少し先にあるビルの2階です。

4年ほど前にオープンしたお店で、店内の雰囲気はカジュアルながら、オーナーのセンスの良さを感じる内装です。

お店に入るとすぐカウンターバーがあり、その奥の階段を上ると、ロフトのような作りでテーブル席が2卓。その階段の手すりが、古材でできていてお洒落なのです。今回そのロフト席で食事とお酒を楽しませていただきました。

DSC09973.jpg
DSC09974.jpg
DSC09975.jpg
DSC09979.jpg
DSC09981.jpg
DSC09983.jpg
DSC09984.jpg
DSC09987.jpg

まず最小にスパークリングで乾杯。
キッシュをお願いしたところ、茶碗蒸しのように優しい歯応えにびっくり。硬めの中身がぎっしり詰まったキッシュに食べ慣れているけれど、これは美味しい! 続いていただいた、秋刀魚と茄子のミルフィーユは、とても華やかな盛り付けで胸がときめいた一品でした。茄子のとろけるような食感と秋刀魚の香ばしさ、パイ生地のサクサク感とが渾然一体となって複雑な美味しさです。大根と人参のソースとモロヘイヤのソースも面白いです。
「イサキのポワレ温野菜添え」フランス産カモ腿肉のコンフィ」とも新カレー」「ふぐの子茶漬け」デザートに「アフォガード」などをいただきました。どれもお料理がとても良いです。

ワインはイタリアのベネト州のもので、DOCコッリ・ユーガネイ(エウガネイ)の「パオーニ・ビアンコ」。ソムリエでもあるオーナーと相談しながら選びました。これがとても飲みやすくて、クイクイいけちゃいます。気づいたら、1本ボトルが空いていました(笑)
後で調べてわかったのですが、値段が非常にお手頃で、2006年のヴェネト州NO.1ワインにも選ばられているのだとか。(ガンベロ・ロッソの 「アルマナッコ・デル・べーレベーネ2006」にてオスカー・レジョナーレ受賞。)

〆のカレー、お茶漬けといったメニューもあって、なかなか楽しいお店です。

また、ぜったい寄りたいお店です。

あと、このお店の下の古着屋が、これまた楽しいです。
古着屋というとちょっと埃っぽい店を想像しがちですが、こちらBAZZSTOREはクリーンで割とゆったりした商品展示。品揃えもカジュアルからベーシックなもの、ドレッシーまでさまざまで、値段も300円〜と、お財布をあまり心配せずに大人買いが可能なので、つい1時間近くも店の中を散策してしまいました(笑)

=============================
とも新 ビストロ・ワインバー
東京都練馬区豊玉上2-21-18 ジェイコート桜台 2F
電話 03-6914-9636
月曜日定休

9月に入るとなんだかせわしなく、なかなか週末も出かけられず...
それに輪をかけて、例年にないメガ台風が次から次へとやってくるので、出掛ける気持ちも薄らいでしまいます。

そんな9月でしたが、YUJA WANGの演奏会の翌日に出かけた友人のライブがこちら。

IMG_2925.JPG
9月8日、北参道のGRAPES KITASANDOでいつもお世話になっているプロデューサーの樋口さんが、リサちゃんという可愛いボーカルとユニットを組んで出演。
LISAちゃんは、アメリカ人のお父様と日本人のお母様のハーフ。
おじいさまはドイツの方だそうで、とにかくインターナショナルなご家族に囲まれています。
IMG_2933.JPG
サザンの「愛しのエリー」の英語バージョン、などのカバー曲にはうっとり。
自分で作詞したオリジナル曲を交えながらのステージはあっという間でした。
「はやくCD作ろうよ〜。」
カメラマンのWashidaさんもLISAちゃんを前にすると、すごくスイッチが入っていい写真を撮りためている様子。
ライブ後のお喋りは、ちょっと楽しく盛り上がりました。

こちらのお店には今回で2回目なのですが、初めて来た時からすごく洒落たピアノだなあ〜と気になっておりまして、休憩時間に樋口さんになにげなく「どこのピアノなの〜?」と尋ねたところ、な、な、なんとスタインウェイなんだとか。
「え〜!!!」思わず大きな声を出してしまった私です。
IMG_2940.JPG
木目も綺麗だし、譜面台に彫刻が施されていたりして...
本当にスタインウェイだったら桁が違う!1000万円はくだらないすごいピアノのはず。
そんなお宝を目の前にしていたとはにわかに信じがたい気がしたものの、私の口からは「弾いてみたいな〜」とTweet。
「いいよ!」
即答。樋口さんは実に寛大な方です。
ライブ3組の終演後、弾かせていただけることになりました。

やったー
ちなみにピアノは1921年製のスタンウェイ「Model-O」だそうです。
IMG_2937s.jpg
グリーグのノクターンを暗譜で演奏。
鍵盤が軽くて、とても弾きやすい。
一応終演後なので、客席に何人か飲んだり食べたりしているお客様はいらしたのですが、ちゃんと聴いているお客様もほとんどいないだろう...ということで、リラックスした気分で弾けて、発表会よりよほどいい出来。
いい楽器と触れ合うのは、実に楽しい時間でした。

帰りがけに、聴いてくださっていた方に「すごくいい演奏でしたよ」と言っていただいたりして、ちょっとヤバイ。
豚もおだてりゃ木に登る...
癖になりそう...です。

いつかお店で仲間や友人とアンサンブルとか演奏会なんて開けたら夢みたいだなあ〜
恩師の先生との連弾も実現したら嬉しいし...
なんて、楽しい妄想でしばらくハッピーな日々をすごしています。

素敵なお店なので、機会があったら是非足を運んでみてください。
カプースチンの曲が実に似合いそうなお店ですよ。

JAZZ CLUB & LIVE HOUSE - GRAPES KITASANDO
渋谷区千駄ヶ谷4-3-11 ニューベリー千駄ヶ谷1F

私はどうも力がでないなあ〜なんて脱力している朝などに必ず観るYouTubeがあります。
それは、Yuja Wangの「カルメンの主題による変奏曲」の3分ほどのライブ録画。
あれを観ると、最後一気にアドレナリンが放出されて、シャキーンとします。
何度見ても私に元気をくれるカンフル剤です。

さあ、今年最も楽しみなサントリーホールでの演奏会がやってまいりました。
前回YUJA WANGを聴いたのは、2013年の4月だったので実に3年ぶり。
ここ数年はオケとの共演で何度か来日していましたが、ソロリサイタルは久しぶりです。

IMG_2917.JPG
今年はどんな演奏になるのか!?

まず演奏プログラムが、チケット発売当初から数ヶ月前に変更され、
それもまた当日変更されるかもという、何が起こるかわからない状態...
たしか最初は、バラキエフのイスラメイがプログラムに含まれていたと思ったのですが、8月はじめに

【演奏曲目】
スクリャービン(Scriabin):ピアノ・ソナタ第4番 嬰ヘ長調 op.30
ショパン(Chopin):即興曲第2番 嬰ヘ長調 op.36
ショパン(Chopin)即興曲第3番 変ト長調 op.51
グラナドス(Granados):「ゴイェスカス」op.11(Goyescas op.11, Excerpts)から
ともしびのファンダンゴ(El Fandango de candil)
わら人形(El pelele)
***
ベートーヴェン(Beethoven):ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106「ハンマークラヴィーア」
--------------------------------------------------------------------

に決定したとの連絡が来て、へ〜と思っていたら、
この日の2日前に行われた横浜県立音楽堂に行った方の話しによると、なんと開始直前に場内アナウンスで前半がシューマンのクライスレリアーナに演奏曲が変更となったことが告げられ、会場に動揺が走ったとのこと。
その情報を聞きつけ、今回のチケットをとってくれた友人がすぐ私に連絡をくれて、
「明日どうなるかわからないよ...」と心の準備をさせてくれました。

彼女がどんな曲を選び演奏しようが、いっこうに構わないのです。
だって、彼女に会いたいから。
きっと驚愕の演奏会になるに違いないと予感できるから。
IMG_2919.JPG
ワクワクしながら客席で開演を待っていると、場内アナウンスで曲目変更の案内があり、やはりこの日もシューマンのクライスレリアーナの演奏となりました。
友人はシューマンが好きなので、実はちょっと嬉しそう。
やっぱりこの突然の予報に超満員の会場は一瞬どよめきました。

それが、超満員完売御礼なのですが、実はP席4列目以降がガラガラだったのです。
オルガン下のP席は何か訳があって売り出されなかったとしか考えられないのですが、全ブロック空席ならまだ理解できるのに、3列目まではお客さんが座っているのでちょっと謎めいていました。案の定、休憩中に席を移動してきてちゃっかり座っている人があちこち出没しましたが、会場スタッフに追い返されていました。それでも5人組の女性客が、係員の懸命の説得にもかかわらず頑として席を動こうとせず、結局後半居座っていて...
おばさんパワー恐るべし...です。
でも何であんなに席が空いていたのでしょうか?理由をご存知の方は、ぜひ教えてください。

さて、いよいよ開演。
ロングドレスでステージに登場。
シューマンの演奏、実に良かった!すごく大人の演奏をするようになったなあ〜と感じました。
身体が鍛え上げられたアスリートのように余分な肉のない人ですが、演奏にも無駄がない。
すごく鍛え上げられた音で研ぎ澄まされた感性の演奏。

前半の見事な演奏に会場から拍手喝さいが起こると、そのままなんとアンコールを2曲も弾くという驚くべきタフさです。
鳴り止まない拍手に、また袖からステージに出てくる時に左手に四角いものを持っていて、「あれ何?」とよく見るとiPadのような大きなタブレット。そのタブレットにいろいろな楽譜を入れているらしく、それをピアノの上に置きタブレットを操りながらの1曲目カプースチンを披露。カプースチンというジャズの要素も含んだテンポの速い難曲を、タブレットを操りながら弾くことのほうが、よほど難しいと思いましたが...。
シューマンの後にカプースチンが来るとは、まったく予想のできなかった事態です。(←時々カスプーチンとか怪僧ラスプーチンとかとこんがらがっちゃうことがあります。間違えていたので訂正しました。)

これで休憩かと思いきや、拍手が止まらないためまたステージに現れると、すぐに2曲目を弾き始めるではありませんか!
え〜?
ショパンのバラードの1番が静かにはじまりました。こちらは当然譜面なしの演奏です。
完璧に弾き終えました。
休憩に入ったのが8時半。

今日は長丁場になりそう..と友人と盛り上がっているうちに後半がスタート。

後半は、ここのところの彼女のレパートリであるベートーヴェンのピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」。
恐ろしいぐらいの超絶技巧を朝飯前に弾きこなす彼女にとって、40分を越す超大曲を見事に弾ききって、会場からは盛大な拍手が鳴り止みませんでした。

その後のアンコール演奏が凄かったです。
とにかく7曲も弾いたのですから。
強靭なスタミナとレパートリー広さに、もう脱帽としかいいようがありません。
アンコール2曲目のプロコフィエフの戦争ソナタ第7番の3楽章をタブレット譜面見ながら弾いている様子なんて、信じられない曲芸技。猛烈な指さばきの合間にタブレットをタッチして譜めくりしていて、暗譜で弾くほうがよほど易しいのでは?と思うほどでした。
もしかして、アップルがスポンサーになっている?とか

カルメンの変奏曲の最後は、いつも体を思い切り反り返らせて、蹴るように立ち上がるのですが、昨日も見事なまでの反り返りで、あの鍛えられた体幹は実に美しい!

モーツァルトの編曲では雰囲気がガラっと変わって、遊び心満載の演奏。

得意なロシアものをはじめ、古典、ロマン派にも果敢にチャレンジし、現代曲、ジャズアレンジに至るまで、ドンドンいろいろな曲をタブレットも駆使し自分のものにしていく彼女のガッツ精神は、正直カッコよすぎです。
やはり、今日もサイン会に臨む決意をしました。
IMG_2922.JPG
「私失敗しないので」
大門未知子の名セリフが彼女にピッタリだと思っていましたが、今は「私弾けないものはないので」の方が似合いそうです。


日時:平成28年9月7日(水)
会場:サントリーホール 大ホール
演奏プログラム

《前半 衣装:カーネギーホールと同じロングドレス》

・シューマン:クライスレリアーナ Op.16

アンコール演奏
  ・カプースチン:変奏曲 OP.41
  ・ショパン:バラード第1番 ト短調 Op.23

===== 休憩 ========

《後半 衣装:ゴールドラメのロングドレス》

・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 変ロ長調 Op.106 「ハンマークラヴィーア」

アンコール演奏
  ・シューベルト(リスト編曲):糸を紡ぐグレートヒェン
  ・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第7番 第3楽章
  ・ビゼー(ホロヴィッツ編曲):「カルメン」の主題による変奏曲
  ・モーツァルト(ヴォロドス/サイ編曲):トルコ行進曲
  ・カプースチン:トッカティーナ Op.41
  ・ラフマニノフ:悲恋(エレジー) Op.3-1
  ・グルック(ズガンバーティ編):メロディ

終了後、サイン会

Powered by Movable Type 5.2.7