2016年1月アーカイブ

昨晩は、ショパン国際ピアノ・コンクール2015の入賞者6人の演奏によるガラ・コンサートを聴きに、東京芸術劇場に行ってまいりました。
19時開演の21時30分終演予定が10時を超える長時間。ですが、すごく充実していて時間が経つのが早かったです。
6人がみな、あまりに期待以上の演奏だったので、あたらめてこのコンクールのレベルの高さを感じた次第。
プログラムは下記の通りです。

【前半】

1. ★ドミトリー・シンキン(第6位)
 「ロンド 変ホ長調 Op.16」

2. ★イーケ・(トニー・)ヤン(第5位)
 「即興曲第2番 Op.36/スケルツォ第3番 Op.39」

3. エリック・ルー(第4位)
 「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22」(オーケストラ付)

アンコール演奏:エリック・ルー「プレリュード17番」

====== 休憩 ======

【後半】

4. ★ケイト・リウ(第3位・マズルカ賞)
 「3つのマズルカ 第1番/第2番/第3番 Op.56」

5. ★シャルル・リシャール=アムラン(第2位・ソナタ賞)
 「ピアノソナタ第3番 Op.58」

6. チョ・ソンジン(第1位・ポロネーズ賞)
 「ピアノ協奏曲第1番 Op.11」

アンコール演奏:チョ・ソンジン  ポロネーズ第6番「英雄」 Op.53

6人のうちの4人がYAMAHAのCFXで演奏。★の付いた演奏家。あとの2人はSteinway。

簡単な感想は以下の通り

ドミトリー・シンキンのロンドはまるで水彩画のよう。
スケールの音と音とがサーと溶け合う感じが、水彩絵の具が紙の上で別な色と溶け合う感じに似ていました。
実に洗練された演奏で、これが若者なのか?という印象。
ただ、座席が3階席ということもあり、ちょっとピアノの響きが弱かったのが残念。
後で分かったのですが、弦の調整が固めだったか?楽器によるところが大きかった模様。

イーケ・ヤン、エリック・リーの演奏も見事でした。この2人はなんと10代です。
正直3人聴き終えて、年齢を感じさせない豊かな表現力と柔軟性のある演奏には本当にびっくりです。

後半に入って、ケイト・リウのマズルカが始まると、これまたびっくり。
前半2人と同じYMAHAのピアノか?と思うくらい、音を響かせたのにはかなり驚きました。
マズルカ賞をとったのも納得のいい演奏。

そして第2位のアムランのピアノソナタ第3番は、これまた熟成されたボルドーワインのように素晴らしくて...この演奏には、観客の拍手が鳴り止みませんでした。
実は、「2位を受賞した彼がピアノコンチェルトの1番を弾いていたら、優勝していたに違いない」という声があるそう。 確かに、このピアノソナタを聴いたらそんな噂も納得。
このショパンの世界観、彼のソロリサイタルにも足を運んでみたくなります。

でも、ステージに現れた時にあまりに貫禄がありすぎて、実はショックをうけました!
3階席から見える姿は、どうみても20代の青年には見えない... 顔写真からは想像できないです。

最後に優勝者によるピアノコンチェルト第1番の演奏。一緒に聴いていた知人は「まだ音がかたい」と言っていたけれど、 私は6人の中で一番チョ・ソンジンの演奏に若さを感じました。まだまだ伸びしろがあって、これからの成長が楽しみな人です。
逆に、アムランはもう本当に熟成されている感じに思えました。
それにしても、6人のキャリアから、ステージでの演奏まで、すべてがプロですね。
これだけ活躍している人達でしのぎを削るコンクールって、なんかプロ王者決定戦みたいで、一昔前のような初々しいスターが誕生したこのコンクールとは、明らかに異質なものに変化してきていると思います。

最後に、これだけの規模のホールでYAMAHAのピアノを聴くことはそうそうある機会ではなく、今回とても貴重な音の聴き比べができたことも勉強になりました。

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何しろ(写真をみてお分かりの通り)3階席の上の方だったので、私ははじめピアノがYAMAHA製とは気が付きませんでした。

でも1曲目で、いつも聴くスタンウェイの音質とは異なる、何か懐かしさを感じる音だなあ〜と思っていたら、オペラグラスで見ていた隣の友人がYAMAHAだと教えてくれました。

楽器って面白いですね。今回こんなにも違うものなのかと思いました。私には、YAMAHAは農耕民族らしい木製楽器のような深く包み込むような音に聞こえ、Steinwayは狩猟民族の作る金属楽器のようにクリアな音に聞こえます。

それぞれ特徴があって、どちらが楽器として優れているとかを論じるつもりは毛頭ありませんが、YAMAHAのピアノが一流の演奏家達に楽器として愛され、認められていることは心から嬉しいです。

私も、4月の発表会にむけ頑張らなくちゃです。

3/20(日)Eテレ「クラシック音楽館」でこの演奏会の模様が放映されるそうです。お時間がありましたら、ぜひお聴きになってみてください。
また、この日に行われた記者会見の模様がYoutubeで見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=3tTBaf0TtqU&feature=youtu.be

サイモン・フジワラ|ホワイトデー

今朝のNHKあさイチのスペシャルゲストにディーン・フジオカさんが出ていて、実にナイスガイなお方で...思わず画面を食い入るように見てしまいました(笑)

さて、先週の日曜日に出かけた展覧会、こちらはサイモン・フジワラさん。
んーまぎわらしい、、、お恥ずかしながら最近、この手のカタカナ系の名前がちょっこし苦手です。
そうじゃなくて、「そもそも人の名前が憶えられないんでしょ!」と自分で自分にツッコミを入れたくなる始末。あ〜悲しいかな

それはさておき、フジワラさんの展覧会は、新宿の東京オペラシティアートギャラリーで今月の16日から開催されています。

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ベルリン在住のフジワラさんは、現在33歳。アーティストとしてはまだ若手ですが、2010年にカルティエ・アワードを受賞されたり、2012年にイギリスでかなり大規模な個展が行われたりと、国際的に活躍されています。日本人のお父様とイギリス人のお母様を持つハーフのフジワラさん。今回は日本で初となる美術館での展覧会です。 展示会場を工場(Factory)にみたてて構成しており、生産ラインとして作品の一部が会期中に実際に生産されていくとのこと。

まずはチケットを購入し、会場に向かう薄暗い通路を進んでいき最初に遭遇するのが「ホワイト・ギフト」(2016)と題する作品。白い紙袋に動物の毛皮が入れられているというもの。
さらに進むと、次に「無題 (Untitled)」(2016)と題する梅の枝が床に置かれています。枝のまわりには様々な国の硬貨が無数に散らばっていて...ちょっと意味不明ながら、これが作品と理解しました。

このコインは2つ目の作品(梅の枝)のまわりだけでなく、続く広い明るい会場に向かって、無造作に落ちています。
絶対このコイン、会期後数えたら当初より減っているに違いないと思うのですが...?

広いホワイトキューブの会場に入ると、大きな作品が天井から吊ってあったり、床に毛皮がまとめて何枚も積み重ねられていたり。なかなか作品だけを見てそこに潜む物語を知ることは難しいですが、作品についての解説が簡単に書かれたA3の紙を入口でもらえるので、それを読みながら鑑賞すると、面白いです。

たとえば、牛乳の入ったコップの絵が会場内に7点飾られています。これも解説を読み、非常に興味を持った作品。あまり書いてしまうとネタばれになるのですが...
題名は「乳糖不耐症」(2015)。
北朝鮮には万寿台創作社という国家的に運営する美術工房があるそうで、4000人にもおよぶ職人が働いているのだとか。そこに依頼して制作したのが、この牛乳の絵。この絵をフジワラさんが依頼した背景は、実際に会場に行って作品を前に解説を読んでいただきたいと思います。北朝鮮の知られざる一面をきっと知ることと思います。

また、「レベッカ」という作品は、まるで現代の兵馬俑そのスペクタクルを味わう価値はあると思います。

現在、TARO NASU ギャラリーでもサイモン・フジワラの展覧会を開催しています。
「Pearl Diving」というタイトルで、養殖真珠をテーマに立体作品が展示されているそうです。
こちらもぜひ、足を運んでみたいと思っています。

サイモン・フジワラ|ホワイトデー
会期:2016年1月16日(土)ー3月27日(日)
会場:東京オペラシティアートギャラリー
入場料:一般1200円、大・高生800円、中学生以下無料
ホワイトデーにはカップル割引が適用されます。3/12,13,14の3日間にカップルで来場の場合、ひとり分が無料。

サイモン・フジワラ|Pearl Diving
会期:2016年1月16日(土)ー2月23日(土)
火-土 10:00-18:00 日月祝 休
会場:TARO NASU(東京都千代田区東神田1-2-11 Tel. 03-5856-5713)

Soleil Noir: Laurent Grasso

昨年暮れに見た、フランス生まれの芸術家ローラン・グラッソ氏のソレイユ・ノワールと題された展覧会です。

場所は銀座エルメスの建物8階にあるギャラリーで1月31日まで開催されていています。

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昨年の暮に見たもう一つの展覧会が「黒い太陽:ローラン・グラッソ」展。

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興味を引いたのが、「Studies into the Past」という3部作。(展示風景写真の作品3点)
いずれも50cm以内の小さな油彩なのですが、描かれているものを観察すると、なかなか面白いです。
一つの一つの作品のタイトルも「Studies into the Past(過去についてのスタディ)」と
付けられています。

時代は中世でしょうか。向かって右の甲冑を着た人物が、彗星のようなものを見て驚いている様子が描かれた作品で、画風的にはボスやブリューゲルといったフランドル絵画のようです。(作品写真上から1番目)

衝立の真ん中の作品(作品写真上から2番目)は、黄金の空に黒い太陽が描かれています。ちょっと不気味な色の太陽です。日食でしょうか?
そして大地にそびえる巨大な建造物。
取り囲んでいる人物の大きさと比べると、いかに巨大かがわかります。(絵を見てピンときた人は日本の歴史や風土に明るい方だと思いますが、生憎私は解説を読むまで知りませんでした...)
この絵の主題は兵庫県高砂市の生石(おうしこ)神社に現存する、石宝殿(いしのほうでん)なのだとか。私はこの「石宝殿」なるものを知りませんでしたが、日本三奇の一つだそうです。幅6.5m、高さ5.6m、奥行き5.6mもあり重さはなんと450トンもあり、1300年以上も前に誰かの手によって作られた謎の物体だそうです。

そして左の作品(作品写真上から3番目)は、UFOのような飛行物体から光が放たれており、兵士に降り注いでいます。レーザー光線か何かで攻撃されているような場面に見えます。

超常現象と過去の時代と、西洋と日本とをクロスオーバーさせて描いているところに面白さを感じます。


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1802, Utsuro Bune (the Hollow Ship), unknown object found in Hitachi province, Japan
(1803、虚船、常陸地方で見つけられた未確認物体)

こちらも3部作で、謎めいた物語をモチーフに、日付のネオンサイン、絵画(写真上)、テラコッタの彫刻(写真下)の3点で構成されています。1803年に常陸地方の海岸に不思議な円盤状のものがたどり着いたという民間伝承をもとにしています。

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Studies into the Past(過去についてのスタディ) 2,060×1,300×320mm
日本の伝統的なスタイルの作品。



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Soleil Noir : Laurent Grasso
■ 開館日: 2015 年11 月11 日(水)~2016年1 月31 日(日)
■ 開館時間:
月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
日   11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
■ 入場料:無料
■ 会場:銀座メゾンエルメス フォーラム (中央区銀座 5-4-1 8 階 TEL: 03-3569-3300)
■ 主催:エルメス財団
■ 協力:エドワール・マラング・ギャラリー、ギャラリー・ペロタン、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

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小沢剛|帰って来たペインターF

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Chapter 1
深夜2時を回っても、彼らのバカ騒ぎは終わらない。
周りの客は誰れも彼もその後のとんでもない天才ばかりのようだ。
彼の制作はようやく明け方に始まる。終わる時間など誰も知らない。

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Chapter 2
大きな戦争が始まれば、根無し草の彼は祖国に帰るしかない。
20年ぶりの祖国で得た仕事は戦争の記録画であった。
彼の創作は戸惑いから始まる。いつしか時を忘れて没頭していた。

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Chapter 3
取材の為にアジア各地の戦場にしばしば派遣される。
インドネシアに足を伸ばし貴重な時間を過ごした。時々疑問に思うこともある。これは私の絵なのか?本当にやりたかったことか?

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Chapter 4
たくさんの犠牲と涙の末に戦争は終わった。
しかし、彼は制作の手を止めようとしない。
いつの間にか国のための制作で無くなっていたということなのか?

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Chapter 5
戦争が終われば世間も終わり、祖国には彼の居場所は無い。
彼が辿り着いたのはバリ。かすかにガムランの音が聞こえてくる。
パリ時代に出会ったヴァルター・シュビースの魂に導かれたのだろうか。

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Chapter 6
慎ましげな自宅で今日も朝から制作に励んでいる。
彼の人生で最も安らかで静かな日々であった。
名も無き画家としてこの地で人生を全うした。

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Chapter 7
何十年経ったのだろうか。日本に2人のアーティストがやってきた。
ペインターFが帰ってきたと歓迎され、たちまち人気者となった。
そんな日々も長く続かず、やがてまた争いが始まった。

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Chapter 8
一人は逃げていった。彼は新しい場所で以前と変わらない人生を始めた。
もう一人は、芸術の力で平和な世界を作ることを試みた。しかし、うまくはいかなかったようだ。
数十年後再びペインターFが帰ってきて、魔法のような絵を見せてくれるだろう。
(Painter F Song 歌詞より)

『もしも、こうだったら良かったのに、ああだったらいいのにと、歴史にもしもは許されないらしい。しかし、芸術に、もしもは許されるはずだ。
第二次世界大戦下の日本の画家達は自由な絵は描けなかった。その代わり戦争プロパガンダの絵を描いて戦争という国家事業に加担していた。芸術がもっとも残念な時代だった。
そんな時代に翻弄されたペインターFと名付けられた画家の人生を、「もしも話」で作品を作ってみた。
(中略)
今の日本は、再び戦前という時代になってきたと考える人もいる。私たちは歴史を振り返りながら、もしもこうだったらと、想像する力が必要だと思っている。

小沢 剛』
(以上、展覧会資料より抜粋)


ペインターFとは藤田嗣治をモデルに描かれています。
事実、従軍画家だった藤田は第二次大戦後日本で不遇な生活を強いられ、のちにフランスに帰化し、終生日本に帰ることはなかったと言われます。
ペインターFでは、舞台はパリではなくバリとして描かれており、これは小沢とインドネシアの芸術家達でつくりあげたフィクションとはいえ、史実をもとに描かれており面白いです。

展覧会資料を読むと、戦時中、従軍してアジア各地に派遣された画家が現地の人々と美術を通じて交流していたらしいとの記述があります。実際にインドネシアには啓民文化指導所という施設があるそうで、これは占領していた日本軍が1943年に文化政策として設立したもので、現地の若者に美術教育を行ったりもしていたようです。本作品の舞台がバリなのは、そういった背景があってのようです。
日本人の一方的な考えでなく、インドネシアの美術史家、ペインター、ミュージシャンらと複眼的な対話を重ね、今回は物語を作るところから作品制作まで全てを共同制作している点にも注目して鑑賞すると、作品が一味ちがって見えると思います。


本展覧会は昨年12月27日に終了いたしました。
記事は12月19日のレポートです。

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タイトル:小沢 剛|帰って来たペインターF
会期:2015年10月23日(金)〜12月27日(日)
会場:銀座 資生堂ギャラリー

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昨年の暮れは色々あって、ブログの更新が滞っておりましたが.....
色々アップしておきたいものが溜まってしまったので、追い追い更新していこうと思います。

昨年の暮れに伺ったこちらのお店のことも、忘れず記録しておかねば!
というわけで、2週間以上経ってしまい料理の記憶はおぼろげになりかかっていますがご容赦を。

西麻布の「Margotto e Baciare マルゴット エ バッチャーレ」というレストラン。
放送作家の小山薫堂さんが、はまりにはまっているお店としてあげていたのがこちらのレストラン。
とにかくユニークなのは、まず来店したお客がトリュフを選ぶところから始まること。
藁が敷き詰められた木箱の中に、まるで何かの卵?のように鎮座しているのがトリュフ達(写真上から2番目)。厳重に湿度など管理され、大事に取り扱われています。
その中から一つ、本日のお食事のお共となるトリュフをお客自身で選びます。
選ぶポイントはトリュフの持つ「香り」だそうで、匂いを嗅ぎ比べて好みのものを選ぶのだそうです。実際に手にとって嗅いでみると、確かに一つ一つ香りが微妙に違います。個性があるのです。
お店の方が数ある中から一つのトリュフを指して
「この子がお薦めです」
と言われた時には、我が子を愛おしむような気持ちでトリュフに接するお店の方の姿勢に、私はむしろ感銘を受けてしまいました。演出も含め、実に楽しいお店です。
お食事がスタートすると、目の前でトリュフをシュシュっとスライスしてお料理にかけてくださいます。
コンソメのスープにかけていただくこちらのお料理(写真4番目)は、お店の看板料理。
トリュフを乗せるとスープの香りがひときわ芳しくなり、極上の一品に。
なんて贅沢!なんて素敵な料理でしょうか!

続いて「乳呑み仔牛のカルパッチョ」。乳しか飲んでいない仔牛を使っているので、肉に臭みがまったくなく、非常にあっさりしています。塩昆布や紅芯大根といった和の食材とのコラボが面白いです。

続にパスタ。2種類から選べ、今回は「トマトのパスタ」に。レモンの皮を細かくスライスして振りかけられていて、すごく爽やかないい香りがしました。これはトリュフなしでいただきます。もう一つのパスタ、「カルボナーラ」をチョイスした場合には、トリュフをかけるそうです。

そしてこちらの定番「目玉焼きトースト」。(写真7番目)
こんな贅沢な目玉焼きトーストは、これが人生最初で最後かもしれません。そんな一品です。
甘い濃厚なソースと黄身とトリュフが渾然一体となって、至福の時。

「甘鯛のポワレ」(写真8、9番目)は、皮の焼き方が「松笠焼き」という和食の技を使っているそうで、身は柔らかいのに皮がパリパリとしていて、その食感がたまらなく美味しいです。

蝦夷鹿のロースト」(写真10番目)。トリュフを添える最後のお料理です。
ジビエは、たまりませんな〜。

最後のお料理は「シェフにおまかせのご飯もの」ということで、その場のお楽しみメニュー。
この日は鯛の身と牛蒡の炊き込みご飯。staubの小さなお鍋に入ったものを、加山賢太シェフが直々にテーブルに運んで来てくださり、それぞれのお茶碗に盛ってくださいました。
まずはそのままで味を楽しみ、その後出汁をかけてお茶漬けにしていただくという凝った趣向。
こういう展開が来るとはビックリ・ポンです。
最後にお茶漬けとは実に心憎い演出。

トリュフ主体のフレンチレストランの認識だったので、随所に和食の素材やテイストを取り入れられていることに、驚きを禁じ得ませんでした。
加山シェフは「カンテサンス」など名だたるフレンチレストランで修行をされてきた方だそうですが、日本料理の「かんだ」でも2年間修行をしていらしたとか。甘鯛のポワレの松笠焼きはまさにその証しでしょう。

お勘定の計算書は、本の形になった木箱に入って来ます。
男女のカップルで行くと、トリュフの値札を女性に見えないようにしたり、値段の書かれていないメニューに女性が座るようになっていたり....
西麻布界隈で遊び慣れていない私のような人種には、ちょっとむず痒いようなサービスとも思えるところはありましたが、なんか大人の世界って感じで楽しかったです。
それ以上に、お料理が素晴らしかったです。
トリュフをまるごと1個買って、いろいろなお料理を楽しむという発想は、新しいなあ〜。

ご馳走様でした。

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