2010年9月アーカイブ

熊谷雅展 ひかりの庭

<アートリンク上野-谷中>は、美術の森上野とその周辺の
谷中、根津、千駄木、 いわゆる谷根千をアートでつなぐイベント。
 36の美術館やギャラリーが協力して行われています。
その一つ、(株)クマイ商店+ケーズグリーンギャラリーの企画展
熊谷雅展「ひかりの庭」を見ました。

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よく見る、あの梱包材を使った作品です。
そう、ぷちぷち。段ボール10箱分ぐらい使って設置されているとのこと。
しかも、(ギャラリーの方から伺ったお話では)このぷちぷちは
エコ素材として川上産業という会社で開発された特殊なぷちぷちなのだ
そうです。
光の反射が面白い味をだしています。
光るぷちぷちの白と光を吸収する緑のコントラストが微妙に調和して
美しいと感じさせる作品でした。
SCAI THE BATHHOUSEの斜め向かい側にこのギャラリーはあります。
是非お立寄を!

熊谷雅 -Masa Kumagai
【略歴】
1951 岩手生まれ
1972 パリ滞在後ヨーロッパ、アジア各地を旅行
2002 文化庁芸術家在外研修員としてイスラエル・ハイファ大学留学
2004-2007  Viewing program of The Drawing Center (NY)
2006 Artists in residence, VSC by NY freeman foundation
workshop at Sir. J.J. School of Art, Sophia Collage of Art, Gallery Art & Soul : Mumbai,  India(国際交流基金)



Brazil illustrated 2010

ブラジルの新進作家の展覧会が駐日ブラジル大使館で行われる
というメールをいただき、24日のオープニングに顔を出しました。

Eduardo Recife (エドゥアルド・レシフェ)、Wagner Pinto (ヴァグネル・ピント)、
Bruno Kurru (ブルーノ・クルー)の3人展。
題は「DO OUTRO LADO -Brazil Illustrated 2010-」。

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Eduardo Recife の作品で左から"Somewhere Else"(2点), "Silence",
"All that's going to be left is dust"(上), "The Source"(下),
"As long as it takes"。
壁にも作家の直筆による幾何模様が残されています。


Wagner Pintoの作品。
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中央のファブリックを使った作品は"Turiaue Mapia"(2010)。
一番右が"Tangana Zande Ayo"(2010)。
天井からテープが垂れていたり、切り紙の取りが貼り付けてあったり、
幼稚園とか小学校低学年のお教室みたいでファンキーな気分になります。

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"Muriquinho Pequinino"(2010)

残念ながら、Bruno Kurruの作品は人が立ちはだかっていて、
撮影が困難だったので、写真がありません。
個人的にはKurruの作品がシュールで興味深かった。

私の中で南米の作品というとフリーダ・カーロをすぐ思い浮かべてしまい、
痛いイメージなのだが、この3人の作品にも何か共通する痛みを感じるのは
私だけだろうか?

これからの活躍が楽しみな作家達です。

名和晃平 synthesis

今日の日中は本当に気持ちの良い気候でした。
家に居てはもったいない、
ということで、パソコンに向かう仕事は一時休止。
山手線に乗って日暮里へ。

今日からスタートした名和晃平展。
SCAI THE BATHHOUSEという
谷中にあるギャラリーで行われるということで、
ずいぶん前から楽しみにしていました。

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中は撮影禁止なので、DMをアップしておきます。

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番台があったであろう脱衣所のスペースには壁3面に
ドローイングが展開。ポストカードのようなドットが無数に描かれています。
立体へと導くアペリティフみたい。
続く大浴場に入っていくと、ガラス玉からなる大きな雄鹿の作品が
目に飛び込んでくる。1頭に見えていた鹿が、良く見ると足が8本。
えー? 
TWINS? 
1頭作るよりフォルムを作るのむずかしそう。

ギャラリーの雰囲気と、作品とが融合して、
見応えあります。
本展のSynthesisとは科学用語で"合成"を意味するそうです。

昭和・メモリアル 与勇輝展

今日、銀座松屋の与勇輝展に行って参りました。
最近の松屋の企画展はいいものが多いです。

この展覧会の作品はすべて人形です。
作品は子供をテーマにしたものが多いです。
ちょっと懐かしい感じの子供たち。
表情が一人一人みんな違っていて、
それぞれ物語があります。

「シューシャインボーイ」という作品があるのですが、
昭和の貧しい時代、靴磨きを生業にしている少年を題材に
製作されています。その少年の目がいいんです。
将来に夢を持っている目をしているんです。
もっとも好きな作品の一つです。

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「うたた寝」無邪気に眠る子供たちの顔、いいでしょう。
「夏の日」も好き。
少女の頃の美空ひばりをイメージしながら作ったそうです。

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昭和12年生まれの与氏は、今まで戦争のことをあまり語りたくなかったと
インタビューでおっしゃっていました。今回、そんな体験を次世代に伝えたい
いう想いで「昭和・メモリアル」の作品を多数製作されたとのこと。

さて、作品ですごいと思ったのが、2本の脚で立っていること。
人間と同じように2本の脚だけで立っているのです。
「ヤンキーボーイ」という作品があるのですが、2歯下駄をはいて、
ヤンキー座りのポーズをしているんですが、人間ならなんなくできる姿勢でも
人形では支えがないと難しいポーズのはず。
だから、本当に生きているみたい。

予期せず、サイン会に居合わせられて、握手をしていただきました。
思った通り優しい手でした。

崔在銀展 アショカの森

昨日、原美術館に出かけました。崔在銀展を見るためと、「崔在銀×南嶌宏 対談」が行われるから。

崔在銀はさいざいぎんと読みます。ハングルではチェ・ジェウン。

アショカの森ーと題された本展覧会は、崔在銀の日本における初めての個展です。

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崔在銀は1953年ソウル生まれとあるので、たぶん今年57歳。
年齢なんて吹き飛ぶような超すてきな女性です。

対談で初めて拝見した彼女の姿に、すっかり魅了されてしまった私。
少しグレーがかった髪はベリーショートで、真っ白なやわらかい素材の服に
ベージュのストールを肩からはおり、白のスパッツをブーツインして、
とにかくさっそうとしたファッションが印象的。
文化服装学院に通っていたとおっしゃっていたので、納得です。

それからiPad?も使いこなしていて、かっこよすぎです。
私も15年後こんな風に歳をとりたいなあとつくづく思いました。

さて、本展覧会はインスタレーション作品とビデオ作品、
写真作品で構成されています。

原美術館に入ってすぐの部屋は、「アショカの森」。
広くない部屋に古木が斜めに敷き詰められています。
これは、カナダのアーミッシュの家で使われていたものを運び出して、
本展覧会で展示しています。
アーミッシュは現代においてもなお電気を使わない
現代文明からかけはなれた生活をしている民族。
あまり知られていないアーミッシュの暮らしですが、
長年使われていた家の廃材をもらいうけられたのは、
偶然の出会いで運命的だったとご本人は語っておられました。

そんなお話をうかがってこの部屋に入ると、すごく時間というものを
感じられるのではないでしょうか。

作品のエピソードなど1時間30分以上にわたる対談の最後に
ハングルでアショカ王に関する本の一節を朗読されました。
これが私にとってとても良かったです。

理解することより、感じることの大切さ
プリミティブな感性を大事にしたいなあと思いました。

「人間のあらゆる精神的な体験は時間の体験に還元される」(ボルヘス)


崔在銀プロフィール(展覧会パンフレットより)

1953年、ソウル生まれ。76年より東京に在住し、草月流で華道を学ぶ。
84年から3年間、草月流3代目家元、勅使河原宏のアシスタントとなる。
95年には、日本代表の一人として第46回ヴェネチアビエンナーレに出品
するなど、国際展への参加多数。2001年には、映画『On The Way』を
発表し、映画監督としても活躍。

対談からの追記
1986年から「アンダーグラウンドプロジェクト」開始。
世界各地の大地に和紙を埋める活動を行っている。
(開催年不詳)、草月会館のイサムノグチの作品で有名な石庭『天国』にて
大規模なインスタレーション作品展を行う。
13トンの土を入れ、そこに無数の種子をまくことで、会期中に土から
芽がでて成長していき土から緑にかわっていくという作品。
假屋崎省吾にも影響を与えた?
2007年、Lucy and Her Time展をロダン美術館にて行う。

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