なぜベートーヴェンなのだろう?

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11月6日(木)サントリーホールにて、ユンディ・リのリサイタルが開催されました。

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"昨年のリベンジとなるか?"
これは、去年のオペラシティでのユンディ・リの演奏会を聴いた
知人達の間での関心事でした。

今年もベートーヴェンのピアノソナタ「月光」「熱情」を組み込んでの再挑戦。
あれから1年間、さらに弾きこんだ2曲の演奏はいかほどのものか
期待半分、不安半分といったところ。
どちらかといえば、シューマンの幻想曲ハ短調(Op.17)が組まれているのが
とても嬉しく、また大いなる楽しみでした。

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知人にチケットをお願いしたところ、P席の2列目でした。
この位置からだと、お顔がよく見えますね〜ウフ。

開始直前、場内アナウンスで演奏曲順の変更が発表されました。
当初予定では、前半がショパンの「ノクターン」2曲。続いてシューマンの「幻想曲」があり、後半がベートヴェンのピアノソナタ「熱情」「月光」と発表されていました。アナウンスによると、前半と後半がそっくり入れ替わり、ピアノソナタも「月光」が先に演奏されるとのこと。
大丈夫かなあ〜?なんとなく緊張が走ります。
悪い予感が当たらなければよいのだけれど・・・

定刻通り、颯爽とした様子でステージに登場したYundi。
ベートヴェン ピアノソナタ第14番「月光」。
1楽章を弾き終えるたびに、ハンカチで汗を拭う様子に、なんだかちょっと辛そう・・
続く、ピアノソナタ第23番「熱情」。
弾き終えた後は、今日最大の難所をくぐり抜けたような表情というか、
まるで修行明けの僧侶みたいに見えました。

彼は、なぜそこまでベートヴェンにこだわるのか?
何か特別な思いがあるのでしょうか?

生意気なことをあえて言わせてもらえれば、
彼の持ち味を存分に発揮する選曲ではないのではないか?というのが感想なのです。
それでも、あえてこの選択肢にチャレンジし続けることに、
彼にとっての大きな意味があるのでしょうね。

アーティストが聴かせたい音楽と、聴衆の聴きたい音楽とのギャップがあるように思います。
私たち聴衆側にすれば、Yundiに求めるのはロマンティックな音楽を
活き活きと演奏する姿が見たいのに・・・。

後半のショパンとシューマンに嫌でも期待がシフトします。
ノクターンは彼の最も得意とするところ。
とてもリラックスしていて、伸びやかな演奏。
観客も敏感に察してか、拍手の大きさや勢いが前半と違います。

シューマンはさらに素晴らしく、美しい高音部の音色にピアノの貴公子Yundi復活です。
こういう演奏を待っていたんですよ!

大きな拍手に応えるように、アンコールを4曲披露。
アンコール2曲目にここでもまた、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の2楽章が演奏され、
やっぱり彼のベートーヴェンへのひとかたならぬ思いがひしひしと伝わってきます。

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てっきり3曲目で終わるもの、と思っていたら突然
「ラスト1です」という人差指でジェスチャーをして
弾き始めたのがリストの「タランテラ」。
アンコールで4曲も弾くというのは珍しい・・と友人は驚いていましたが、
それ以上にアンコールで弾く曲にしては大曲なのに私はビックリしました。

よほど調子がよかったのでしょね。
ノリノリで、ちょっと気取った手のポーズを入れながら演奏をしていました。

聴いている私たちも、気持ちいいです。
こういう高揚感が味わえる演奏会はいいですね。終わりよければすべて良し。
私の中では、昨年の消化不良をしっかりリベンジしましたよ!

=== 本日の演奏曲 ===
・Beethoven: Piano Sonata No.14 in C-sharp minor OP.27-2 "Moonlight"
・Beethoven: Piano Sonata No.23 in F minor Op.57 "Appasionata"
    --  休憩  --
・Chopin: Nocturn No.1 in B-flat minor Op.9-1
・Chopin: Nocturn No.2 in E-flat major Op.9-2
・Schumann: Fantasy in C major Op.17

【アンコール曲】4曲
・任光:彩雲追月
・Beethoven: Piano Sonata No.8 "悲愴" 2楽章
・青海民謡:遥か遠くのそのまた彼方
・Liszt: Tarantella
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フライヤーの写真、みなさんはどう思います?
友人は「絶対整形している!」と主張するのですが・・
私は(職業柄この手の画像処理はよく知るところなので)
「写真加工(のお陰)で若く見えるようにしているんじゃない?」と言ったのですが!?
本当のところはどうなのでしょうね。

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このページは、Nancyが2014年11月 7日 18:55に書いたブログ記事です。

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