"Volez, Voguez, Voyagez" Louis Vuittonの大規模展覧会が面白い!

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紀尾井町に突如出現したルイ・ヴィトンの巨大展覧会の会場。
ここは住友不動産の開発予定地で、そこにこの展覧会のための仮設展覧会場が建てられたというもの。
私はこの日で2度目の来場です。というのも、初めて来た時は1000点にも及ぶ作品群に圧倒され、
また土曜の午後という時間帯もあり、なかなかゆったり見ることもままならず、 あらためて友人と土曜の早い時間に予約して来ました。

会場内は実に贅沢な空間演出とともにルイ・ヴィトンの歴史と商品や作品、そして19世紀から21世紀にわたる世界の歴史にも触れられる壮大なスケールの展覧会になっています。 今回はガイダンスも借りることができたので、2時間以上をかけてじっくり作品を観ました。 IMG_2573.jpg
1906年のトランク

今回の展覧会をより深く理解するために、少しルイ・ヴィトンの歴史も勉強しました。
初代ルイ・ヴィトンが生まれたのは1821年。彼は14歳の時、生まれ故郷のスイス国境近くのアンシェ村を離れ、徒歩でパリを目指します。なんとその道のり400kmを2年かけてようやくパリに着いたといいます。すごいですね。
長い旅の果てにパリに着いた16歳の少年は、レイティエ・アンバルール(layetier-emballeur-malletier 荷造り用木箱製造兼荷造り職人)の見習いとして働きはじめます。
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1854年にヴァンドーム広場からほど近い、ヌーヴ・デ・カプシーヌ通り4番地に自らのアトリエを開きました。そこから革新的なトランクのデザインが次々に生み出されます。
軽くて頑丈、機能的なトランクはたちまち評判となり、ナポレン3世の妃、ウージェニー皇妃をはじめヨーロッパの王室、貴族、著名人の間で瞬く間に広まりました。

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「グリ・トリアノン キャンバスの丸みを帯びたトランク」
1860年頃
コーティング・キャンバス、木、金属、紙

このグレーのトランクは、まさにルイ・ヴィトンがアトリエを構えて数年後のもので、ルイ・ヴィトンが初めてデザインしたトランク『グリ・トリアノン』と呼ばれるライトグレーのキャンバス地のものです。トランクの常識を覆す構造だったといいます。ポプラ材のフレームを使うことで大型でありながら軽量なトランクを実現しています。

間もなく、上に積むことができる、より機能的な蓋が平らなトランクが作られるようになります。
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「ストライプキャンバス(レイエ・キャンバス)の紳士用トランク」
1880年
コーティング・キャンバス、木、鉄、真鍮、紙、テキスタイル、金属

「PART 3 クラシックなトランク」と名付けられた展示室には、草創期の様々なトランクを鑑賞することができます。顧客の要望に細かく応じて設計、製作されたオーダーメイドのトランクは、芸術作品です。
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何気なくトランクの上に飾られている絵は、なんとクールベの風景画です。

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木工製品づくり技術を活かし、数々の名品を生み出した初代ルイ・ヴィトン。
内側のフレームの組み立てにはポプラ材、補強材にはブナ材を使い、内部には害虫予防用に樟脳や紫檀を用いるなど、構造にも工夫をすると同時に、模造品を防ぐために模様を入れたキャンバス地を次々考案します。グレイのグリ・トリアノンからはじまり、ストライプのレイエ・キャンバス。そして1888年に2代目ジョルジュ・ヴィトンによって市松模様に名前を組み込んだダミエ・キャンバスが発表されます。1896年にはお馴染みのモノグラム・キャンバスが誕生します。このモノグラム・キャンバスの柄は、当時ジャポニズムブームに沸いていたヨーロッパで、日本の家紋からヒントを得たと言われています。
今回の展覧会の、最後の「10. インスピレーションの国、日本」で一族がコレクションしていた「刀のつば」の数々が展示されているのですが、モノグラムのヒントになるような文様がそこにはあるのが興味深いです。


「Part 3 クラシックなトランク」の会場最後に展示されているのは、現代アーティストのシンディ・シャーマンとのコラボ作品"Studio in a trunk Cindy Shaman"。
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現代アーティストとのコラボ作品を数々発表しているルイ・ヴィトンの作品の一つ。
Cindy Shermanはセルフポートレイトで一躍有名になった写真家でありアーティストです。先日の千代田3331のHagaleeさんも彼女へのオマージュ作品を発表していましたよね。そう、シンディ・シャーマンの『Untitled #96』という作品は、2011年にクリスティーズで389万ドル(約3億円)で落札され、史上最も高額な写真作品と言われていました。(その後間もなくアンドレアス・グルスキー氏の作品が430万ドル(約3億3300万円)で落札され、現在は史上2番目に高額な作品にランキングされています。)
そんな彼女とのコラボは、らしいといえばらしいです。
30以上の引き出しやメイク用照明がついたミラーや椅子を装備し、さしずめ移動メイクスタジオ。でも、この部屋にある19〜20世紀のトランクの中にあってもまったく違和感ない(100年以上の時代の違いを感じない)ところも面白いです。

次は、「Part.4 旅の創造」です。いろいろ旅にまつわる面白い鞄が登場しますよ。
けっこうなボリュームの写真があるので、追い追いアップしていきたいと思います。

===展覧会情報===
Volez, Voguez, Voyagez - Louis Vuitton
空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン
会期:2016年4月23日(土)から2016年6月19日(日)
住所:東京都千代田区麹町5丁目「旅するルイ・ヴィトン展」
時間:10:00am - 8:00pm
月曜日休館(但し 4/24, 5/2, 6/13 は 1:00pm-8:00pm 開館)
入場無料(事前にオンライン予約可能)http://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage

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このブログ記事について

このページは、Nancyが2016年6月12日 08:55に書いたブログ記事です。

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